新しい投資の形として、また事業資金の調達方法として注目されているのがソーシャルレンディングだ。利回りのよさだけでなく、新しく何かを始めるベンチャー企業や中小企業を応援できる点にも魅力を感じる投資家が多い。その中でも不動産に投資するソーシャルレンディングファンドは、担保が設定されているため安全性が高いというのがメリットだ。そこで今回はソーシャルレンディングとはどんなものなのかという点や、ソーシャルレンディングの中でも不動産ファンドのメリット、デメリット、不動産投資との比較などを紹介していく。
目次
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの一種で、多くの人から事業のための資金を融資してもらえる仕組みだ。
クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた言葉で、ある目的を持った個人や法人に対して、インターネットを通じて不特定多数の出資者が資金を提供する。クラウドファンディングには、資金提供をした出資者にはまったく見返りがない「寄付型クラウドファンディング」、物やサービスが提供される「購入型クラウドファンディング」などさまざまな種類がある。ソーシャルレンディングは「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれており、資金提供をした出資者は利息(分配金)とともに返済金を受け取ることができる。
ソーシャルレンディングは、資金提供をすると分配金を受け取る仕組みになっているため、金融商品として位置づけられている。そのためソーシャルレンディングを行う業者は、原則として金融商品取引法上の業者登録が必要だ。
ソーシャルレンディングの世界市場は、TMRの調査によれば2015年時点で約260億ドル(約2.6兆円)に達している。クラウドポートのレポートによれば、日本でも2017年には1,316億円を突破しており、かなり大規模な市場に成長中だ。
不動産ファンドを行うソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングの中でも安定していると注目されているのが不動産型ソーシャルレンディングだ。投資対象となる不動産が担保として設定されているため、万が一ファンドが破たんしても担保である建物を売却することができるため、投資資金がすべて失われる可能性が低いのがメリットだ。
不動産型ソーシャルレンディングについて詳しく紹介していこう。不動産型ソーシャルレンディングでは、不動産関連事業に対して事業資金を融資する。集めた資金は不動産に関する事業を行う業者に貸し付けられ、その後利息とともに返済される。募集期限と利率はあらかじめ決定されているため、長期にわたって安定した利益を得ることが可能となる。担保は必ずというわけではないが、多くのファンドに設定されている。万が一債務不履行が起きた場合、担保を売却して得た売却益が返金されるため、出資金がゼロになることは少ない。
不動産型ソーシャルレンディングのメリットとデメリットを比較
不動産型ソーシャルレンディングのメリットとデメリットはどのような点があるのだろうか。メリットとしては、利回りが高く、保全性が高い、手間がかからないといったことが挙げられる。
不動産型ソーシャルレンディングの利回りはファンドによって異なるが、4.0%から、高いものだと10%を超える場合もある。またデフォルトの可能性はあるものの、担保物件の売却によって補填されることで、投資した資金すべてを失うわけではないというのもメリットだ。
さらに、不動産型ソーシャルレンディングでは一度投資したらあとは分配金を受け取るのみで、株式投資のようにマーケットをチェックして売買を行う必要がなく、手間がかからない。本業があり、投資に時間を割けないサラリーマン投資家にも始めやすい投資といえる。
では不動産型ソーシャルレンディングのデメリットはどのようなものがあるのだろうか。
