イノベーションを生み出すビジネスモデルの「型」とは?

以前は、商店街も十分な価値を持っていました。八百屋が、野菜や果物を揃えてくれるから、必要なものがすぐ手に入ります。郵便局の配達員が手紙を届けてくれるから、大切な人に思いを届けられます。

そんな中、最先端のIT企業が、それをもっと便利にしようと頑張った結果、人がネット空間に訪れるようになりました。

ただ、言えることは、上記の事例の通り、商店街が本来果たしていた価値が不要になったわけではないということです。ビジネスモデルに秘められた「型」は、商店街もIT企業も一緒なのですから!

ということは、商店街の1つ1つのお店をもっと便利にすることを考えれば、イノベーションのアイデアが生まれる可能性がありそうです。

例えば、小さな書店に置ける本の数は限界があります。が、その限界をとっぱらってしまうとAmazonが生まれる、というようにです。

こうした、アイデアを生み出すためには、ビジネスモデルの「型」を知っておくと便利です。

前述した「型」以外にも、代表的なものとして以下があります。

まず、自分の能力を活かしてサービスを行う「能力(自家発電)モデル」。そして、他社が開発した商品を代わりに売る「販売代行モデル」。商品価値をもった方の力を借り付加価値を付けてサービスを提供する「プロデュースモデル」。たくさんの面倒な手続を代わりにしてあげる「パッケージングモデル」。最後に、全く新しい付加価値をつけ、もとの商品とは完全な別商品としてしまう「価値転換モデル」。<参考>『失敗をゼロにする起業のバイブル』CHAPTER 5)

商店街にある家族経営の店舗等に、これらの型がどのように活用されているのかを表でまとめてみると、次の表のようになります。

ビジネスモデル,中山史貴
(画像=THE21オンラインより)

イノベーションとは、新しい「型」を付け加えること!

この表から分かるように、1つの事業に1つのみの「型」が使われていることもあれば、複数の「型」が活用されていることもあります。

イノベーションを起こすためには、前述のfacebook、Googleの例のように、もともと商店街の事業で活用されていた価値を理解した上で、もっと素晴らしい価値提供方法を考えることが重要になってきます。

それに加えて、比較的簡単なのが、商店街の各事業で現在使われている「型」に、全く別の「型」を付け加えられないかを考えること。

例えば、八百屋は、「情報整理モデル」「販売代行モデル」の組み合わせです。

これに、「パッケージングモデル」を付け加えるとどうなるでしょうか?

「パッケージングモデル」とは、面倒なことは、手間を代わりにしてあげるもの。顧客が野菜に関して面倒だと思っていることには、切ったり、ゆでたりする下ごしらえがあります。そこで、八百屋がそれを代わりにしてあげたとしたらどうでしょうか。

下ごしらえ代行サービスがついた八百屋という新しいビジネスモデルの誕生です!

ネットスーパーよりも便利、痒いところに手が届くということで、もしこのような八百屋があったら、商店街に人の流れが戻るかもしれませんね。