11月27日、小売業大手のニトリホールディングス(以下、ニトリ) <9843> の株価が1万7640円と年初来高値を更新した。ニトリの株価は消費増税懸念等を背景に2018年6月から2019年5月まで11ヵ月にわたる低迷を余儀なくされていたが、その後上昇に転じ回復傾向を示している。ちなみに、今年5月22日の安値1万2260円から11月27日の年初来高値1万7640円までの上昇率は44%である。ニトリに限らず小売りセクター全体も回復傾向にあり、日本株全体の上昇にも寄与するところとなっている。
今回はニトリを中心に小売セクター全体の動きにもフォーカスしてみたい。
消費増税前の「駆け込み需要」が急増
10月2日、ニトリは2020年2月期の中間決算(3〜8月)を発表した。売上は前年同期比6.6%増の3215億円、本業の利益を示す営業利益は0.6%減の555億円だった。売上は期初予想の3232億円を0.5%下回ったが、営業利益は予想の531億円を4.7%上回った。ニトリは通期予想について売上5.7%増の6430億円、営業利益3.2%増の1040億円で据え置いている。
注目されるのは消費増税前の「駆け込み需要」である。ニトリは同日の決算説明会で今年9月度(8月21日~9月20日)の既存店売上が19.5%増となったことを明らかにした。特に9月30日までの10日間の既存店売上が66%増と大幅に増加、ランドセルや学習机など本来であれば春先にかけての新入学シーズンに売れる商品等が前倒しで買われるなど消費増税前の「駆け込み需要」が発生したと見られている。