2018年はここ数年のタワーマンションブームが継続する中で、民泊新法施行、税制改革などで不動産市況にも変化が見られた年でした。

2019年は10月に消費税増税が予定されており、不動産については「消費税増税前に買った方が良い」、「消費税増税後の不動産価格下落を予測して消費税増税後に買った方が良い」、さらには「2020年の東京オリンピック終了後に買った方が良い」などの様々な意見があり、マイホームの購入時期をめぐっては買い時かどうかで悩まれることと思います。

今回、2018年の東京23区の不動産価格・相場をおさらいした上で、消費税増税に伴う影響なども考慮し客観的な視点で2019年が買い時かどうかを検証してみました。

東京23区の不動産相場の推移

不動産価格
(画像=WHYFRAME/Shutterstock.com)

ここ数年は都心を中心に空前のタワーマンションブームでマンション価格が高騰していると言う話をよく耳にされているかと思います。タワーマンションは根強い人気があり、最近では郊外にもブームが広がりを見せています。それでは、マンション、土地それぞれで価格はどのように推移しているでしょうか。2018年の東京23区のマンションの㎡単価、土地の㎡単価それぞれ見てみましょう。

マンションの㎡単価は、リーマンショック以降は下落傾向にありましたが、2013年から年々上昇傾向を示しており、変動も大きい傾向にあります。具体的には、2007年は856,000円でしたが、2018年は1,138,000円と11年間で32.94%の上昇が見られます。約10年前より30%以上も㎡単価が上がっていることになります。さらに、マンション平均価格は2017年に7,000万円を突破し、2018年には7,142万円にまで平均価格が上昇しています。

土地の㎡単価も、リーマンショック以降は下落傾向にありましたが、2014年から年々緩やかに上昇しています。しかし、マンションとの違いは上昇率は低水準であり、2018年の㎡単価自体は未だ2007年より若干低い状況です。具体的には、2007年は551,700円でしたが、2018年は550,900円となっており、緩やかな上昇傾向にあるものの2007年比で-0.15%と未だ低い水準と言えます。

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(画像=グラフ1 「東京23区のマンション、土地の㎡単価推移」 sumuzuより)
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(画像=グラフ2 「東京23区のマンション、土地の㎡単価変動率(2007年基準)」 ※データ「東京都基準地価格 区市町村別用途別 平均価格の推移」 「不動産経済研究所 首都圏マンション市場動向」)

マンションの㎡単価上昇に比べて土地は緩やかな㎡単価上昇となっており、それぞれ異なる推移を示しています。マンションの㎡単価上昇の要因は、タワーマンションブームによる人気急騰、建築コスト高騰などが大きな要因と言われています。価格が高騰しても東京23区のマンションが人気である理由は、安心・安全で利便性が高くインフラも整備されている魅力的な都市であり、日本国内のみならず、外国人投資家からも高い支持を得ていることが挙げられます。

土地の㎡単価はリーマンショック以降に下落した後に緩やかに価格上昇してきているものの、未だ低い上昇率で購入しやすい傾向を示しています。

最近はここに目をつける人も増えてきており、価格が高騰したマンションより、立地の良いエリアに土地を購入して住宅を建てる方が多くなってきていると言われています。土地の価格が安定しているという理由だけではなく、民泊新法施行や2018年の税制改革などで規制が強化された結果、タワーマンションより戸建て住宅に魅力を感じる人が増えてきたというのも理由のようです。

それでは、2019年は不動産の買い時か?

不動産価格は市況によって変動し、高い買い物がゆえに欲しい物件が見つかった時に今が買い時かどうかについて悩まれると思います。また、2019年は消費税増税が予定されており専門家によっても、消費税増税前に買うべき、今は待つべきなどの見解で分かれています。2019年の市況や今後の動向を考慮して今が買い時であるか待つべきかを検討するポイントを下記に示します。

ポイント1:土地(一戸建て)を購入したい方は、土地価格が低水準にあり購入には良いタイミング
前述の通り、土地の価格はまだ低水準状況にあります。しかし、緩やかであるものの上昇傾向にありますので、低金利で土地価格水準が低い時期を狙って購入できる今は良いタイミングと言えます。但し、エリアによって地価の変動傾向は異なりますので、エリア情報や相場情報をきちんと把握した上で、将来に渡って高い資産価値が維持できる立地条件の土地を購入することをおすすめします。

