相続に関する法律が、2018年に改正され、2019年から順次施行されています。今回は、約40年ぶりの改正ということで、注目を浴びていました。その中でも、特に注目されたのが、遺言制度に関する法改正です。いったいどういった点が変更になり、遺言制度にはどのようなものがあるのか、解説します。

相続に関する民法が改正。遺言制度が使いやすくなった?

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(画像=Burdun Iliya/Shutterstock.com)

2018年に相続法が変更されたのはご存知でしょうか。今回の改正は1980年以来、約40年ぶりの法改正となり、2019年1月から順次施行されています。今回の法改正では、居住用不動産において配偶者への贈与が遺産の先渡しと認められなくなったり、また、相続において特別の寄与の制度が設立されたりなど、新しい点がいくつかあります。

その中でも特に注目されているのが、遺言制度に関する法改正です。今回の法改正では、自筆証書に関する法改正が2点行われました。1点目は、自筆証書遺言を作成するときに財産目録を自筆で行う必要がなくなったということ、もう1点は、自筆証書遺言を、法務局に保管する申請ができるようになったということです。

日本は諸外国に比べ遺言が活用されている割合が少ないとされており、今後、こういった制度改正で、遺産によるトラブルを減らすことが狙いだと言われています。

遺言制度は3種類。それぞれの違いを整理

そもそも、遺言の種類は、3種類あるということをご存知でしょうか。今回の法改正を含め、どういった種類があるのか紹介します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は文字通り、遺言者が自らの手で遺言を書く方式です。遺言者は、遺言全文に加え、日付、署名を自筆で行い、押印する必要があります。これまでは財産目録も合わせて自筆で書くことが必要でしたが、今回の法改正で、目録はPCなどで作成し、署名、押印をすればよくなり、手間が省けることになりました。また、保管場所についても、これまで取り決めがありませんでしたが、法務局で保管をしてもらえるようになりました。

自筆証書遺言のメリットは、証人が不要なことと、費用が抑えられるということです。一方、相続発生後、家庭裁判所での検認が必要というデメリットもあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言です。公証人というのは法律のプロであり、本人が口述した遺言を、公証人が書き取り、公証役場で遺言を保管します。公正証書遺言を作る際には、二人以上の証人が必要となります。

メリットとしては、公証役場で保管してくれるため、紛失や改ざんのリスクがないこと、また、公証人が作成するため、無効にならないことがあります。一方で、証人が必要なことや、費用がかかることがデメリットです。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的なもので、あらかじめ本人が作成した遺言を公証役場で、証人立ち合いのもと、封印するという方法です。こちらは、公正証書遺言に比べ手数料は安く、改ざんなどのリスクは小さくなるものの、証人が必要なことや、無効となるリスクがあります。現状では利用する人は少ないようです。

自筆証書遺言を行う際には注意が必要

今回、自筆証書遺言の制度が改善されましたが、それでもなお、自筆証書遺言を行おうとするには、注意が必要です。なぜなら、自筆証書遺言といっても、何を書いてもいいわけではなく、きちんと民法の形式に沿って遺言を書く必要があるからです。

過去、民法の形式に沿っていなかったということで、遺言が認められなかったケースもありますし、また、遺言者本人が書いたと認められず無効になったケースもあるなど、自筆証書遺言にはリスクがあります。そのため、確実に遺言を残したい場合は、公正証書遺言が確実かもしれません。

遺言制度には3種類あり、それぞれメリット、デメリットがあります。自筆証書遺言は今回の法改正で使いやすくなったものの、無効になるケースもあるなど、リスクがないわけではありません。もし、遺言を残そうと考えているのであれば、まずは専門家などに相談するのが無難かもしれません。(提供:JPRIME


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