あなたが「転職」を考えた時に頭をよぎるのはなんですか? 雇用形態、時間、給与……さまざまなことを考えて求人情報をチェックしてしまいがちですが、10年後、20年後の自分をイメージしてみると転職の失敗を防げるかもしれませんよ。
多様な働き方の中から選べる今だからこそ「自分プロデュース!」してみませんか。
データから見えてくる女性の働き方
データにみる働く女性の現状
厚労省が発表した「平成30年版働く女性の実情」をみると、結婚や出産を理由に仕事をセーブする女性が減少し、60歳〜64歳の働く女性が増えていることがわかります。女性の労働力の割合も44.1%と右肩上がりで伸びているのです。
データにみる女性の転職事情
同じく厚労省の「平成30年雇用動向調査」の転職率では20歳〜59歳までの全ての年代で男性よりも女性の転職率が高くなっています。同調査内では、前職を辞めた理由として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が上位に入っており、フルタイムよりパートタイムでの転職の割合が高い傾向が見えます。
意識の変化と制度の変化が後押しする女性の転職
女性の就業率や転職率が上がっている中で、気になるのは正社員の割合が50%を下回っているという点です。なぜ、正社員の割合が低いのか分析していきましょう。
転職に対する女性の意識
2018年の総務省「労働力調査」の中でパートなどの非正規から転職した女性の、前職を辞めた理由をみましょう。 各年代でほぼ共通しているのは、「自分の都合の良い時間に働きたいから」と「家事・育児・介護等と両立しやすいから」の割合が高いこと。一方で、「正規の職員・従業員の仕事がないから」は、マイナス傾向が続いています。
家事や育児を含めたプライベートとの両立を求める女性が多く、正社員にこだわらず柔軟に働き方を決めている女性をデータから読みとれますね。
求められている女性の活用
ここ数年の働き方改革や女性活躍推進によって、女性に働いてもらうためのさまざまな制度が整えられつつあります。
例えば、最低賃金の改定や、2020年4月から始まる「同一労働同一賃金」は、時間給で働く人の環境整備にとっても良い方向といえるでしょう。
正社員と非正社員、それぞれのメリット・デメリット
女性の活躍が見直され、それぞれの生活スタイルにあった働き方が選びやすくなっています。自分のスタイルに合わせた職を選ぶときに押さえておきたい、正社員と非正社員のメリット・デメリットをリストアップしました。
正社員のメリット・デメリット
正社員として働くメリットは「安定」です。
会社がなくならない限り定年まで毎月のお給料とボーナス、退職金を受け取れることはライフプランを考える上で大きな支えになります。
デメリットは「強制的な協調」と考える人が多そうです。
人間関係や時間的拘束といった会社内での協調が時として縛りとなり自分の経験値をせばめてしまう可能性もあります。
非正社員のメリット・デメリット
パートや派遣など非正社員にとっては、正社員のメリットがデメリットに、デメリットがメリットになるでしょう。
生活の自由度を求めて非正社員を選択する場合、縛りが少ないことはメリットと考えられるでしょう。
しかし、正社員のような「安定」は揺らいでしまいます。
今後「同一労働同一賃金」によって金銭的な不安が改善される可能性はありますが、仕事に対する責任が今以上に大きくなり、それに伴うデメリットが生じる可能性もあります。
転職で考えたい2つのこと
多様性の時代と言われ、働くことに対する意識も変化している中で転職に求めるものはなんでしょうか。
正社員と非正社員の垣根が縮まってきそうな流れの中では、正社員・非正社員の違いだけが転職の明暗につながるわけではなくなるでしょう。
自分が「転職したい」と感じる本当の理由
前述の「雇用動向調査」の結果による転職の理由は、時間的な拘束や人との関わり、自分の能力など多様なものになっています。その一方で結婚や出産といった割合は減っています。
これは、生活環境が変わっても働くことを前提にどんな働き方をしたいかという自分軸で転職を考える傾向にシフトしていると言えます。
「転職」で得たい目的
転職をする上で目的が明確であることは大切なポイントです。
現在のように「人材不足で、ある程度転職先が確保できる状況がいつまでも続くわけではない」と、認識した上で、将来的にどんな自分をイメージできるかは人生100年時代をセルフプロデュースする上で欠かせません。
人は経験から多くのものを得ていくと言われます。
「とりあえず正社員!」としての転職が、自分の世界をせばめる結果とならないように明確な目的に沿った将来的なキャリアプランを考えてみてからでも良いのではないでしょうか。
文・高村浩子(ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント)/fuelle
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