放送局も本腰、評価余地

デジタル配信
(画像=PIXTA)

インターネット回線を通じて動画などを配信する「デジタル配信」サービスが普及期を迎えている。スマートフォンなどで移動中に映像を楽しむ人が増え、ネット配信会社や既存のテレビ局は、競って新たなコンテンツを投入。5G(次世代高速通信システム)の商用化にも乗り、関連市場は一段と成長しそうだ。

動画配信の市場規模は昨年が2200億円程度とみられ、前年比で約2割拡大した。2023年には3000億円に迫るとの予測もある。世界的にはグーグル傘下の投稿動画サイトのユーチューブや、ネットフリックス、アマゾンといった米国勢が覇権を握り、アップルやディズニーも今秋にサービスを開始した。

一方、日本ではKADOKAWA(=カドカワ、9468)の「ニコニコ動画」や、USEN―NEXT HOLDINGS(=UNEXTH、9418)が展開する「ユーネクスト」が知られるほか、テレビ局各社もデジタル配信に乗り出しつつある。ただ、出遅れ感は明白だ。

こうした中、ゴールドマン・サックス証券は11日付のリポートで、テレビ局の現状を分析。地方局の再編が今後に期待されるほか、デジタル配信事業の積極化を通じた企業価値向上の可能性を指摘。保有不動産なども踏まえ、株価には見直しの余地が大きいとしている。

同証券が「買い」の格付けを付したテレビ朝日ホールディングス(9409)が共同展開するのが、無料インターネット放送「アベマTV」のサイバーエージェント(4751)。投資が先行するアベマTVだが、同証券は22年9月期に黒字化すると予想している。また、動画配信サービス「フールー」を持つ日本テレビホールディングス(9404)も高く評価した。

一方、デジタル配信技術に目を向けると、IMAGICA GROUP(6879)やJストリーム(4308・M)などが関連銘柄として浮上する。

IMAGICは映像システム機器に強く、コンテンツ制作も手掛ける。今3月期上期の連結営業損益は2.8億円の黒字(前年同期は7.1億円の赤字)に転換した。テレビ局向けの大型システムやハイスピードカメラの新製品が貢献したほか、映画やCMの制作も好調に推移している。

Jストリームは動画配信プラットフォームがテレビ朝日Hに採用されている。このほか、配信動画のミドルウエアを手掛けるCRI・ミドルウェア(=CRIMW、3698・M)や、映像制作のAOI TYO Holdings(3975)、海外ドラマの日本語版作成などで東北新社(2329・JQ)をマークしたい。

また、ユーチューブに絡んでは、クリエーター「ユーチューバー」のマネジメントでUUUM(3990・M)が高ポジションに付ける。(12月13日株式新聞掲載記事)

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