マンション投資を行う場合、「品質低下リスク」を意識しないままスタートしてしまうと致命的な失敗につながりかねません。特に「はじめての不動産投資で中古を選ぶ予定」「中古・新築どちらにしようか迷っている」という人はしっかりと押さえておきたい知識です。そこで本記事では品質低下リスクの6つのチェックポイントについて解説します。

マンション投資の品質低下リスク!チェックポイントは6つ

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(画像=takasu / Shutterstock.com)

購入したマンションが想定外に傷んでいると大規模修繕費が追加でかかったり運用期間が短くなったりすることがあります。品質低下リスクは新築マンションにはありえないでしょうが、中古マンションの場合は発生するため要注意です。ここでは6つのチェックポイントを確認していきましょう。

1 外壁や基礎の激しい傷みがないか
2 建物全体または部屋が傾いていないか
3 地盤が不ぞろいに沈下し建物が傾いていないか
4 雨漏りの発生、それによる構造の傷みがないか
5 コンクリートと鉄筋の腐りや激しい傷みがないか
6 給排水管や貯水槽の傷みや水漏れがないか

中古マンションと新築マンションを比べると購入価格が安いのは中古マンションです。しかし購入する場合は「品質低下リスクを踏まえてどちらを選択するか」について慎重に検討することが大切になります。

品質低下リスクで特に気をつけたいのは上記項目の5と6

6つのチェックポイントのうち外観などにかかわる1~4は専門家の目視や測定など(ホームインスペクション)でおおむねの状況はつかめます。一方、建物内部にかかわる5と6は、目視チェックでは状況がつかみにくいのが現実です。この問題を解消するには、「建物内部の情報を把握すること」が大切になってきます。

具体的には「コンクリート強度を知る」「給水設備の方式と交換状況を知る」といった2つが重要です。

コンクリートの強度を知る

同じ鉄筋コンクリートで作られている建物でもコンクリート強度は強いものと弱いものが存在します。そのため安心して長期運用をするには、「候補となっているマンションがどれくらいのコンクリート強度か」について知ることが必要です。コンクリート強度は「Fd(N/mm2)」で示され、この値が高くなるほど建物寿命や大規模修繕までの期間が長くなります。

・コンクリートの耐久設計基準強度

耐久設計基準強度Fd(N/ mm2)計画供用期間の級大規模改修不要予定期間供用限界期間
36超長期200年-
30長期100年200年
24標準65年100年
18短期30年65年

参照:日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事(2009年2月改定)」

候補になっているマンションのコンクリート強度を確認するには、不動産会社に依頼すればデータを提供してくれるはずです。強度がはっきりしない場合は、慎重に購入したほうがよいでしょう。

給水設備の方式と交換状況を知る

もう一つ把握したいマンション内部の情報は、「給水設備の方式と交換状況」です。マンションの給水方式には、大きく分けると「貯水槽方式」「水道直結方式」の2つがあります。1つ目の「貯水槽方式」は貯水槽に水を貯めて、そこから各戸に給水を行い、2つ目の「水道直結方式」は水道管から直接各戸に水を届ける仕組みです。それぞれに以下のようなメリット、デメリットがあります。

・マンションの主な給水方式と特徴

貯水槽方式(高置水槽方式)水道直結方式(増圧直結方式)
特徴・初期のマンションから採用されている ・1995年10月に東京都で初めて認可されて以降、広まった
メリット・断水や停電でも水道が使えるケースが多い・(貯水槽の汚れに影響を受けず)新鮮な水が飲める ・貯水槽のメンテナンスが不要
デメリット・貯水槽のメンテナンスが不十分だと水質悪化の恐れも ・貯水槽の清掃、メンテナンスの費用が必要 ・タンクの定期的な交換が必要・断水や停電のときに水が使えなくなるケースがある

中古マンションでも特に築古だと「貯水槽方式」を採用しているのが一般的です。貯水槽方式だと定期的に貯水槽の交換が必要でコストがかかります。ちなみにマンション貯水槽(FRP製)の理想的な交換時期は15~20年程度です。修繕積立金の不足などで適切な交換が行われていない場合、水質悪化で入居者満足度が低下する原因になりかねません。

給水設備の状況についても不動産会社に確認すれば情報提供してくれるでしょう。ヒアリング項目例は次の通りです。

・どの方式が採用されているか
・貯水槽の適切な交換が行われているか
・(行われていない場合)次の交換予定時期はいつかなど

中古マンションにこだわるなら品質低下リスクの把握は重要

中古マンションは新築マンションとは異なり、当然ながら品質低下リスクがあります。中古物件にこだわる人は情報収集をしっかり行ったうえで物件選びをするのが賢明です。また品質低下リスクに不安を感じる人は、最初から新築マンションに絞って物件選びに取り組む方がよいでしょう。(提供:Incomepress


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