住宅を取得する人のほとんどは住宅ローンを利用する。そのため住宅ローン金利動向は住宅取得に大きく影響する。2020年9月現在、新型コロナウイルス感染拡大により、日銀の金融政策でさらなる低金利の延長が見込まれる中、住宅ローンは以前と同様に異常とも言える超低金利で推移している。今が住宅取得のチャンスであるのは間違いないが、一方で落とし穴もある。この超低金利を利用して、いつどんなローンを組めばよいのかを解説する。
学習院大学卒業後、外資系会計事務所、銀行、証券会社を経て、2014年FP会社である株式会社マネーデザインを立ち上げ、代表取締役に就任。
フランスの経済学者、トマ・ピケティが「21世紀の資本」で述べている通り、金融リテラシーの向上が日本の経済発展につながるという信念のもと、Web上でのお金に関する情報発信や講演活動を行う。特に50歳以上の層に対し、その人の持つ「人的資源」とファイナンシャル・プランニングを合わせた「リ・ライフデザイン」を提唱し、特に個人の住宅購入、生命保険、資産運用アドバイス、相続・事業承継、さらには個人事業主、中小企業の財務相談、企業研修などを行っている。 HP https://moneydesign.co.jp/
保有資格 ファイナンシャルプランナー(AFP)、宅地建物取引士、高齢者住まいアドバイザー、証券外務員1種、生命保険シニアライフコンサルタント、変額保険販売資格、海外ロングステイアドバイザー、日商簿記検定2級
2020年現在の住宅ローンは低金利
多くの人にとって、住宅ローン金利は収入とともに住宅購入に大きく影響する。例えば、3000万円の住宅ローンを組む場合、35年元利均等・ボーナス返済なしの返済額を金利別に試算すると、図表1のようになる(金利のみ考慮。手数料・保証料は除く)。
図表1 金利別の返済額の違い
設定条件:借入額3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なし
金利 | 毎月返済額 | 総返済額 | 金利1.0%との差 |
1.0% | 8万4685円 | 3556万7804円 | ―― |
2.0% | 9万9378円 | 4173万8968円 | 617万1164円 |
3.0% | 11万5455円 | 4849万0768円 | 1292万2964円 |
金利3.0%だと、毎月返済額は11万5455円で、35年間の総返済額は約4849万円に達する。金利2.0%になると、毎月返済額は9万9378円と10万円を切り、月々1万6000円以上の軽減できるほか、35年間の総返済額でみると約675万円も負担が軽くなる。
さらに、金利が1.0%だと、毎月返済額は8万4685円となる。金利3.0%と比較した場合、3万円以上も安くなり、35年間の総返済額ではなんと約1292万円の差になる。長期になればなるほど、1%の差がどれほど大きく、いかに超低金利のメリットが大きいかが表から見て取れる。
直近の金融機関の金利は、変動金利で0.38%、35年固定で0.92%(自己資金20%以上など条件あり)といった以前の金利と比較しても、考えられないくらいの金利水準まで落ちている。
2018年1月以降の住宅ローン金利の推移
図表2は、全期間固定金利型の代表格であるフラット35・フラット20の2018年以降の金利推移を表したものだ。フラット35は、借入実行時の金利が35年間、フラット20は20年間続く固定金利の住宅ローンだ。
図表2 2018年以降のフラット35金利の推移
この表から分かるように、18年から金利は1.4%前後で推移している。16年の年初には、日本銀行のマイナス金利政策導入によって長期金利などが大幅に低下し、フラット35の金利は、過去最低水準まで低下したが、最近は1%程度まで盛り返している。
これは、フラット35の金利表示が団体信用生命保険(団信)の保険料込みに変更されたためだ。それまでは、団信保険料なしの金利が表示されていたのが、17年10月以降は民間住宅ローンと同様に、団信保険料込みの金利が表示されるようになったのだ。
