インターネットやプラットフォームの発展、そして多様な働き方を受け入れようとする社会の動きが活発になった今、組織や業務内容に縛られない「フリーランス」というワークスタイルを選ぶ人も増えている。
フリーランスと会社員の働き方にはどのような違いがあるのか?また、フリーランスという働き方には向き・不向きがあるのか?組織の後ろ盾がないフリーランスだからこそ、シビアに考えねばならないお金のこと……。
自身も会社員からフリーランスへと転身し、「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」(以下、フリーランス協会)の代表理事を務める平田麻莉さんに、フリーランスが知っておきたい上手な仕事の取り方や、身に付けるべきスキルについて教えてもらった。(取材・藤堂真衣/写真・森口新太郎)
終身雇用が最大のリスク。自分自身に付加価値を
──平田さんが代表理事を務めるフリーランス協会とは、どのような団体なのですか?
具体的な活動としては、会員であるフリーランスがつながり合えるコミュニティづくりや、法人会員の皆様から協力を得た保険や福利厚生などのインフラづくり、またフリーランスがより働きやすい社会をつくるための政策提言などを行っています。
──今、実際にフリーランスで働く人はどれくらいいるのでしょうか?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)」によると、2018年時点の日本のフリーランスは約390万人といわれています。労働力人口の6%にあたる数ですが、どこにも所属せず(雇用されず)に働いている専業フリーランスと、別の会社で雇用されながら副業として個人の仕事をしている副業系フリーランスが含まれています。
それぞれの数については専業フリーランスは約188万人、副業系フリーランスは約202万人とされていますね。
──フリーランスで仕事をする人が増えていることには、参入ハードルが下がったことが影響しているのでしょうか。
ITが進歩したことや仲介業者・サービスが増えたこと、また副業を解禁する企業が現れたことで、独立や副業に対するハードルは下がったといえます。例えば、確定申告などもクラウド上のサービスを活用して簡単にできたり、SNSを活用して宣伝活動ができたりと、仕事しやすい環境が整ってきていますよね。
もう一つ、社会が抱えている課題として労働力の減少があげられます。この課題に対して、企業のオープンイノベーションなどにもみられるように、一社だけにリソースを注ぐのではなく、場所にとらわれずに働けるフリーランスの柔軟な働き方がマッチしているといえるでしょう。
同時に、今の社会に言えることとしては「1社だけで働くことが最大のリスクになっている」ということでしょうか。
終身雇用と年金受給による生活が前提だった時代とは違って、年金受給開始年齢は上がっていますし、寿命も延びています。ですから、定年後も収入を得る必要がありますよね。そのときに、会社の看板でしか仕事をしてこなかった人はかなり厳しい状況に置かれると考えてよいでしょう。
──自分自身に何らかの価値をつける必要が出てきたということですね。フリーランスはどのような仕事をしている人が多いのでしょうか。
もともとフリーランスと親和性が高かったクリエイティブ系やIT系職種以外に、広報やマーケティング、HR、ビジネス系コンサルタントなど広がりをみせており、業務委託化できない職種はないといわれるほどです。
それから、シェアリングエコノミーサービスの台頭で美容師やスポーツトレーナー、ハウスキーパーなどのCtoC(個人間)ビジネスも成長していますね。今はレンタルスペースもありますから、教室を開くハードルなどもますます下がっています。
会社員VSフリーランス、どっちがお得?
──フリーランスという働き方を誰もが「自分ごと」として考えやすくなりましたが、一方で課題を感じている部分は何ですか?