ポイント2:消費税だけに捉われない方が良いものの、できることなら増税前の購入がおすすめ
2019年10月に消費税増税が予定されていますが、下記の通り消費税増税後の住宅購入支援策が国土交通省から発表されています。

(1)住宅ローン減税の控除期間が3年延長(建物購入価格の消費税2%分減税(最大))
(2)すまい給付金 最大50万円に拡大
(3)新築最大35万円相当、リフォーム最大30万円相当のポイント制度創設
(4)贈与税非課税枠 最大3,000万円に拡大

※予算案、関連税制法案が今後の国会で成立することが前提(④を除く)
※2019年2月時点での情報です。

消費税増税があるからと言って、不動産仲介会社から煽られて消費税増税前に駆け込みで衝動買いすることは避けた方が良いですが、早期に購入予定がある方については、できることなら消費税増税前に購入する方がおすすめです。

その理由は、住宅ローン減税は延長する3年間は建物価格の2%の3等分と借入残高の1%のどちらか少ない方となっており、あくまで11年目以降に受けられる措置になっています。さらに、消費税増税により住宅ローン借入額が増えることから金利負担が増える上に、仲介手数料にも消費税がかかりますので、できることなら2019年10月の消費税増税前に購入するのがおすすめです。

ポイント3:マンションから一戸建てへの買い替えを検討している方は早めの決断がおすすめ
東京23区の中古マンションの㎡単価は76万円と依然として高く、前年同期比より高い水準で取引されています。しかし、一方で上昇傾向であった価格に調整局面の兆候も見られます。

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(画像=グラフ3 東京23区の中古マンション㎡単価推移 ※データ 「東日本不動産流通機構 季報 Market Watch 2018年10~12月期」)

マンションから一戸建て住宅への買い替えを検討している方は、できるだけ現在のマンションを高値で売却して、買い替えの一戸建てはできるだけ安価に手に入れたいと思われますが、その両方を満たすにはタイミングが非常に重要です。

今はまだ中古マンションの価格相場が高い状態のため、時期としてはチャンスと言えるでしょう。政府で循環型社会を目指すべく中古住宅の流通を推進していることや、リノベーションブームなども後押しして、中古マンションが見直されていることもあり、中古マンション売却には適している時期と言えるでしょう。

ポイント4:住宅ローン金利は超低金利の今がお得
民間金融機関の変動金利(店頭金利)は2009年以来、2.475%で推移しており、金利優遇を受けるとかなり低水準の金利が継続しています。固定金利も低金利が継続しており、金利面を考えると住宅購入にはかなり有利と言えます。この低金利がいつまで継続するかも意見が分かれるところですが、低金利で住宅ローンを組める今はかなり有利であると言えます。

ポイント5:オリンピック終了後かどうかで悩むなら資産価値の高い土地購入がおすすめ
2020年の東京オリンピック以降に不動産価格が下落するとの意見があり、買い控えた方が良いと言う意見もみられます。しかし、ロンドンのようにオリンピック開催後も不動産価格が上昇している事例もありますし、インバウンド効果でさらに地価上昇するという意見もあります。

オリンピック後に不動産価格が下落すると予測して住宅購入プランを予め検討するよりも、ご家族や自身のライフプランの中で購入計画を立てることをおすすめします。少子高齢化や都市部と地方の二極化など、目まぐるしく変化する市況であるからこそ、後で後悔しないように、できる限り資産価値の高い土地・住宅を手に入れたいものです。

まとめ

2019年は消費税増税やオリンピックを前年に控えるなど、不動産市況にも少なくとも影響がある年になるでしょう。不動産購入をめぐっては、さまざまな意見で溢れるからこそ冷静に判断する必要がありますが、何よりもタイミングを逸しないことが最も大事でしょう。今は、マンションの価格上昇率と比べて土地の価格上昇率は緩やかであり、価格も低い水準にあること、住宅ローンが低金利であることから、土地を購入して注文住宅を建築したい方にとっては追い風と言えます。

また、不動産売却を考えている方で、特に中古マンションを売却したいと考えている方にとっても高値で売却できるタイミングと言えるため、買い替え希望の方にとっては近年稀に見る追い風のタイミングと言えるでしょう。2019年10月の消費税増税前に不動産購入できればベターですが、くれぐれも不動産は高い買い物ですので、衝動買いして後悔することだけは避けるべきですので、しっかりと見極めましょう。(提供:sumuzu

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