毎年、世界の億万長者のランキングが発表されます。しかし、今年(2019年)もまた、アマゾンのジェフ・ベゾフ氏、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、投資家のウォーレン・バフェット氏と、ランキング上位の顔ぶれはほとんど変わりません。ここ10年、上位の人々が順調に資産を増やしているだけです。なぜなのでしょうか?

このままでは、世界の富のほとんどがお金持ちに集まっていくだけになるでしょう。

アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏がトップ

億万長者番付,顔ぶれ
(画像=jesterpop/Shutterstock.com)

米経済誌『フォーブス』は、毎年、「世界の億万長者番付」(The World's Billionaires)を発表しています。対象者は、保有資産額が10億ドル(約1,100億円)以上のビリオネアで、資産はドルベースで計算されています。

2019年のトップ10は、次の通りです。

1位ジェフ・ベゾス:アマゾン(1,310億ドル)
2位ビル・ゲイツ:マイクロソフト(965億ドル)
3位ウォーレン・バフェット:バークシャー・ハサウェイ(825億ドル)
4位ベルナール・アルノー: LVMH(760億ドル)
5位カルロス・スリム:テレフォノス・デ・メヒコ(640億ドル)
6位アマンシオ・オルテガ:インディテックス[ザラ](627億ドル)
7位ラリー・エリソン:オラクル(625億ドル)
8位マーク・ザッカーバーグ:フェイスブック(623億ドル)
9位マイケル・ブルームバーグ:ブルームバーグ(555億ドル)
10位ラリー・ページ:グーグル(508億ドル)

10年前、トップはビル・ゲイツ氏だった

では、10年前、2009年はどうだったでしょうか?

1位ビル・ゲイツ:マイクロソフト(400億ドル)
2位ウォーレン・バフェット:バークシャー・ハサウェイ(370億ドル)
3位カルロス・スリム:テレフォノス・デ・メヒコ(350億ドル)
4位ラリー・エリソン:オラクル(225億ドル)
5位イングヴァル・カンプラード:イケア(220億ドル)
6位カール・アルブレヒト:アルディ(215億ドル)
7位ムケシュ・アンバニ:リライアンス(195億ドル)
8位ラクシュ・ミッタル:ミッタル・スチール(193億ドル)
9位テオ・アルブレヒト:アルディ(188億ドル)
10位アマンシオ・オルテガ:インディテックス[ザラ](183億ドル)

トップ10のうち5人の顔ぶれは2019年と同じです。また、2009年にトップ10に入っていたのに2019年にトップ10外になったムシュケ・アルバニ氏、カール・アルブレヒト氏などは、トップ50まで広げると、みなランクインしています。

2019年の8位のマーク・ザッカーバーグ氏が2009年にランクインしていないのは、フェイスブックがまだ上場していなかったからです。フェイスブックの上場は2012年です。

つまり、2つの番付からは、億万長者の顔ぶれが、ここ10年でほとんど変わっていないことがわかります。なぜなのでしょうか?

株価の上昇が大富豪たちの資産を増やした

億万長者の資産の中心は持ち株です。上位ランキングの顔ぶれのほとんどが大企業の経営者や創業者なのはそのためです。もちろん、債券、不動産、クルマ、絵画などの資産もカウントされますが、株式に比べたら、その額はたいしたことはありません。

つまり、持ち株の株価が大幅に下落しない限り、億万長者の資産は減ることはなく、逆に順調に増えていきます。

2019年のビル・ゲイツの資産額は965億ドルですが、2009年は400億ドルでした。なんと、倍増しています。同じくウォーレン・バフェット氏は825億ドルですが、2009年は370億ドルでした。

2008年9月にリーマン・ショックが起こり、世界は深刻な金融危機に陥りました。NY株価は大幅に下落しました。2017年10月、1万4,000ドル台を付けた株価は、2009年3月には6,626ドルというリーマン・ショック後の底値を付けました。

しかし、その後は回復し、2013年2月に1万4,000ドル台に戻すと、その後は順調に値を上げて、いまや2万6,000ドル台に達しました。この株価の上昇が、大富豪たちの資産を順調に増やしたのです。

金融緩和マネーが富裕層に流れ込んでいる

不動産はどうでしょうか?

アメリカの住宅価格は毎年上昇しています。特にニューヨーク・マンハッタンの上昇率は高く、リーマン・ショック以降、2012年からは右肩上がりの高値更新が続いています。

ニューヨークだけではありません。全米の主要20都市では住宅価格の前年比上昇率が毎年更新されてきました。

株価、不動産価格を押し上げるマネーは、リーマン・ショック以降の大規模な金融緩和によって供給されています。日銀をはじめ、FRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)も緩和を続けてきました。

中央銀行がカネを刷ってバラまいてきたのです。その結果、マネーはますます富裕層に集中しています。

「GAFA」が引っ張る「適温相場」はまだ続く

トランプ大統領は、「ドル安がいいのか、ドル高がいいのか。どっちだ?」と、真夜中に側近に電話するぐらいですから、経済原理がわかっていません。ただし、株価は上がればいいと信じ込んでいます。それで、FRBに「利下げしろ」と強要するのですから、当分、「適温相場」は続くでしょう。米中貿易戦争がエスカレートしようと、ほとんど関係ありません。

これまでNY株価を押し上げてきたのが、「GAFA」(ガーファ)です。グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取って命名されました。このGAFAが今後も株式市場を引っ張っていくでしょう。

いまはデジタルエコノミーの時代です。今後、次世代通信は5Gになり、それとともにIoTが進み、クルマは自動運転になります。このまま、よほどの変動がない限り、富裕層の顔ぶれは変わらないでしょう。(提供:JPRIME


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