スシローグローバルホールディングス(以下、スシロー) <3563> の2019年9月期決算は、売上が13.8%増の1990億円、本業の利益を示す営業利益は24.1%増の145億円と好決算だった。国内既存店売上と海外売上がいずれも好調で業績に寄与した。回転寿司業界は、売上1位のスシローの一人勝ちで株価も過去最高値圏にあるのが現状だ。しかし、後段で述べるように業界2位のくら寿司 <2695> も米国を中心に世界戦略強化を鮮明にし、スシローを追い上げる構えを示している。

手ごろな価格で楽しめる回転寿司は、いまや日本国内にとどまらず世界を舞台にしたシェア争いに突入しようとしている。そこで今回は「スシロー vs くら寿司」と題して、両社の最新動向をリポートしたい。

業界1位のスシロー、好決算と増配等で過去最高値

スシロー,株価
(画像=Cuson / shutterstock, ZUU online)

スシローは2020年9月期について、売上は12.4%増の2237億円、営業利益12.0%増の162億円で、4期連続で過去最高益を更新する見通しを示している。同時に前期の年間配当を5円増配の90円とし、今期も90円配当を継続する計画を明らかにした。

ちなみに、2019年9月期の国内既存店売上は前年度比7.4%増と好調を維持し、客数4.2%増、客単価3.1%増とバランスの良い成長を継続している。また、2020年9月期に入っても国内既存店売上は10月が5.4%増、11月が10.0%増と好調だ。

スシローは2017年11月から「スシローカフェ部」を発足してスイーツメニューを強化、女子学生などの新たな客層を呼び込むことに成功したほか、「まぐろ祭」や「てんこ盛り祭」「スシロー3連発創業祭」といったキャンペーンも集客と単価上昇に寄与したと見られる。さらに海外事業(詳細は後述)も成長戦略の柱として拡大しており好業績を後押ししている。

2019年9月期の好決算と2020年9月期の強気見通し、さらには増配といった好材料が相次いだことから、決算発表翌日(11月9日)のスシロー株は買い気配で始まり6.8%高の8020円で取引を終了した。その後も先高人気は継続し、12月4日には過去最高値となる8880円を記録している。今年6月28日の安値5990円からの上昇率は48%である。

業界2位のくら寿司、海外戦略を推進