団体信用保険とは、住宅ローン契約者が返済中に死亡または高度障害になり、就業不能になったときにローンの残債を肩代わりしてくれる保険のことをいう。万が一契約者が死亡した場合、残された家族がその負債を負わなくて済む生命保険の一種だ。
かつては、年1回住宅ローン残高に応じて、団信保険料を別途支払う必要があったため、借り入れ当初の住宅ローン残高が多い時点では団信保険料が高くなっていた。しかし現在は、金利に含まれるため、団信保険料も平準化されている。
20年9月の機構団信加入金利は返済期間15~20年が1.25%、21~35年が1.32%。20年に入ってからは、フラット35は1.3%前後で推移している。
19年9月・10月はフラット35の金利が1.11%とかなりの低水準となった。その理由は、日銀がフラット35の基準金利とほぼ同じ動きとなる10年物国債をいつにも増して買い付けたことに起因している。
債券は、多く買われればその価格が上がり、金利はその逆の動きになるので、低下することになったのだ。日銀が金利を操作する「イールドカーブ・コントロール政策」の結果が、フラット35の金利に影響していると言えよう。
(出典:住宅金融機構から)
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住宅ローン相談対応マニュアル【第14回】フラット35リノベの改正
●過去25年間の住宅ローンの金利推移
この金利水準がいかに低い金利であるかは図表3をみれば明らかだ。
図表3 住宅ローンの金利タイプ別の金利推移
(資料:住宅金融支援機構)
バブル経済期の1980年代からの住宅ローン金利の推移を示しており、バブルのピークの90~91年にかけて、民間ローンの変動金利型の金利は8%を超えていた。フラット35を実施している住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫の基準金利は、法律で定められた上限金利の5.5%に張りついたままだった。実態はそれ以上の高金利だったが、国の予算を使って5.5%に抑制していたわけだ。
それが現在では、民間の変動金利型の店頭表示金利は2.475%まで下がっている。さらに、バブル期にはほとんどなかったが、今は金利優遇制度という名の金利引き下げが当たり前で、店頭表示2.475%の変動金利型はメガバンクでも0.5~0.7%台、ネット銀行だと0.4%台のところも存在する。
先に触れたように、フラット35でも、最長返済期間の35年返済で1.32%と、バブル時のピークに比べれば4%以上の差がある。この金利差を考えれば、現在の超低金利を有効に活用してマイホームを取得しておきたいところだ。
●住宅ローン金利は融資実行時の金利が適用される
超低金利をうまく活用するためには、早めにマイホームを購入し、ローンを借り入れることが得策だ。
原則的に住宅ローン金利は融資実行時の金利が適用され、申込時の金利がそのまま適用されることはない。中古住宅であれば、原則として売買契約から3ヵ月程度の引き渡しが条件になることが多い。また完成済みの新築マンションや建売住宅であれば、契約後すぐに入居することも可能だ。それらのケースでは、引き渡し後に融資の実行を受けても、ほぼ契約時の超低金利のローンを利用することができる。
注意が必要なのは新築の分譲マンションのケースだ。多くの場合、分譲マンションは着工直後に販売を開始するため、引き渡しまでの期間が長くなる。中小規模のマンションであれば、半年〜1年程度で引き渡しになるが、500戸、1000戸の湾岸エリアなどのメガマンションだと2年先、3年先になることもある。
例えば、東京五輪の選手村として建設され、その後一般のマンションとして引き渡される「HARUMI FLAG (晴海フラッグ)」の場合、新型コロナウイルスの影響で東京五輪開催が1年延期されたことにより、入居予定時期が当初の2023年3月下旬~6月から「未定」となっている。
このように、建物引き渡し時期までかなりの期間を要するものは、その間に長期金利が跳ね上がるような、ネガティブサプライズな経済事象が起きると、まともに金利上昇リスクを被ってしまうことになる。
