億稼ぐネット通販の教科書
杉本 幸雄(すぎもと・ゆきお)
昭和44年1月生まれ、明治大学農学部出身。通販にたずさわって、25年間以上。業界不問で「お金と精神の不安」を抱えている中小企業のオーナー経営者に対して、これらの不安解消のソリューションとしてネット通販ビジネスへの新規参入を促している。クライアントとは、3年後3億円の売上げ加算を目標に、"共に、頑張り"、これまで110億円以上の実績を創ってきた。得意ジャンルは、薬機法に関わる医薬品、化粧品、ダイエット、食品、ワインなどと、そしてスピリチュアルも。成功を引き寄せるキーワードは、根気強くの「ど根性」、目的第一主義の「片手間ダメ!」。

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3つの失敗事例

▼資金調達に二の足を踏んで、黒字倒産した二代目坊ちゃん

大きな商いをしていると黒字倒産の可能性が湧いてきます。黒字倒産とは、帳簿上、利益が出ていて、黒字の状態にもかかわらず、現金が不足していて、取引先への支払いができなかったり、借入金の返済ができない、また不渡手形を出してしまって、倒産に追い込まれることです。

ネット通販ビジネスを始めて、努力が実り、仕掛けがヒットすると、爆発的に大量の注文が短期間で舞い込むことがあります。こうなると注意を払わなくてはいけないのが、キャッシュフロー。現金の量の変動は資金繰り表を作って、経営者はきちんと認識しておかなくてはいけません。なぜなら、急に大量に売れると、仕入れ代金の支払いと売上げ金額の入金のペースが合わなくなることが起きるからです。順調に、売れているんだけど、一カ月間だけ、あるいはもっと言うと一週間だけ、現金が足りなくなるという事態が生じ得ます。

そういう事態は、事前に資金繰り表やキャッシュフロー計算書などを作って、経営者は近い将来起きるかも知れない、「資金ショート」の可能性を理解して、数カ月前から金策をしなくてはいけません。利息が低い銀行に借入金を申し込んでも、「はい、OKです。ではでは、ささっと明日500万円振り込みますね」という具合に、簡単に進むことはほとんどありません。借入先に銀行を選ぶなら何カ月も前から、動いておかなくては間に合いませんし、短期間だけノンバンクから借入をするのも悪くありませんが、審査を受けたり、利息の交渉をするのには時間が必要です。資金ショートする日が近づけば近づくほど、精神は圧迫されて、交渉においても立場が不利になってしまいます。

ネット通販で、美容グッズがバカ売れした二代目経営者は、資金繰り表を作って、現金不足になる時期が分かっていたにも関わらず、借金に対するバカげた思い込みを外すことができず、後手後手となり、結局、倒産に至ってしまいました。本当に、残念なことです。なぜなら、「黒字」で利益が出ていたからです。

日本は、義務教育ではもちろん、高校や大学でも「お金を儲ける」ことについて学ぶ機会がほとんどありません。むしろ、お金大好きは〝守銭奴〟と揶揄されたり、借金はだらしがない人がするもの、お金を貸す職業をろくでもない仕事だという印象付けがされています。この坊ちゃんは、裕福に育ち、親は無借金経営を信条として会社経営をされていました。

新しく事業を起こす時や、成長や飛躍させて、あなたがワンランク、ツーランク上昇するためには、あるタイミングで必ず、種銭が足りないということに直面します。まとまった資金があれば、掴めるチャンスがあります。成功して億越えしていく人はほとんど必ず借り入れをします。借入金は、時間短縮と不要な苦労をショートカットするために必要です。ちなみに、あなたは日本一、借入金を多くしている会社を知っていますか。約14.8兆円の借入をしているソフトバンクグループです。2位は東京電力HDの6兆円、3位は5.3兆円の三菱商事です(2017年、東洋経済オンライン発表)。

あなたに問いかけます。これらの会社はだらしがない、悪い会社でしょうか? 社会の役に立っていない会社でしょうか。

▼お金になれば何でもいいと、理念なしのグレー実業家

私はいつも、関わる人たちみんなのメリットや幸せを考えるようクライアントたちに指導しています。しかし、そういう考えに興味を示さない経営者もたまにはいます。彼は、「儲かれば何でもいい」というのがポリシー。そんな彼は、私の恩人からの紹介で出合いました。紹介と言うのは厄介です。こんな人とも接点が出来てしまいますので。

彼はいわゆる流行りモノでかつ、法的にブラックではないもののグレーゾーンを狙って商売を展開していました。そんな彼とホワイト領域の健康食品のネット販売をやろうということになったのですが、地道に土台を作っていく私のやり方が合わず、結局のところ、販売前に物別れになってしまいました。その後、噂で聞いた話によると、脱税容疑で当局から取り調べを受けたとか受けなかったとか。

彼には、圧倒的に「愛」が足りなかったような気がします。取り扱う商品に対する愛、顧客への愛、関わる人達みんなへの愛、社会への愛などです。

成功者には「お互い様」の精神があります。「おかげ様」の感謝があります。それは、強さが産み出すもので、強さは知識と経験、稼ぐ力がベースです。強い人には、あらゆることを許す余裕があります。

▼有名芸能人も含んだ悪意ある大人に唆そそのかされ、損害を被った20代イケメン起業家

この件は、有名な芸能人も関わったプロジェクトです。彼は、私から言わせれば、悪意ある人に唆されて始めた、サプリメントや化粧品のネット通販事業を進めていました。私には、商品もショッピングページも一通り完成している状態で、コンサル指導の依頼を貰いました。共通の友人の誕生会で知り合って、すぐのことでした。

webサイトを見ると、わずか数秒で疑念を感じました。しかも、限りなくアウトに近い感触で。今の医薬品医療機器法、以前は長く薬事法と呼んでいた法律に違反していると判断できる点をすぐに見つけました。サプリメントは食品です。食品には医薬品的な効能効果は、原則的にありません。トクホや機能性表示食品には認められる部分があるのですが。また、化粧品には定められた効能効果しか標ぼうすることは認められていないにもかかわらず、販売ページでは、ルールを逸脱した標ぼうで、ガンガン訴求していました。

彼には、ルールの説明と対処法を指導したら、後日、苦しそうに「このページのような売り方を今までも、いわゆるSF商法(催眠商法)的に販売してきて、何の問題もなかったから、これは問題ないのでは」と言うのです。そして、私は彼にはこのプロジェクトと関わることは、いくらかの損失を負うとしても止めた方がいいと、理由をきちんと整理し、アドバイスしました。よくよく聴くと、私にショッピングページのチェックを依頼したのは、自分でも薄々マズいんじゃないかと感じていたからで、手を引くチャンスをもらったと涙ながらに話していました。

一発屋でなく、長く継続して、成功したいなら社会性は必須です。法律と道徳を尊重することを当たり前のこととしなくてはいけません。また、経営者は直感を大切にしてほしいです。直感を大切にするとは、直感的に何かを感じたら、その後で論理的にチェックすることを一連の習慣にするということです。うまくいかなくて、失敗する人は感情と論理のバランスが悪すぎるのが共通点なのです。