世の中、副業容認の流れが促進されてきている。これまでの終身雇用では考えられなかった流れだ。人材サービス「エン・ジャパン」の調査でも41%の人が「副業をしたい」という。中小企業の経営者としても、社員の副業について真剣に考えてみる必要があるだろう。
副業が禁止されているワケは?本業がおろそかになるから?
副業容認の方向へ世の中が動いてきたとはいえ、社員のためにわざわざ会社の就業規則を変更している会社は、大会社ならともかく中小企業ではあまりみかけられない。それには相当の理由がある。例えば通常の労働時間後に異なる職場で副業をしていたとしよう。通常より多くの時間働くと本業がおろそかになったり、疲れて集中力がおろそかになったりする。労災が起きることもあるだろう。
大きな労災事故が起き、労働基準監督署から実地調査が入ると「社員の健康管理をしっかりやっていたのか」という確認がされる。労働基準法違反や安全衛生法関連の違反まで指摘され、是正勧告につながることも珍しくない。この是正勧告は、改善を実施したうえで「○○年○○月○○日に是正をしました」と報告が必要だ。
それ以外に残業の問題も発生する。副業をしていると「労働時間は各自の会社で別途管理する」と思っている人は多いが、実はそうではない。時間外労働に対する残業代が発生する可能性があるのだ。以下の図1を見ていただきたい。ある社員が甲事業所で月曜日から金曜日まで40時間働いているとする。この場合、通常の法定労働時間なので残業代は発生しない。