不動産投資用の物件を複数購入する際、物件はひとつのエリアに集中させるのではなく、複数のエリアに分散投資すればリスクを分散することができます。それでは、具体的にどのような方針で物件を購入すべきか考えてみましょう。
所有物件を一極集中させることのリスクとメリット
所有物件を一極集中させると、もし物件の周辺環境が変わった場合、すべての物件が影響を受けます。最も分かりやすいのは、地震や風水害といった災害リスクでしょう。そのエリアで大きな災害が起きたとき、すべての物件が被害を受け、賃貸経営に大きな打撃を与えます。一方、複数エリアの複数不動産に分散投資していれば、ひとつの物件で被害を受けたとしても被害はその物件だけです。全体でみると、家賃収入が一気になくなることはありません。
また、所有物件の付近に大学や工場といった施設があると、学生や一人暮らしの若者の需要を見込んで、安定した賃貸経営が期待できます。しかし、そういった場所に物件を集中させてしまうと、将来、その学校が移転したり企業が撤退したりしてしまったらどうなるでしょうか。学生や若者がいなくなり、賃貸経営が立ち行かなくなることは目に見えています。
また、局地的に地価下落があるかもしれません。このように、ひとつのエリアに物件を集中させると、ひとつの要因で収益が大きく左右されやすくなります。一方で、1ヵ所に物件を複数所有することに、メリットがないわけではありません。同じエリアに多くの物件を所有していれば、同じ不動産会社や管理会社にまとめて管理を依頼することができます。
さらに、スケールメリットを効かせて交渉がしやすくなるでしょう。同じエリアに物件が集中していれば、物件の確認や業者探しや空室対策など、何をするにも効率が良く結果的に運営費を抑えることが期待できます。
エリア分散投資の考え方
エリアを分散して投資する場合、考えるべきことは、「どのエリアに分散させるか」ということです。大きくは経済圏の異なるエリア(東京、関西、東海など)や、都心・郊外・地方といった区分で、分散させる方法があります。「高額だが資産価値の高い都心マンションと、利回りの高い地方の1棟アパート」といった具合です。
・都心のビジネス街に近くサラリーマン層から安定した需要が見込めるエリア
・郊外でも大学などの教育施設へのアクセスが良くて、ひとり暮らしの学生が多いエリア
・住宅街でファミリー層からの人気が高いエリア
例えば、上記のように不動産投資において有望な特徴を持つエリアを複数で選んで、分散投資するのが理想でしょう。さらに、再開発が進んだり将来性が見込めたりするエリアなども、分散投資のためのひとつとして有望です。現在なら、東京五輪を控えた首都圏は格好のエリアといえるでしょう。
リスクマネージメントも考えて物件選びを
不動産投資の物件選びは、融資の受けやすさ、利回りといった「収益性」を第一に考える人が多いのではないでしょうか。もちろん、収益は大事です。しかし、不動産投資は一か八かのギャンブルではありません。リスク覚悟で利益を求めるのとは違い、何か問題が起きたときの損失を最低限に抑えるリスクマネージメントの考え方こそが不動産投資には重要といえます。
日本は自然災害の多い国です。また、少子高齢化や首都圏への人口集中など、賃貸経営のリスク要因が増えています。そういったリスクを常に考えて投資物件を選ぶとよいでしょう。今回は、エリア分散投資によるリスクマネージメントについて考えてみました。不動産投資に限らず、分散投資は資産運用におけるリスクヘッジの基本です。
投資効率を考えると、分散よりも一極集中が良くなることもありますが、安定性、安全性を重視する投資家の方々は、分散投資によるリスク分散を心掛けるのがよいのではないでしょうか。(提供:ユニバーサルトラスト)
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