不動産型ソーシャルレンディングの最大のデメリットは、大きな利益を出すことはできないという点だ。株式投資やFXなどは市場の動きによって資産を数倍に増やすことが可能だ。しかし不動産型ソーシャルレンディングの場合は、利回りは最高でも12%前後。最初に決められた利回り以上に利益を出すことはない。同じ投資資金を投入した場合、大きく資産を増やす可能性は株式投資やFXの方が上だ。不動産型ソーシャルレンディングはあくまでコツコツと利益を生み出すための投資となる。どれだけ投資に精通していても、大きな利益は生み出せない。その反面、ある程度の知識があれば初心者でも利益を出しやすい投資といえる。
デフォルトの可能性があるのもデメリットだ。不動産型ソーシャルレンディングでは、不動産事業を行う事業者に投資するが、物件の運用がうまくいかなければ返済不可能となる。担保があるということで比較的安定性はあるものの、元本割れの可能性もあるため、ファンド選びは慎重にしなくてはならない。
流動性がないことも注意だ。株式投資やFXは、状況に応じて売却し、資産を現金化することができる。しかし不動産型ソーシャルレンディングはあらかじめ決められた運用期間中、売却をすることはできない。そのため投資したあと、資産をすぐに現金化したい場合にはかなり不便だ。分散投資先のひとつとして不動産型ソーシャルレンディングを選ぶのならよいが、手元の投資資金すべてをつぎ込むには向いていない。
不動産投資やJ-REITとの違いを比較
不動産関連の投資としては、J-REITや不動産投資もあるが、不動産型ソーシャルレンディングとの違いとして、どのような点が挙げられるのだろうか。
J-REITは「不動産投資信託」とも呼ばれており、不動産投資を多くの投資家が共同で行う仕組みだ。個人で購入する不動産の額は限界があり、マンションの一室などに限られる。そこでJ-REITでは投資法人が中心となり、幅広い層から投資を募る。そうして多くの資金を集めることで、オフィスビルや商業施設、マンション1棟など大規模な不動産に投資を行う仕組みとなっている。投資した不動産から得られた収益は投資家たちに分配される。
不動産投資では、自己資金や金融機関からの借入金でマンション、アパート、店舗物件などの不動産を購入する。購入した不動産は賃貸に出して収益を得、金額が上がった場合は売却して売却益を狙う投資だ。
ソーシャルレンディングとJ-REITは金融商品に分類される。不動産投資は不動産そのものを購入する投資だ。
ソーシャルレンディング | J-REIT | 不動産投資 | |
---|---|---|---|
最低出資額 | 1万円程度 | 5万円~ | 物件にもよるが数百万から数千万 |
インカムゲイン | 〇 | 〇 | 〇 |
キャピタルゲイン | × | 〇 | 〇 |
資金の流動性 | × | 〇 | 〇 |
ソーシャルレンディング、不動産投資、J-REITを比較していこう。この中で一番資金が少なく済むのがソーシャルレンディングとなる。ソーシャルレンディングは商品にもよるが、1万円程度から投資が可能だ。一方J-REITは不動産そのものを購入するよりも少ない資金で投資ができるが、最低でも5万円、多くの商品は10万円から20万円のものが中心となる。もっとも投資資金を必要とするのが不動産投資で、投資する物件にもよるが数百万円から数千万円の資金を用意しなくてはならない。
得られる利益についても見ていこう。ソーシャルレンディングで得られる利益は最初に決められた分配金のみだ。利率は比較的よいものの、最初に提示された金額上に利益を出すことはできない。ソーシャルレンディングは募集期間が決められており、その後他の投資家に売却することもできない仕組みになっているため、キャピタルゲインも得られない。
それに対してJ-REITや不動産投資では、毎月一定のインカムゲインだけでなく、売却益を狙うこともできる。J-REITは証券会社を通じて売却することが可能だ。価格も株式市場などと同様に上下するため、購入した価格よりも上がった時点で売却することで、売却益が得られる。不動産投資でも同様に、家賃として受け取るインカムゲインだけでなく、不動産を売却して得られる売却益を狙うことも可能だ。ただし売却時に、損失を出すこともある。どこで売却するのかを見極めるのはとても重要だ。
不動産型ソーシャルレンディングの始め方とは
不動産型ソーシャルレンディングを始めるには、まずはソーシャルレンディングを取り扱っている金融機関で口座を開設する。口座開設は通常の株式投資などを行う総合証券口座と同様の手続きでOKだ。