●確実に超低金利で手に入れるなら中古や完成済み
2年先、3年先、4年先の金利は金融の専門家でも予測は難しい。万が一、金利が1%、2%と上がってしまうと、冒頭で説明したような返済負担の増額につながる。そのような事態を避けて、確実に現在の超低金利を利用したいのなら、先に触れたように、すぐに引き渡しが可能な中古住宅や完成済みの住宅に限定して物件探しを行うのが確実だ。
どうしても新築にこだわりたい、中でも「HARUMI FLAG」のような共用施設などが充実している大規模マンションを手に入れたいという人は、ある程度の金利上昇を見込んで返済額のシミュレーションを行ったうえで、大丈夫かどうかを確認しておくと安心だ。
超低金利とは、裏を返せば、今より下がる可能性は極めて低く、上がる可能性のほうが高いということである。だからこそ、超低金利という金利の低さだけで何も考えずに住宅ローンを利用してしまうと、後に大変なことになりかねない。そんな落とし穴にはまらないためには、次のような点に留意しておく必要がある。
会社名 | 実質 金利 (年利) |
事務 手数料 |
借入 可能 金額 |
---|---|---|---|
0.440%〜 | 借入金額×2.20% | 500万~1億円 | |
0.475%〜 | 借入金額×2.20% | 500万~1億円 | |
0.475%〜 | 借入金額×2.20% | 100万~1億円 | |
0.830%〜 | 借入金額×2.20% | 100万~8000万円 | |
0.430%〜 | 借入金額×2.20% | 200万~1億円 |
住宅ローンの金利タイプは2種類
住宅ローンは、大きく分けて変動金利型と固定金利型の2つの金利タイプがある。金利の適用条件などが異なってくるので、違いを理解したうえで、自分たちに合うのはどちらかを検討してから利用するとよいだろう。
●変動金利
変動金利型の住宅ローンは、先に触れたようにメガバンクで0.5~0.7%台、ネット銀行などでは0.4%台で利用できるところもあり、何より金利の低さが魅力だ。ただ、金利が低いということは、それだけリスクが大きいことでもある。どんな商品でもそうだが、安いには安いなりの理由がある。
●金利の見直しは半年だが返済額見直しは5年後(この見出しの位置を変更しています)
変動金利型の住宅ローンは、借り入れ後に市中の金利が上がった場合、適用金利の見直しが行われる。その頻度は半年に1回だが、その都度返済額が変わっては資金計画を立てにくいので、返済額の見直しは5年に1回となっている。
金利の上昇で返済額が増える場合、上限を+25%までとしている。大幅に金利が上がっても、ある程度の歯止めがあるわけだが、それでも月10万円の返済額が6年目から12万5000円まで増える可能性があるということだ。
このように、市中の金利が上がっても、適用金利を上げることができるため、融資する金融機関は常に一定の利ざやを確保できる。銀行にとってはリスクが小さいわけで、その分だけ金利を低く設定できる仕組みといえよう。言い換えれば、リスクを利用者に預けることで、金利を低くしているわけだ。
●固定金利
固定金利型には、一定期間のみ固定金利で、その後は変動金利か再び固定金利にするかを選択できる固定期間選択型と、当初から完済までの金利が確定している全期間固定金利型がある。
利用者からすれば、固定期間選択型の固定期間の短いタイプは、変動金利型同様に金利上昇によるリスクが大きくなるが、その分固定期間中の金利は変動金利型並みに低く設定されている。
一方、固定期間選択型の固定期間が10年以上の長いタイプや、全期間固定金利型は利用者にとっては金利上昇による返済額増加のリスクが小さくなる。その分、銀行にとってはリスクが大きくなるため、金利はやや高めに設定されている。2020年9月現在、固定期間選択型の固定10年で0.6~1.0%前後、全期間固定金利型で30~35年返済だと0.7%~1.5%台の金利が多い。
●変動金利と固定金利はどっちがお勧め?
