2019年7月に行われた参議院選挙において、与党は過半数を維持したことから「与党勝利」という結果に終わりました。選挙の争点として取り沙汰された消費税の増税についても一定の理解が得られたと解釈されており、消費税の増税が確実視されています。すでに選挙前から消費税の増税にはさまざまな意見や指摘が出ており、景気への悪影響を懸念する声も多く見られました。

不動産を含む投資は景気の動向による影響を受けやすく、投資家の方々にとっても消費税の増税によって受ける影響は大きな関心事の一つです。そこで2019年10月に迫った消費税の増税について不動産投資において考えられる影響と取るべき投資行動を考察してみます。

消費増税の概要をおさらい

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(画像=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

実際に消費税の増税が行われるのは、2019年10月1日からです。それまで8%だった税率が10%に引き上げられることは、すでに多くの人がご存じの通りです。またこれと同時に生活に必要なモノやサービスについては軽減税率を適用するなど低所得者層への配慮も盛り込まれています。ここでいう生活に必要なモノやサービスとは、食料品や新聞といった生活に密接に関わるものが対象です。

これら軽減税率が適用されるものについては、引き続き税率が8%に据え置かれます。

消費増税と不動産投資の関係で押さえておきたいこと3つ

消費税が増税されることに伴い、不動産投資と関わりがある部分について3つのポイントを押さえておきましょう。

1 家賃には非課税
消費税が8%の時点から、家賃は消費税の非課税扱いです。これは10%に増税されてからも変わらないため、家賃の非課税は継続します。これは不動産投資家の立場から見ると不動産経営に要する他の費用で増税の影響を受けたとしても、家賃への転嫁は難しいということです。

2 物件の購入には課税されるため増税による負担増
家賃に消費税は課税されませんが、収益物件の購入には消費税が課税されます。ただし土地と建物はそれぞれに扱いが異なり、土地は非課税であるのに対して建物は消費税が課税され増税の対象です。税率が引き上げられるため、不動産投資家にとっては負担増となります。土地分を差し引いても不動産は高額商品であるだけに2%増といっても税額が高額になりがちなので、決して看過はできません。

3 駆け込み購入と増税後の市場冷え込み
2%増といっても増税分の負担を看過できないと考えるのは、他の不動産投資家も同じです。そのため家電製品や自動車などと同様に、高額商品である不動産の駆け込み購入が起きています。これは本来もっと先にあった需要を先に取り込んでいるだけなので、増税後は市場の冷え込みが考えられます。逆に増税後の市場冷え込みは価格下落要因になるため、そのタイミングを狙う投資家も多いかもしれません。

消費増税後を生き抜く防衛策

収益物件の購入費用をはじめ、不動産投資の仕入れにあたる多くの部分で消費税増税の影響が生じます。そこで不動産投資家が取りうる防衛策を以下の3つに分けてみました。

・戸建て住宅や一棟物件など物件価格のうち土地の比率が高い物件が狙い目(土地の費用には消費税が非課税となるため)
・購入物件が決まっている場合は増税前に購入しておく
・急いでいない限り増税直後は売買ともにせず静観する

土地の売買について消費税が発生しないというのは、不動産投資に元からある大きなポイントです。区分マンションは土地の比率が低いため非課税の恩恵が少なくなりますが、土地の比率が高い収益物件だと非課税メリットが大きくなります。また増税前と増税後の不動産市場では、駆け込み需要とその後にやってくる冷え込みを考慮することが必要です。

すでに購入する物件が決まっているような場合は駆け込み購入が得策でしょう。しかしまだ購入する意向はあっても具体的な物件が決まっていないような場合は、増税後の価格下落をビジネスチャンスととらえる逆張りの発想も有効といえます。(提供:YANUSY

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