口座を開設したら、ソーシャルレンディングファンドを選ぶ。集めた資金はどんな事業に貸し付けられるのか、利回り、返済期間、担保の有無について確認し、比較していこう。特に確認しておきたいのが担保の有無だ。万が一債務不履行が起きた場合でも、担保が設定されていれば資金の一部は戻ってくる可能性が高い。安定性を求めるのであれば、担保が設定されているファンドを選ぼう。
投資するファンドを選んだら、業者を通じて投資申し込み手続きを行う。注意してほしいのがソーシャルレンディングファンドは募集期間が設定されており、期間終了後は投資することはできないという点だ。募集期間も確認しておき、期間内に申し込みをするようにしよう。
申し込みができたら運用が開始される。ファンドからの運用レポートを確認しておこう。株式投資や投資信託とは違って売却などはできないため、申し込みをしたあとは分配金を受け取るだけでよい。そのため、忙しい投資家でも比較的手が出しやすい投資といえる。
不動産型ソーシャルレンディングを取り扱う業者を比較
不動産型ソーシャルレンディングを始めるには、取り扱いを行う業者に口座を開設する必要がある。それぞれの業者によって取り扱っている不動産型ソーシャルレンディングファンドは異なるため、まずは口座開設を行う業者を選ぶことが重要だ。
不動産型ソーシャルレンディングを取り扱う業者について紹介し、比較していこう。
業者名 | 利率 | 投資額 |
---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 6.5~9.0% | 1万円から |
オーナーズブック | 4.0~6.0%中心 | 1万円から |
maneo | 5.0~8.0% | 4万円から |
LCレンディング | 4.0~10.0% | 2万円から |
クラウドバンク | 平均6.99% | 1万円から |
SAMURAI | 5.0~10.0% | 1万円から |
アメリカンファンディング | 8.0~10.0% | 2万円から |
クラウドリアルティ | 4.5~10.0% | 5万円から |
LENDEX | 7.0~10.0% | 2万円から |
さくらソーシャルレンディング | 6.5~7.5% | 2万円から |
キャッシュフローファイナンス | 7.0~12.0% | 2万円から |
ポケットファンディング | 4.0~7.0% | 1万円から |
SBIソーシャルレンディング
SBIグループのソーシャルレンディング業者。SBIグループならではの安心感が魅力だ。モーニングスターによる「Gomezソーシャルレンディングサイトランキング」でNO.1になるなど、使いやすさや取扱商品に定評がある。不動産の売買を行う事業者向けの貸付事業で運用する「SBISL不動産バイヤーズローン」は随時募集となっており、利回りは最高9.0%だ。
オーナーズブック
不動産のプロが厳選した案件に投資できるソーシャルレンディング業者。貸付型はすべて不動産担保が付いているため、万が一債務不履行が起きた場合でも安心だ。運営を行っているロードスターキャピタル株式会社は、総合不動産会社のため不動産投資に対して知識と経験が豊富。利回りは比較的低いものの、不動産投資のプロが選定しており安全性が高いのが魅力。
maneo
日本で初めてソーシャルレンディングを取り扱った草分け的業者。成立ローンの総額は1,640億円を超え、登録ユーザー数は8万7000人以上と業界トップに立っている。取り扱うファンド数もかなり多い。また、maneoに会員登録をすると、提携している他のソーシャルレンディングサービスにデータ提携され、新しく登録する必要がないため、幅広いファンドを探しているのなら、まずはmaneoに登録しておきたい。LCレンディング、アメリカンファンディングなども提携している。独自の会員ステータス制度も導入しており、ファンドの中には会員ステータスを満たしていないと投資できないものもある。
LCレンディング
LCメディコム、LCパートナーズを運営するLCグループのソーシャルレンディング業者。主にグループ企業の不動産投資に対する案件を取り扱っている。最大の特徴は「LCホールディングス保証付ファンド」だ。融資を行う場合、「LCホールディングスの連帯保証」を付けることで貸し倒れリスクを低減させている。運用期間が3カ月と短い案件も取り扱っており、短い期間で確実な運用を行いたい投資家に注目されている。
