相続・遺贈・死因贈与、相続時に生じる問題

法定相続人が故人の遺産を全て受け継ぐ際には、その詳細が法律によって定められているので、トラブルになることは少ないと言えるでしょう。しかし、故人の遺言によって遺産を譲与される遺贈・死因贈与ではすんなりと行かない場合が多く発生します。ただでさえ、他人に遺産を譲るということになりますので、法定相続人の心傷は決して良いものとは行かないことが殆どです。

ですから、遺言によって遺贈や死因贈与に対して意思表示をしたとしても、法定相続人との間で揉め事となり遺言通りの譲与が受けられないということも少なくありません。遺言書にしても効力を生じさせるためには法律で定められた方式を取る必要がありますし、遺言通りの相続を行うためには行政書士や弁護士などによる「遺言執行者」の存在も重要です死後に不測の事態とならないためにも遺言作成は法律に則り、万全を期さなければならないのです。


相続問題はお金持ちだけの問題?

・忘れてませんか?相続後の各種手続き

多くの人が「うちは大した遺産はないから大丈夫」と思い込んでいるようですが、故人が一般的な社会人の場合でも、多かれ少なかれ家屋や土地、預金などが残されます。これらは大した相続税もかかってきませんから、相続人も大して気にしていないようですが「相続=相続税」という考えでいるとのちのちトラブルの元となることもあります。

というのも、多くの人は相続というと相続税ばかりに気が行っているようですが、例え遺産に相続税が課せられるほどのものでなくても、官公庁への手続きというものが発生してきます。死亡後は、戸籍収集や名義変更等の各種手続きが必要なのです。

これは基本的に相続人が自ら行わなければなりません。代行してくれるサービスもありますが、非常に高額なためその処理に困ることも少なくないのです。

・相続税の改正

現行の相続税では配偶者と直系卑属2人が相続人となった場合、8000万円までが未課税とされますが、現在改正予定が検討されている案では4800万以上からが課税対象となるように、大幅な増税が予定されています。ですから今後は相続の際に相続税に頭を悩ます人も増えてくるというわけです。「うちは大した財産がないから大丈夫」とタカをくくっておらず、今からその時に困らないよう事前準備をしておくことが必要があるのです。

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このように、相続時に発生する問題は、決してお金持ちばかりに降りかかってくるわけではありません。相続時に「何でこんなことに…」ということにならないように、相続についての知識を持って極力トラブル回避できるようにしなければなりませんね。