独立の準備をした「つもり」でいた
私は、リクルートという会社で働いていました。
同社では当時、フレックス定年制を採用していて、38歳に退職金がピークに達するよう設計されていました。
その制度のおかげで、若いうちから〝卒業後″を意識した働き方ができました。鶏口となるも牛後となるなかれ。将来は転職ではなく、起業のみを目標にしていました。
とはいえ、周囲と比べてのんびりしていたと思います。独立したい想いはあるものの、具体的な構想はなく、20代は、『ケイコとマナブ』という雑誌編集部で楽しく仕事をする一方、「ずっとこの仕事を続けていいのか」などとモヤモヤしていました。
かといって、独立の準備を怠っていたわけではありません。まずは、ビジネススクールに通って、今の仕事以外のビジネススキルを磨くことにしました。
独立したら、すべて自分でこなさなければならない。経験を積んできた編集だけでなく、営業も人事も経理のスキルも必要です。
しかし、希望の部署を全部経験するにしても時間がかかるので、ビジネススクールで効率よく学ぼうと考えたのです。また、積極的に「セルフブランディング」もしていました。
独立後は、会社の看板ではなく自分の名前で勝負しなければならない。そう考えた私は、編集長として働く一方で、会社の外で自分の考えを発信すべく、睡眠時間を削って新聞に寄稿したり、書籍を書いていました。
ただ、詳しくは後述しますが、この2つだけで独立の準備をした「つもり」でいた自分に、激しく後悔することになります。