クラウドバンク
クラウドバンクはさまざまなソーシャルレンディング案件を手掛けるソーシャルレンディング業者だ。不動産だけでなく風力、太陽光、バイオマス、地熱など幅広い案件を取り扱っている。地域も日本国内に限らず、海外への投資案件もあり、海外への分散投資を検討している投資家にも魅力的な内容となっている。投資や経済に関する情報サイトも運営しており、投資初心者でも始めやすいのが魅力だ。
SAMURAI
SAMURAIはジャスダックに上場しているSAMURAI&J PARTNERS 株式会社の100%子会社になる。また、強みとしては第一種金融商品取引業者(証券会社)としての登録を行っていることだ。第一種金融商品取引業者は、一般的なクラウドファンディング業者が登録する第二種金融商品取引業者よりも資本の充実などが求められるため、より安心して投資ができる。不動産型ソーシャルレンディングをはじめ、太陽光や事業資金などさまざまな種類のファンドを取り扱っている。
アメリカンファンディング
アメリカンファンディングは、アメリカの不動産物件に対する投資に特化したソーシャルレンディング業者だ。ほとんどの投資案件にはアメリカ国内の不動産物件が担保に付いている。またひとつのローンファンドに2件以上の借り手を付けることで投資対象を分散し、リスク分散に努めている。個人ではなかなか難しい海外の不動産投資を低リスクで行うことができるのは魅力的だ。
クラウドリアルティ
クラウドリアルティは、国内外の不動産に特化したソーシャルレンディング業者だ。国内のプロジェクトは、不動産の再生、リノベーション、新規開発など幅広い種類のプロジェクトをサポートしている。国内プロジェクトの場合、それぞれどんな業者がどんなプロジェクトを行うのかが詳細に記載されているのが特徴だ。不動産の証券化とクラウドファンディングを組み合わせた形をとっており、プロジェクトの運用次第では金利だけではなくキャピタルゲインを得られる可能性もある。海外のプロジェクトは、それぞれの国の事業者と提携して資金を貸し出すというもの。ただし為替ヘッジがされておらず、為替リスクがあることに注意しておきたい。
LENDEX
LENDEXはリスクを低減させるため、1年以内の短期投資を中心にしたソーシャルレンディング業者だ。東急リバブル株式会社と提携しており、担保不動産をLENDEXと東急リバブル両方で価格査定を行うのが特徴。2つの査定価格を比較し、いずれか低い方の80%を上限にファンドを組むことで、さらにリスクを減らしている。安全性の高い短期投資案件を探しているならチェックしておきたい。
さくらソーシャルレンディング
福岡県に本社を持ち、地方に特化した不動産型ソーシャルレンディングを提供するのがさくらソーシャルレンディングだ。日本全国を8つの地域に分け、それぞれの地域の地元に密着した事業者とパートナー契約を行うことで、不動産投資をはじめとするファンドを提供している。売買不動産案件、不動産分譲開発投資案件だけでなく、開業・設備資金の投資案件、自然エネルギー事業案件などもあり、幅広い投資が可能だ。
キャッシュフローファイナンス
不動産を中心に、日本国内の案件を取り扱うソーシャルレンディング業者。中長期的に安定したキャッシュフローが見込める案件の財務分析を行い、ある一定基準をクリアしたものだけを取り扱っている。
ポケットファンディング
沖縄を中心とした不動産型ソーシャルレンディングを取り扱う会社がポケットファンディングだ。沖縄県は国内トップクラスの人口増加率を誇っており、リゾート地としても人気なため、数多くの不動産開発案件が進んでいる。ファンドには沖縄県内の不動産投資に関するものが多くそろえられており、軍用地が担保になったファンドなど他のソーシャルレンディング業者では見られないものもある。投資期間は12カ月が中心で、6カ月、24カ月以上のものもある。また、担保があるものについては、貸付の上限額が担保評価額の70%以内に抑えられており、仮に物件の価値が下がっても、30%の余力があるのも安心だ。
不動産投資型クラウドファンディングとは?
