経営者が忙しい時間をぬっていく美術館。なぜ経営者は定期的にアートを見に行くのでしょうか。人々が美術館に足を運ぶ行動理由を紐解きながら、美術館へ行くことでどのような能力が鍛えられるのか、探っていきましょう。

なぜ人は美術館にいくのか?

経営者,美術館
(画像=Tupungato/Shutterstock.com)

まず経営者に限らず、人はなぜ美術館に行くのでしょうか。その行動の理由を、『最強の働き方』『一流の育て方』などの人気書籍で知られるビジネス書作家のムーギー・キム氏の最新著書から探ってみましょう。

2019年3月に出版された同氏の書籍『最高の生き方』では、人の行動原理となる行動パターンとして10個を挙げており、この中には「生理的欲求」や「闘争・競争」のほか、「美術・芸術」が含まれています。この「美術・芸術」を「感動」というキーワードに置き換え、人間が持つ「心の琴線に触れて感動したいという欲求」についても触れており、人々が美術館に行く根源的な理由には、この欲求があるとも解釈できそうです。

芸術は「コミュニケーション手法」

ムーギー・キム氏はもう1つの点にも触れています。同氏は「人がなぜ絵を描き始めたのか」という理由について、「元はと言えば文字が発明される前に知識を伝えるための原始的コミュニケーション手法だったからかもしれない」と予測しています。ここに、経営者が忙しい中でも美術館に行く理由が隠されています。

ビジネスとはコミュニケーションの集大成です。会社幹部やスタッフ、そして取引先との意思の疎通の中で、日々の業務は遂行されています。そして、感動する価値観を共有できれば、より強固な組織作りにもつながり、事業や企業の発展にもつながるでしょう。

美術館に行き、絵から作者の伝えたいことを読み解く。これが、コミュニケーション能力を鍛えることにつながり、感性も磨かれる——。これらが経営者が美術館へ行く理由の一つとなっているとも考えられます。

実はこの点については、著名な米経営学者のピーター・ドラッカーも過去に言及したことがあります。その一文が次の通りです。

「芸術家はこの経験を象徴的な形で、伝えることができる。その読者ないし鑑賞者が経験しなかったものを、コミュニケーションできるのである」(1993年、『The Ecological Vision: Reflections on the American Conditions, Transaction Publishers, New Brunswick and London』)

「伝える力」を鍛え、成功をつかむ

モノで満ち足りた時代、人々は企業に「生産性」ではなく「価値」を求めるようになっています。そのため、文字には表しにくい価値を経営者はさまざまなカタチで従業員やクライアントに伝えていかなければなりません。ドラッカーが言うように、ここで芸術が持つ特性が活かされます。

経営者としての成功は、個人の資産形成や年収(役員報酬)にも大きく関連しますが、企業の価値が上がれば、比例して経営者個人の資産形成にもプラスに働きます。美術館に時間を無理にでも作ることが、最終的に金銭的な豊かさを獲得することにも役立っているというわけです。

さぁいざ美術館へ

日本人で美術館や美術展に年1回以上行く人はわずか32%だという調査結果(ライフメディア社)があります。そして行かない人の35%は、興味がないことを理由しているとのことです。

この記事で説明したような経営者が美術館に行く理由が分かれば、興味の有無に関わらず、足を運んでみたくなりませんか?コミュニケーション能力の向上や感性を磨くのにおすすめです。(提供:JPRIME


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