金融派生商品とも呼ばれるデリバティブ取引には先物やスワップなどいくつかの種類のものがあります。そうしたデリバティブ取引の中でもオプション取引は特にハイリスクという印象を持たれがちです。しかしオプション取引は正しく理解すれば、むしろ運用資産のリスクをヘッジするためにも活用できる強い味方となります。

以下では、「オプションとはどのような金融商品なのか」「どのように活用すれば運用資産のリスクヘッジにつながるのか」について解説します。

オプション取引とはどのような金融商品か

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(画像=designer491/Shutterstock.com)

オプション取引とは、一言でいえば一定の権利を売り買いする取引です。どのような権利を売り買いするのかというと、将来の期日において特定の商品を決められた価格で売買する権利です。オプション取引の対象となる商品を原資産と呼びますが、この原資産にはさまざまな商品があります。たとえば外国通貨米ドルを対象にしたオプション取引を考えてみましょう。

現在1米ドル100円の状況で、3ヵ月後(将来の期日)に1米ドル(特定の商品)を110円(決められた価格)で買う権利があるとします。買う権利のことをコールオプション、売る権利のことをプットオプションと呼びますので、この例はコールオプションを対象とした取引です。Aさんは3ヵ月後に米ドルを必要としていますが、そのころには米ドルの価値が高くなり、1米ドル120円程度になると予想しています。

そこで今のうちに1米ドルを110円で買うことのできるコールオプションを購入することにしました。この例では3ヵ月後、Aさんの予想通り1米ドル120円まで進行したとしましょう。しかしAさんはコールオプションを有しているので、その権利を行使することにより1米ドル110円で無事に米ドルを手にすることができました。

コールオプションを買ったAさんは相場より10円(=120円-110円)安く米ドルを手に入れて得をしたことになります。ただ、その陰にはコールオプションを売った人もいるはずです。コールオプションを売った人は相場より10円損をしたことになります。このようなオプション取引には、買う権利(コールオプション)と売る権利(プットオプション)のそれぞれについて「買い」と「売り」のパターンが存在するため、合計で4通りの取引があることを意識しておきましょう。

投機にもリスクヘッジにも使えるオプション取引

オプションは権利であるため、オプションを買った人は、「その権利を行使するか」「放棄するか」を選択することができます。これに対して、オプションを売った人は義務を負っている立場のため、オプションを買った人から権利行使された場合にはこれに応じなければなりません。オプション取引は、原資産に対する実需がなくても、投機目的で取り組むことができます。

その場合には確かにハイリスクな金融商品にもなるでしょう。特にオプションを売る場合には損失が青天井になる可能性もあるのです。しかし、原資産をすでに保有していたり、将来原資産を売買したりする予定がある場合には、むしろリスクを回避するための手段としても活用することができます。

どのように運用資産のリスクを低減するか

たとえば、すでに株式を保有しているものの、今後株式相場が下落すると予想している場合、保有株式の損失を回避する目的でプットオプションを購入することも可能です。プットオプションは一定の価格で株式を売る権利であるため、株式相場が下落するとその価値が上がります。そのため、株式相場が下落した場合、保有株式では損失が発生するものの、プットオプションでは利益が発生します。

つまり、現物である保有株式の損失をカバーすることができるのです。現在、個別株に対するオプション取引を提供する証券会社は限られていますが、日経225など株価指数に関連するオプションを活用して株式市場全体のリスクを減殺することもできるでしょう。オプション取引ではコールとプット、売りと買いの組み合わせにより、さまざまなリスクヘッジ方法が考えられます。資産運用している人にとっては研究してみる価値のある商品といえるでしょう。(提供:YANUSY

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