不動産担保付きのソーシャルレンディングの案件も多いが、不動産投資型クラウドファンディングは事業所を介して直接的に不動産へ投資を行うことも可能だ。
不動産投資型クラウドファンディングの仕組み
不動産投資型クラウドファンディングは、事業所が投資家から資金を集めて、その資金を利用して不動産を取得し運営を行う。ここから発生した利益を投資家に配分するという仕組みである。
ソーシャルレンディングは企業に融資するために投資家から資金を集めるので、不動産投資型クラウドファンディングとは資金を集るための目的が異なることが特徴的だ。
不動産投資型クラウドファンディングサイトの例
・CREAL
「CREAL(クリアル)」はその名の通り、不動産投資の情報を明確(クリア)にして、情報格差をなくすことを目的にしており、株式会社ブリッジ・シー・キャピタルが運営を行っている。
第1号案件であった「第1号浅草ホテルファンド」の募集金額が8.8億円と、他の事業者と比べても桁違いの規模を誇っている。初年度で100億円の投資目標を掲げており、今後も大型な案件が出てくると予想される。
法人口座の開設を可能としており、投資対象の物件を動画で確認できることが特徴として挙げられる。最低投資金額が1万円からと投資初心者におすすめできる事業所である。
・FANTAS funding 中古マンションや再生物件などを主に取り扱っており、株式会社Fantas Technologyが運営を行っている。
利回りが10%を想定される案件もあり、他の事業所よりも高い利益が設定されていることや、空き家を再生させる案件に投資を行えば、社会問題となっている「空き家問題」の解決にも結びつけていることが特徴だ。
・RENOSY 2018年にマザーズに上場した株式会社GA technologiesが運営を行い、首都圏の中古マンションを主に取り扱っている。また手続きをすべてオンライン上で完結することが可能だ。
他の事業所では案件に投資できる権利は先着順だが、RENOSYでは抽選式で投資者を決定している。そのため投資先をじっくりと決めることができる。
最低投資金額が1万円からで投資期間が3ケ月の案件も多く、資金の流動性を重視したい投資家にとってはおすすめの事業所と言えるだろう。
ソーシャルレンディング業者を選ぶポイントとは
ソーシャルレンディング業者は数多くあるが、どのような点に注意して選べばいいのだろうか。ソーシャルレンディング業者を選ぶポイントについて紹介していこう。
まずチェックしたいのが、取り扱っているファンドの種類と利回りだ。それぞれのソーシャルレンディング業者によって取り扱うファンドは異なる。例えばmaneoに登録すれば提携しているソーシャルレンディング業者のファンドに投資することができるが、提携していない業者のものには投資はできない。取り扱っている証券会社で口座を開設する必要があるが、費用がかからないため、複数の業者に口座開設するのもよいだろう。
次に確認しておきたいのが、デフォルトの発生率とデフォルト後の対応だ。比較的安定性が高いといわれている不動産型ソーシャルレンディングだが、どのソーシャルレンディング業者を選んだとしてもデフォルトが起こる可能性は否めない。しかしある程度融資先や担保に対する上限額を厳しく選定している業者であれば、デフォルトの発生率は低く抑えることが可能だ。デフォルトした貸付元本がどれくらいあるのかをそれぞれのソーシャルレンディング業者で確認しておくことで、リスクを把握できる。例えばSBIソーシャルレンディングの場合、オーダーメード型ファンドの貸付総額766億4,840万円に対し、デフォルト下貸付元本は1億8,382万2,417円で、比率にすると約0.24%だ。安定性という面で考えると、オーナーズブックが事業開始より2019年6月の時点でいまだに一度もデフォルトを起こしておらず、抜群の安定性を誇っている。
デフォルトを起こしたとしても、その後の対応によってソーシャルレンディング業者の評価は変わる。例えばSBIソーシャルレンディングで2018年7月に起きた「SBISL不動産バイヤーズローン」の遅延では、素早く回収に動き、約30億円という大規模な延滞案件でありながら約4カ月後には貸付額の90%近い額を償還した。この対応により、SBIソーシャルレンディングの対応力を評価した投資家も多い。2017年から2018年にかけては複数の業者で遅延やデフォルトが起こり、不動産型のみならずソーシャルレンディングへの信頼度が揺らいだのは事実だ。その中でしっかりとした対応ができた業者は、今後も起こりうる遅延やデフォルトにもきちんと対応していけると考えられる。
ここまで不動産型ソーシャルレンディングについて解説してきた。不動産型ソーシャルレンディングは遅延やデフォルトの可能性を含んでおり、元本保証はされていない。しかし投資はすべて元本割れのリスクをはらんでいるものであり、株式投資やFXと比較してもリスクは少ない方だといえる。
特に不動産型は担保となる不動産があることで、遅延やデフォルトが起こった場合、元本をすべて失うのではなく、ある程度は回収できる見込みがあるのがメリットだ。
一獲千金は狙えないものの、貯蓄や投資信託など安定性のある資産運用と比較しても利回りはよい。さらに一度投資したら、分配金を受け取るだけでよいため手間がかからず、本業を持つ投資家にとって始めやすい投資となっている。
ソーシャルレンディングを取り扱う業者も増えており、それぞれ特徴のある不動産型ソーシャルレンディングのファンドが募集されているため、ぜひ一度検討してみてほしい。(ZUU online 編集部)