湿気の多い日本の木造住宅は、シロアリによる害を受けやすいため適切な防腐・防蟻対策が必要です。国内では、ごく一部を除いて全国的にシロアリが分布しています。シロアリ用の防虫剤は、5年おきの散布が必要となりますが、これだけで本当にシロアリから住宅を守ることができるのでしょうか。ヒノキの家だからできる、シロアリ対策について考えていきましょう。
シロアリにも強い!ヒノキの耐久性について
シロアリによる食害のある家屋は、シロアリが住宅内に侵入して不快感を与えるばかりか、地震や台風による倒壊リスクが高まります。2016年の熊本地震の際にも、倒壊した家屋を調べたところ、シロアリによる食害の跡がみられる住宅が多くありました。シロアリは光と風を避け、暗く湿った場所を好みます。
そのため、普段は地上に姿を現すことはありません。地中を移動することから「住宅の床下に入り込んでも気づきにくい」という特徴もあります。繁殖期になり、羽アリが家の中に発生してやっと気が付き、そのころには住宅の木材がボロボロになっていたということも少なくありません。このように、厄介なシロアリによる害を防ぐためには、入り込んでから駆除するよりも床下や基礎に入り込まないようにする「防蟻」が大切です。
木材によって変わるシロアリによる食害
シロアリによる食害を受けにくい木材の種類があります。日本の木材では、ヒノキやヒバに耐腐・耐蟻性能があるためおすすめです。ヒノキやヒバのようにシロアリに強い木材を土台部分に使うことで、シロアリによる害を受けにくい家になることが期待できます。
ヒノキの産地でも変わる
シロアリに強いヒノキは、その産地によってもシロアリへの強さが異なります。京都大学が1985年に行った木材研究(産地別ヒノキの耐朽・耐蟻性)によると、鹿児島、兵庫、長野、福島それぞれの木材のうち、福島と長野の木曽ヒノキはシロアリに食害されにくいことが分かっています。同研究では、北に位置しているヒノキほうが耐蟻性としては高いことがあるとされました。
防蟻木材と呼ばれる理由は
そもそも、なぜヒノキはシロアリに強いとされているのでしょうか。研究の結果、ヒノキに含まれるαカジノールなどの化学成分に防蟻の効果があることが分かっています。ヒノキから抽出した成分を使用した防蟻剤もあるほどです。
ベタ基礎とシロアリ
住宅の基礎工法には、布基礎やベタ基礎があります。ベタ基礎では、地面をコンクリートで覆うように施工するため、シロアリに強いと思われがちですが、単にベタ基礎を打っただけではシロアリによる害は防げません。基礎に通風口をつける昔ながらの床下換気や、基礎パッキンによる換気では、換気ムラができ、結露の原因となります。これらの換気方法では、隙間から虫が侵入してしまうのも難点です。
例えば、もりぞうでは「湿気を入れない」「除湿をする」「空気の流れをつくる」といった3つのポイントで床下の結露を防ぎ、シロアリによる害から家を守る工夫を行っています。さらに、基礎を完全に密閉、防蟻断熱材や防蟻シール材などを使用し、シロアリを寄せ付けないような施工を行っているのも特徴です。
ここまで厳重な対策が必要な理由は、シロアリが雑食でどのような建材でも食べてしまうからです。ケーブルや電線、発泡スチロール、ゴム、コンクリートなどまで食害します。室内のピアノや家具にも注意しなければなりません。一度住宅に入り込んでしまうと、駆除を行うまであらゆるものを食べて繁殖を続けます。
住宅を長持ちさせるためには、シロアリが入り込まない工夫が必要です。シロアリへの対策を行う際には、ベタ基礎だから大丈夫と安心せず、さまざまな工夫を行いましょう。
ヒノキの家でもしっかりと防蟻を!
ヒノキは、材質自体に防蟻性があり、防蟻剤にはヒノキから抽出された成分が使用されることもあると分かりました。しかし、いくら防蟻性の高い木材でも「まったく被害を受けない」というわけではありません。住宅自体にも防蟻の工夫を行うことは必要です。「ベタ基礎やヒノキだから大丈夫」と安心せず、さまざまな方法での防蟻を検討してみましょう。(提供:MORIZOU online)
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