つみたてNISAの対象商品は163本。これらの商品の組み合わせをどのように考え、決めればよいのだろうか。ひとつの考え方として、資産配分を決め、その資産配分に合わせて商品の組み合わせを選ぶ方法がある。資産配分からの商品選びについて紹介しよう。(※データはすべて2019年5月7日時点)

つみたてNISAで購入できる商品は投資信託

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(画像=William Potter/Shutterstock.com)

つみたてNISAで購入できる金融商品は投資信託とETF(上場投資信託)だ。投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめ、株や債券、REIT(不動産投資信託)などに投資・運用するものである。

つみたてNISAの対象となる商品は、金融庁に認められた長期投資に適したものに限定される。

つみたてNISAの商品を選ぶ前にアセットアロケーションを

つみたてNISAの商品を選ぶ前にやっておきたいことが「資産配分」だ。資産配分はアセットアロケーションとも呼ばれる。世界各国の株式や債券、REITなど、どの資産にどのくらいの割合で投資するかを考えるものだ。

自分の投資スタイルに合った資産配分を選び、その資産配分に合った投資信託を組み合わせるのが望ましい。

どれだけリスクをとれるかで資産配分が変わる

資産配分を考える上で重要なのがリスク許容度だ。リスク許容度とは、どれだけの資産のマイナスを受け入れることができるかの度合いである。例えば、リターンが大きければ100万円が1年で50万円になることも受け入れられる人と、どうしても90万円より下がってほしくないと考える人ではリスク許容度が異なる。

資産別では株式のほうが債券よりもリスクが高い傾向にある。リスク許容度が高い人は株式の比率が高い商品が、リスク許容度が低い人は債券の比率が高い商品が適していることになる。

つみたてNISAは運用益(分配金や換金による差益)が非課税になるのが大きなメリットだ。このメリットを活かすなら、リスクをとってリターンの大きい資産の組み合わせを検討するのがいいだろう。

資産の分散投資によりリスクをコントロールする

資産の組み合わせが極端に偏っていると、特定の資産が大きく下落した場合に、保有している投資信託の評価額も大きく下落することがある。その対策としては資産の分散(分散投資)が有効である。

資産配分を株式主体で考えるなら、国内や先進国、新興国など異なる地域の株式を対象とする投資信託を組み合わせることでリスクを分散できる。例えば、国内株式30%、先進国株式35%、新興国株式35%の投資をすれば、一部の地域の経済不安があっても保有資産への影響は軽減されるだろう。

株式に加えてREITや債券を組み合わせれば、さらにリスクを分散して投資できる。

つみたてNISAで買える3種類の投資信託とは

資産配分が決まったら実際に購入する投資信託を選ぶことになる。つみたてNISAの対象となる投資信託は、「インデックス型投資信託」、「アクティブ型投資信託」、「ETF」の3つに分けることができる。

インデックス型投資信託は指標(インデックス)に連動した運用を目指す

インデックス型投資信託は、株価指数などの指標(インデックス)に連動した運用を目指す。対象となる指標は、日経平均株価やダウ平均株価などの他に、新興国株式や全世界株式などもある。

インデックス型には1つの株式指標だけではなく、債券やREITなど複数の指標を組み合わせて運用されるバランスファンドも含まれている。

インデックス型は163本中142本と、つみたてNISA対象商品の大部分を占める。

アクティブ型投資信託は指標を上回る運用成績を目指す

アクティブ型投資信託は、指標を上回る運用成績を目指す投資信託である。運用会社が投資対象の将来性などの調査・分析を行い、指標とは異なるかたちで運用する。アクティブ型は、日本や北米、欧州などの特定の地域の株式に投資するものや、5~6つの資産に投資するバランスファンドもある。

アクティブ型はインデックス型よりも信託報酬が高い傾向にあり、期待通りのリターンを得られないこともある。インデックス型よりも成績の振れ幅が大きくなることがあるため、アクティブ型を選ぶなら個々の投資信託を選別する必要があるだろう。

アクティブ型の商品は163本中18本と全体の1割程度である。

ETF(上場投資信託)は市場に上場している投資信託

ETFは市場に上場している投資信託である。つみたてNISAの対象となるETFは3本のみと、上述の2つに比べると非常に少なく、購入できる金融機関が限られている。

つみたてNISAの商品にかかるコストは信託報酬に注目

一般的に、投資信託の購入・保有・換金には費用(コスト)がかかることが多い。つみたてNISAでは、購入時にかかる「販売手数料」と換金時にかかる「信託財産留保額」はほぼ不要なため、投資信託を保有している間にかかる「信託報酬」に注目したい。

例えば、年利回りが3%の2つの投資信託があり、ひとつの信託報酬が0.2%、もうひとつは1%であるとする。信託報酬は年間の手数料であるため、2つの投資信託の実質の年利回りは2.8(=3-0.2)%と2(=3-1)%になる。

利回りの小さな違いが長期投資では大きな違いになることもある。一般的に信託報酬は低いほうが望ましいといえる。

インデックス型を主体とした組み合わせにアクティブ型の商品を入れる方法も

つみたてNISAでは対象の商品数から考えると、資産配分に合わせてインデックス型投資信託を選ぶのが一般的であろう。アクティブ型については、今後の成績が期待できる商品があれば組み入れてもいい。

例えば、資産配分として日本の株式に30%投資するケースでは、日本株式のインデックス型に15%を、日本株式のアクティブ型に15%を組み合わせる方法がある。

アクティブ型は、運用成績が良ければより資産を増やすことを期待できるが、インデックス型より成績が悪くなることもある。運用担当者などが変わると成績にバラツキが出ることもあるだろう。アクティブ型を選んだ際には運用成績を定期的にチェックしたい。

つみたてNISAの資産配分を決められなければバランスファンドを選ぶのも手

インデックス型でもアクティブ型でも、複数の資産を組み込んだバランスファンドがある。バランスファンドは、ひとつだけで様々な資産へ分散投資できるのだ。資産配分が決められなければ、世界各国の株式やREITなどを組み込んだバランスファンドを選んでもいいだろう。

ただし、インデックス型バランスファンドとアクティブ型バランスファンドともに、単一資産の投資信託に比べて信託報酬が高いものが多い傾向にある。バランスファンドを選ぶ場合でも、信託報酬は低いものを選ぶようにしたい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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