では、変動金利型と固定金利型、どちらを利用するのがよいのだろうか。
国土交通省が20年3月に発表した「令和元年度住宅市場動向調査』によると、19年度は約7割弱の人が変動金利型を利用している。これは、長期間低金利時代が続き、将来もこの状態が継続するあろうと読む人の割合が増えたことを表している。
さらに今回の新型コロナウイルスの影響で、低金利が日本だけでなく、世界各国の中央銀行がゼロ金利、もしくはマイナス金利政策を取り入れているので、この傾向はますます顕著になってくるだろう。
●長い返済期間のうちには金利変動の可能性
そうはいっても、住宅ローンの返済は20年、30年と続く。長い年月の間には、何度か金利上昇局面がやってくる可能性がある。したがって、変動金利型や固定期間選択型の固定期間の短いタイプを利用する人は、返済計画に余裕を持っておく必要がある。
金利が若干上がって返済額が増えても、家計にある程度ゆとりがあるので大丈夫という見通しが立つ人におすすめしたい。また、金利動向に敏感で、金利が上昇しそうな局面で固定金利型に借り換えるなど、臨機応変に行動できる自信のある人も、変動金利型や固定期間選択型の固定期間の短いタイプがおすすめだ。
一方、金利情勢や経済情勢に敏感でない人は、安心の全期間固定金利型や固定期間選択型の固定期間の長いタイプがよいだろう。
もう一つの注意点は、変動金利型から固定金利型への乗り換え時に、手数料がかかるか否かだ。最近はネット系銀行を中心に、乗り換え時の手数料が無料となる銀行もあるので、乗り換えを考える際の選択肢として考える要素になる。
【関連記事】住宅ローン返済「変動金利」に向くのはどんな人?向かないのはどんな人?
低金利で住宅ローンを借りるもうひとつのメリット
冒頭でも触れたように、住宅ローンは適用金利によって返済額が大きく異なる。現在のような超低金利であれば、返済額が少なくなってマイホームを取得しやすくなる。その結果、借入可能額や購入可能額の増加につながり、より満足度の高い住まい選びが可能になるだろう。
●月々の返済額が少なくなる
ここでは具体的な数字を当てはめてみていこう。
借入額3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は、金利3.0%なら11万5455円になる。これが金利2.0%なら9万9378円に、そして金利1.0%なら8万4685円まで減少する。
仮に金利1.0%の状況でで、金利3.0%の月々11万5455円まで返済できるとすれば、借入可能額は約4090万円に増える。同じ11万5455円の負担でも、金利3.0%だと3000万円の借入額なのに、金利1.0%になれば4090万円までOKになるわけだ。自己資金が1000万円あれば、5000万円以上のマイホームにも手が届くことになる。
月々の返済額が少なくなるということは、借入可能額や購入可能額の大幅な上昇につながり、より満足度の高い住まいを手に入れることができるようになる。
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低金利を理由に住宅ローンを選ぶ際の注意点
ただ、低金利だからというだけで住宅ローンを選んでいいのだろうか。極論だが、銀行からすれば、リスクをお客に預けることができるからこそ、金利を低くできる――それが変動金利型や、固定期間選択型の固定期間の短いローンなのだ。
●低金利だからといって借入金額を増やすのは良くない
変動金利型や固定期間の短い固定期間選択型ローンは金利が低いだけに、借入額を増やしてしまいがちだ。前述したように、同じ11万円台の月々の返済額でも、金利3.0%なら3000万円の借り入れ可能額が、金利1.0%に下がれば1000万円ほど増える。
だからといって、借入額を増やすと借り入れ後に金利が上がったときに、大変なことになる。仮に金利1.0%で4000万円借りたとすれば、当初は11万円台の返済額であっても、金利が2.0%になれば返済額は13万円台に、3.0%になれば15万円台に増えてしまう。これが家計を圧迫することもあるだろう。
一方、全期間固定期間型か固定期間の長い固定期間選択型なら、その点は安全だ。固定金利型の固定期間10年でも、0.8~1.0%前後で利用でき、全期間固定金利型でも1.0%台の前半で借りられるようになっている。過去の金利水準からすれば、この金利はあり得ない水準であり、現在の超低金利時代が終了すれば、そうそうは期待できない金利と言える。
