マツモトキヨシとココカラファインが、経営統合に向けて本格的に協議を進めている。経営統合が実現すれば、売上高で業界1位となる。両社は、なぜこのタイミングで経営統合を模索しているのか。その狙いを探る。
マツキヨとココカラ、経営統合へ向け協議開始
ココカラファインは今年4月、マツモトキヨシホールディングスとの資本業務提携に関する検討と協議を公式にスタートしたことを、プレスリリースを通じて発表した。また8月には、経営統合に向けた協議開始に関する覚書(MoU)を締結したことも発表している。
2018年度における連結売上高で業界第5位のマツモトキヨシ(5,759億円)と業界第7位のココカラファイン(4,005億円)が統合すれば売上高の合計は約1兆円となり、首位のウエルシアホールディングスを抜く。
経営統合に関する独占交渉権の期間は2020年1月末までとなっているため、年明けまでに正式な経営統合に関する発表がある可能性が高い。ほかのドラッグストア大手チェーンだけではなく、東証一部上場企業同士の経営統合の可能性に、株式市場も注目している。
なぜ両社は経営統合に向けて動き出したのか
なぜ両社は経営統合に向けて動き出したのか。近年ドラッグストア業界では、競争激化による成長減速の懸念や、業界全体の潮流が地域ごとの展開から全国展開になりつつあるなど、ビジネス環境の変化が注目されているが、実際に両社は理由をどう説明しているのだろうか。
資本業務提携に関する協議を開始したときのプレスリリースでは、都市と都市周辺部に多くの店舗を持つという共通点に触れ、「店舗の展開エリアを相互に補完できる関係にある」と説明している。
日本国内では少子化による人手不足が深刻化しており、ドラッグストア業界も例外ではない。特に薬剤師不足は、業績のマイナスインパクトになりやすい。統合が実現して相互補完関係が築ければ、人材やノウハウ、経営インフラなどを共有でき、仕入れや物流のコストを削減できるため、両者にとってメリットは大きい。
両社がそれぞれ培ってきた商品開発力も統合すれば、プライベートブランドの商品力が強化され、ほかのドラッグストアの追随を許さない競争力を持つことも十分考えられる。
マツキヨの業績は微減、ココカラ・ウエルシアは増益増収
現在の両社の業績を見てみよう。
マツモトキヨシの2020年3月期の第一四半期決算(2019年4~6月)では、営業利益と経常利益が前年同期を下回った。ただし減少率はともに1.5%と軽微であり、2019年3月期の通期決算では増収増益を果たしていることを考えれば、業績が低迷しているとは言えないだろう。
ココカラファインは、2020年3月期の第一四半期決算で増収増益を果たしている。両社の状況を考えれば、統合によるリソースの結集で、売上や利益が一層拡大することは十分期待できる。
現時点で首位のウエルシアホールディングスは、両社を上回る勢いがある。2019年2月期の通期決算で売上高12.1%増を果たしており、2020年2月期の第一四半期決算(2019年3~5月)でも10.7%増と2桁増を死守した。
業界2位のツルハも前年度に大幅増収を果たしており、首位ウエルシアの背中がすぐそこに見えている。競合の業績を見てみると、マツモトキヨシとココカラファインが統合によって業界1位となったとしても、決して安心できる状況ではないことがわかる。
業界再編、そしてビジネスモデルも変わっていく?
マツキヨとココカラファインの経営統合も含めて、ドラッグストア業界では今後も再編が続く可能性が高い。食品などをスーパーなどよりも安い価格で販売することで集客を狙うドラッグストアのビジネスモデルが限界を迎えているとの意見もある中で、今後も業界各社の動きは注目されるだろう。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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