社内失業から立ち直り、やりたいことを見つけた
その後、私は社内失業を経験しました。きっかけは、編集長を務めていた雑誌を軌道に乗せられなかったからです。
また担当役員に断りもせず、カンパニーを超えて他の事業責任者に連携を働きかけ、組織人として分をわきまえない奴と見られたことも影響しました。
私としては、社会的な大義のためには、組織事情などたいしたことではないと考えていたのですが。
でも、捨てる神あれば拾う神あり。私の組織をはみ出した働きぶりを面白がってくれた一人の役員が、声をかけてくれました。こうして、私は異動します。
ところが、異動先で机はあてがわれたものの、具体的な仕事がありません。その時点で退職・起業しようとも考えましたが、子どももいるし、具体的なプランがあるわけでもないので、辞めるわけにはいかないと思い直しました。
今思えばここが大きな転機だった気がします。そこで今の起業につながるテーマを見つけることができたからです。
当時、続々とネット媒体が立ち上がりつつある中で、社内では経営層と現場のすれ違いが起きていました。
紙の雑誌事業で育った経営層が、現場の若い人たちのやっているネットの仕事を理解できず、正しく評価できない一方、現場は経営層が考えるビジネスモデルをよく理解できないというズレが生じていたのです。
そこで、私は部下たちの仕事の価値を上司に伝え、上司が部下にどんな仕事を期待しているのかを翻訳する社内コンサル的役割を担うことにしました。
この橋渡しが評価され、『リクナビ』の編集長に登用されました。そして、全国の大学をまわるうちに、就職活動で元気がなくなり、就職後さらに元気がなくなる若手のキャリア支援や育成を手がける事業をしたいという思いが強くなっていったのです。