少子高齢化を背景に日本の人口は減少を続けており、それに伴って需要減退など負の影響を受けているのが不動産マーケットです。しかし、日本のなかでも東京の不動産マーケットだけは様相が異なっているといえるでしょう。東京の不動産市場の優位性について考えてみましょう。

東京都内の公示地価は5年連続で上昇

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(写真=PIXTA)

国土交通省が毎年3月に発表する、全国の代表的な地点の地価を示した「公示地価」。2018年3月の発表では、全国平均の公示地価の平均変動率は、住宅地で0.3%、商業地で1.9%の上昇でした。住宅地の平均変動率が上昇に転じたのは10年ぶりということから、長期にわたる景気回復過程にありながら、土地の価格がいかに上がっていないかが分かります。

これに対して東京都の平均変動率は、住宅地で2.5%(23区全体では3.9%)、商業地で5.5%(23区全体では6.4%)の上昇となりました。なかでも、東京都中央区の銀座駅周辺や港区の溜池山王駅周辺が、商業施設のリニューアルや高級マンション需要の拡大などを背景に、2017年から10%近くの上昇を見せました。

日本全体の不動産市場がほぼ横ばいで推移するなか、東京だけは好調を維持しているといえるでしょう。

世帯数が増えるため賃料が下落しづらい

不動産需要と密接に関係する人口についてはどうでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口推計」によれば、日本の人口は徐々に減少を続け、2053年には1億人を割って9,924万人となると推計されています。2015年の人口が1億2,709万人なので、約40年で2割強減少することになるのです。

一方、東京はどうでしょうか。東京都の推計によれば、都全体の人口はこれからもしばらく増加を続け、2025年1,398万人でピークを迎えるとされています。ただし、区部だけを見ると人口のピークはもう少し遅く、2030年です。住宅需要とより密接に関係する世帯数も増加を続けています。世帯数のピークは、東京全体では2030年、区部では2035年と予測されています。

世帯数の数だけ住宅が必要になると考えると、東京23区の住宅需要は2035年まで増え続け、それに伴って賃貸マーケットも底堅く推移する可能性が高いでしょう。賃貸不動産の賃料は、需給バランスによって決まってきます。今後も人口が増加する東京は、賃料が下がりにくい傾向にあり、賃貸経営に適した市場であるといえるでしょう。

2020年、東京五輪以降はどうなる?

「東京の不動産が好調なのは2020年の東京オリンピックまで。それ以降は下落に転じる」との見方もあります。しかし、その推測についても慎重にとらえたほうがよさそうです。東京オリンピック後もまだまだ、再開発案件は続くからです。その背景の一つに、国家戦略特区があります。政府は、東京都全域を国家戦略特区に指定し、国際的な経済活動の拠点づくりを促進しているのです。

東京駅前の大規模地下バスターミナルや虎ノ門周辺での新駅整備など、現在まで34の都市再生プロジェクトが指定されています。なかでも注目は、品川駅の周辺で行われる再開発です。約半世紀ぶりに山手線の新駅として誕生する「高輪ゲートウェイ」は2020年春に開業予定であり、周辺の再開発地区は2024年までに開業を迎える予定です。

また、2027年には品川駅を始発とするJR東海リニア中央新幹線が開業する予定になっています。東京の変貌はしばらく続くといえるでしょう。

将来的な売りやすさを考えれば、東京が有利

賃貸経営は、長期にわたってインカムゲインを得て、最後は売却によって出口を迎えます。この出口の時点での売却価格が、投資全体の収益を大きく左右します。仮に投資期間中に資産価値の下落がなく、買った時と同じ価格で売却できれば、家賃収入の分が丸々収益となるのです。したがって、物件を購入する際には、将来的な売却のしやすさも考慮することが非常に重要になります。

そのような視点で考えても、人口と世帯数がしばらく増加し、商業地を中心に発展が続く東京は、賃貸経営にとって有望な選択肢といえるでしょう。(提供:ユニバーサルトラスト

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