年収10億円プレイヤーとなった弁護士の福永活也さんのインタビューで、超富裕層としてのマインドや稼ぎ方、ライフスタイルなどを伺った。10億円という大金を手にしたとき、やりたいと思ったことはほとんどできると言っていいだろう。

一方で誰が10億円を稼いでも必ず発生するのが税金だ。年収10億円からいくら差し引かれ、手元にはいくら残るのか。もらえる年金はいくらなのか?

賠償事故3000件超の解決にかかわり、個人・法人向けのリスクマネジメントを行う「エルティヴィー」執行役員で、心理カウンセラーでもあるFPの渡邊裕砥氏に話を伺った。年収10億円だからこそ、苦労することにはどのようなものがあるだろうか。以下、渡邊氏にインタビューした内容をお届けする。(話し手・渡邊裕砥氏、聞き手・加藤芝浦)

渡邊裕砥さん
渡邊裕砥(わたなべ・ひろと)氏
ファイナンシャルプランナー 心理カウンセラー
株式会社エルティヴィー執行役員 賠償事故3000件超の解決に関わり、個人・法人向けのリスクマネジメントを行う。現在は保険会社や保険代理店向けのコンサルティングや保険のプロ向けの教育研修を中心に活動中。

個人事業主、額面年収10億円プレイヤーで試算

年収10億円で見える世界#4
(画像=perfectlab/shutterstock.com,ZUU online)

まずは収入から引かれる税金や社会保険料を整理してみましょう。今回は会社勤めをした後に独立して個人事業主として起業し、年収10億円を達成したケースで考えます。独身で、青色申告者です。

・所得税に関する社会保険料控除の内訳

国民年金保険料:約20万円(1万6410円×12ヵ月)
国民健康保険料:61万円(最高限度額)
後期高齢者支援金:19万円(最高限度額)

・所得税

個人事業主の例なので、ここでは年収を10億円、青色申告特別控除を65万円、社会保険料が上記の合計である100万円、基礎控除が38万円とします。これで課税所得が9億9797万円です。

通常ここからさらに仕入れを差し引きますが、今回は極力年収をそのまま課税所得として考えます。よって、ここでは消費税も考慮しません。

課税所得が4000万円超の場合の税率は45%、控除額は479万6000円なので、以下の計算になります。

所得税(9億9797万円×0.45-479万6000円)≒4億4429万円
復興特別所得税(2.1%)=4億4429万円×0.021=933万円
所得税+復興特別所得税(2.1%)=4億5362万円

・住民税

住民税は都道府県と市区町村とでそれぞれ分かれており、合計すると課税所得に対して一般的に10%です。

9億9797万円×0.1≒9980万円

・個人事業税

例えば弁護士業の場合は第3種事業に該当し、個人事業税の税率は5%です。従業員の雇用は無いとして、こちらも課税所得から算出します。事業主控除として290万円を適用しますが、青色申告による控除は受けられません。

9億9797万円×0.05-290万円≒4700万円

・手取り

以上の数字から手取りを計算します。

10億円-4億5362万円- 9980万円-4700万円≒3億9958万円

これを12ヵ月で割ると、約3330万円です。

約3330万円の月収があると思えばそれだけで莫大な収入ではありますが、年収10億円でも税率を単純計算すると手取りは半額以下になってしまうんですね。

年金は受け取れない可能性がある?

会社勤めのまま年収10億円に至るという状況は想像しづらいですが、考えてみましょう。厚生年金は報酬比例、すなわち給与額によって変動しますから、年収10億円ともなれば老後もかなりの金額をもらえるのではと期待したくなります。