現在のスマートフォンで使われている4Gの通信技術がさらなる進化を遂げたのが、2020年にサービス開始予定の第五世代移動通信システム「5G」です。
世間一般的には「通信速度が今よりも速くなる」というイメージが強いですが、5Gで通信速度が速くなるのはもはや当たり前。
5Gが実現すると、その特徴を最大限に生かした「IoT（モノのインターネット）」のさらなる進化で、私たちの暮らしがより豊かなものになります。
果たしてどのような未来がもたらされるのか。5Gの持つ3つの特徴とどの分野で活かされる技術なのかを見ていきましょう。
5G（第五世代移動通信システム）の特徴3つ
5Gは、現在のスマートフォンで主流の「4G」の後継となる次世代移動通信システムの呼称です。
すでにアメリカや韓国では商用サービスとして利用されており、日本においても2020年春のサービス開始が予定されています。
2020年の国内サービス開始に向けて、各通信事業者（NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク）が様々な分野の事業者と手を組み、新たな産業を生み出すべく多くの実証実験を行ってきました。
次世代に向けた新たな産業を生み出すための根幹ともいえるのが、5Gに期待される3つの特徴です。
5G（第五世代移動通信システム）の特徴3つ
- 超高速大容量通信
- 低遅延性
- 多接続性
それぞれの特徴と、それによってどのような未来がもたらされるのかを見ていきましょう。
1．超高速大容量通信
まず一つ目は、「超高速大容量通信」が可能になるという点です。
5Gでは、現在の4Gの約20倍の数値となる1秒間で20ギガビットものデータ送受信が可能となります。
動画や音楽、ゲームなどのコンテンツを超高速でダウンロードが可能になるのはもちろん、時間や場所を問わず4Kや8Kといった高解像度の映像データをインターネット上にアップロードすることが可能です。
これにより、街中の防犯カメラで撮影した映像をクラウドサーバーに送信、そのデータを分析して犯罪者の検知や不審者の早期発見につなげられます。
また、後述の「低遅延性」も相まって、様々な角度からのスポーツ観戦やライブ視聴が可能となるので、より臨場感のあるライブ映像を楽しめるようになるでしょう。
2．低遅延性
5Gの二つ目の特徴は「低遅延性」です。
これまでの4Gと比べて、5Gでの遅延は10ミリ秒から10分の1の1ミリ秒になるといわれています。
これにより、ライブ映像やスポーツ実況をタイムラグなくストリーミング配信することが可能になり、臨場感あふれる映像が楽しめるでしょう。
また、低遅延によってより高精度な遠隔操縦が可能となるので、人の立ち入れないような場所での工事や建設、医療分野では遠く離れた患者の手術ができるようになります。
近年話題の自動運転技術においても低遅延性は非常に重要な意味を持ち、データ送受信によるタイムラグが少なければ少ないほど、道路状況に応じた素早い対応が可能です。
時速60km／hで走行していた場合、1秒間で約17mは進む計算となるので、自動走行時のタイムラグが少なくなるほど安全な運転が可能だというのはイメージしやすいでしょう。
参照：その一瞬が交通事故に！こんなに危険！運転中の「ながらスマホ」｜政府広報オンライン
3．多接続性
5Gの最後の特徴、三つ目は「多接続性」です。
これまでの4Gと比べ、5Gでは1平方キロメートル当たり100万台と、従来の約10倍の同時接続ができます。
これにより、より多くのユーザーへのスムーズなデータ送受信が可能となる他、街中のいたるところにセンサーを配置することでのスマートシティが実現可能となります。
例えば車での走行中に周辺の交通状況や店舗情報が分かるようになり、自宅であれば温度検知による空調管理などが自動的にできるようになるかもしれません。
モノとインターネットをつなぐ「IoT」社会を実現するためには、5Gの技術は必要不可欠だと言えるでしょう。
5Gがもたらすは「モノのインターネット」のさらなる進化
ここまでに挙げた5Gの3つの特徴は、これまでの1G～4Gのような「通信端末のための技術」とは一線を画すものです。
ここまでに挙げた例以外にも、2017年11月に行われたPerfumeの世界3都市での同時ライブステージのような同時演奏、無人ドローンを使った荷物運搬サービスの進化など可能性は無限大です。
通信端末で言えば、5Gによる高解像度の映像データをより大画面で楽しむため、折りたたみディスプレイ搭載機が登場してきています。
私たちの生活に必要不可欠なインターネットが、身の回りの様々なモノやサービスとつながることで、新たなサービスが生まれ、既存の製品がさらなる進化を遂げています。
今以上に快適な暮らしが送れるような劇的な変化が起こることは間違いないので、5G技術の今後の発展に期待していきましょう。