●今の収入が今後も続くか
もう一つ心配事が、現在の収入が未来永劫続くか、ということだ。いうまでもなく、現在の新型コロナウイルスの影響を予想できた人がどのくらいいるのだろうか。実際、コロナ禍で、住宅ローンを支払い続けることが困難になる人たちが出ている。
人は、未来が今より悪くなると考えることはなかなかできない。したがって、住宅購入時には、快適な住まいを求めて返済に余裕を持ったライフプランニングをしづらいことも現実だ。家を購入するといった、人生最大とも言えるイベント時に、冷静になることはなかなか難しい。しかし、ここは冷静になり、ある程度の余裕を持った資金計画で臨むことをおすすめしたい。
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低金利だからこそ気をつけたい「住宅ローン」を借りた後のこと
今後の住宅ローンの金利推移の見通し
では、住宅ローンの金利は今後どうなるのだろうか。
新型コロナウイルス感染拡大により、日本だけでなく世界中の経済がダメージを受けている。これを回避するために、各国の中央銀行は、金融政策として金利を0%のレベルに張り付ける政策をとっている。
長期金利の水準となる主要国の利回りは、以下のようになっている。
国名 | 10年国債利回り |
アメリカ10年国債 | 0.63% |
日本10年国債 | 0.028% |
ユーロ圏10年国債 | ▲0.433% |
このように各国とも前例のない金利状態が続いている。しかし、この状態が長期間継続するかどうかは、疑問だ。徐々に経済活動が復活することで、金利が上昇することは十分考えられる。
特に注目すべき金利は、アメリカのFRBが操作する国債レートだ。フォワードガイダンスは、将来の金利をその水準に持っていくかを議論することで、金融政策をどちらの方向に導くのかを明らかにする機会である。
次回9月15・16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、どのような金融政策が発表されるのか、注目が集まっている。新型コロナウイルスの感染再拡大による経済の打撃がさらに大きくなれば、まだ金利を上げる段階にないとの判断が下される可能性もあり、さらなる金融緩和が求められることも予想される。
少しでも有利な条件で住宅を購入したいのなら、超低金利が続いている今のうちに購入するのが得策であるのは間違いないだろう。さらに、長期的には金利が上昇することも視野に入れておく必要があることを考慮すれば、現在の超低金利をできる限り長くフィックスできる固定金利型の固定期間の長いタイプ、できれば完済までの金利が確定している全期間固定金利型でローンを組むのが安心だろう。
低金利という理由だけで住宅ローンを借りないこと
固定金利型の固定期間の長いタイプ、全期間固定金利型などは変動金利型や固定金利型の固定期間の短いタイプに比べると、金利は若干高くなっているが、過去の金利水準などからすれば、決して「高い」金利ではない。あくまでも変動金利型などに比べると「高い」だけであって、それも小数点以下の差にすぎない。過去の金利水準などに比べれば、「安い」といってもよい。
そう考えると、低金利という理由だけで住宅ローンを組むのではなく、本当に自分たちに合った住宅ローンを選び、安全安心な資金計画を立てることが重要になりそうだ。
また、新型コロナウイルスの影響で、新しい住宅の在り方も見直されている。例えば、今までは都心の勤務地に通勤することを前提とした住まい選びが行われ、駅近、都心近といった場所が人気スポットだった。しかし、そのような場所は、密を作り出す「都会」やその近辺に住むこととなる。さらに、リモートワークの発展により、わざわざ都心のオフィスに通うことなく、リモートワークで済む職種もあることが分かってきた。
これらを顕著に表したものが、東京都心の空室率だ。オフィス仲介の三鬼商事が9月に発表した2020年8月の東京5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.30ポイントアップの3.07%だった。企業動向としては、既存のオフィス面積の縮小、それに伴う周辺飲食店の撤退などが数字に影響しているものと思われる。
例えばリモートで仕事が可能な職種であれば、今後は住宅選択の幅が広がり、購入できる価格が低下することも予想される。
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