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J-REITは 着実に拡大 REIT指数からみる成長

J-REITの指数回復が鮮明となっています。 第二次安倍政権が発足してから過去の東証REIT指数を確認してみましょう。

最 高 値     2007年 5月31日  2612.98

最 安 値     2008年10月28日   704.46

第二次安倍政権発足 2008年12月26日   1110.65

現   在     2014年 9月19日  1639.15

不動産ミニバブルの崩壊のきっかけとなったリーマンショックが2008年9月15日ですが、最高値を付けた2007年5月31日から最安値を付けた2008年10月28日まではじりじりと値を下げています。これはアメリカに端を発したサブプライムローンの不良債権問題が大きく影響しています。

その後、徐々に回復してきた東証REIT指数は第二次安倍政権発足時に1110.65、現在では1639.15となっています。注目するべきは、景気の低迷を続けていた民主党政権時においても東証REIT指数は上昇を続けていたということです。第二次安倍政権後に急伸したように思えるREIT指数は、実はその前段階から着実に値を上げておりました。


J-REITの指数が伸びている原因と今後の指数動向

1. なぜここまで買われるのか?

では、何故、ここまでJ-REITが買われるのでしょうか。それは投資家が投資商品に何を求めるのかということに尽きると思います。J-REITはキャピタルゲインを狙うというよりもインカムゲインを着実に積み上げることに向いている投資商品です。さらに、2001年9月にスタートしたJ-REITは2014年の9月で13年という歴史も作りました。サブプライムローン問題、リーマンショック等の時期には破綻する銘柄も出ましたが、信用不安を抱えた銘柄は合併再編を行うなどしてむしろJ-REITの健全度は高まりました。

安定した収入を得られるという信頼があれば多くの投資家が集まります。特に銀行や信用金庫などの金融機関は融資残が減ったり、金利競争に巻き込まれたりするなどして本業は苦戦しておりますから、これらの機関投資家が比較的安全性の高い投資商品となったJ-REITに群がるという動きがおこっておりあます。さらにはNISAの存在が追い風となっています。J-REITは株式投資に比べ分配金利回りが高めに推移しているため、NISAの恩恵を受けやすい投資商品と言えるのです。

2. REIT指数はどこまで伸びる?

さて、今年に入ってからも人気が続いているJ-REITですが、どこまで上昇するのかということは気になるところです。REIT指数を確認すると、過去最高値は2612.98で、9月19日時点の終値は1639.15です。現在の REIT指数 は最高値の約63%弱です。まだ、最高値更新まで約37%程度の余地があります。しかしながら、 REIT指数が 最高値の時期は不動産ミニバブルが起きていると巷でも言われていた状況です。最高値を更新する頃には不動産市況が再びバブルになっている可能性もあります。ここで押さえておきたいことは2つです。

1つは長期国債利回りとの差、もう1つは賃料の上昇可能性です。一般的に長期国債利回りとJ-REITの分配金利回りの差が3%を切ると警戒が必要と言われています。この差が縮まる要因は、長期国債利回りが上昇する場合と分配金利回りが下がってくる場合の2つがあります。さらに分配金利回りが下がってくる要因には、「投資口価格の上昇」と「分配金の減配」の2つがあります。これらの動きを意識して、長期国債利回りとの差がどのようになっているのかを確認しておくことが重要です。

また、J-REITの収入源でもある家賃の相場がどのようになっていくかということもチェックしておきましょう。家賃が上昇していくようであれば、分配金も増配される可能性があります。そうすれば、長期国債利回りとの差も開く可能性があるため、買う余地がさらに広がることが予想されます。


新たなJ-REITも登場 REIT指数への貢献は

新たなJ-REIT銘柄にも注目をしておきたいところです。J-REITでは規制緩和も進んでいます。当初、事実上不可能であった海外物件での運用も現段階では可能となっています。現在、イオンリート投資法人< 3292 >がイオンマレーシアを組み込んでいます。海外の物件を組み込むようになっていけば、日本だけでなく、アジアなどの成長市場の恩恵も享受できるようになります。今後、各銘柄がどのような動きを仕掛けていくのかはチェックする必要がありそうです。

また、今後ヘルスケア分野に特化して投資をするJ-REIT銘柄の登場も予定されています。今までには例の少なかった病院や介護施設などを投資対象物件としているため、海外市場と共にJ-REITにおける新たな市場が創出されると考えられます。すでに三井住友銀行が2015年3月にヘルスケア特化型リートの上場を予定しており、その他にも、大和証券グループや新生銀行などがヘルスケアリートの上場を予定しています。なお、現段階ではヒューリック投資法人が投資対象の14%を有料老人ホームとする等の例は見られます。今後のREIT指数から目が離せません。