高級タワーマンションは、一時期より注目のピークを過ぎたとはいえ憧れのランドマークであることに変わりありません。それだけにさまざまな都市伝説が存在します。そこで今回は「フロアが高い順にマウンティング」「地震に弱い」「金持ちばかりが住んでいる」など、こうした都市伝説は本当なのかについて検証してみます。

タワーマンションは地震に弱い?

タワーマンション,都市伝説
(画像=kurosuke/Shutterstock.com)

建物の耐震構造がしっかりしていればマンションの倒壊・損壊といった事態は防ぐことができます。ただ揺れ自体を抑えることができるわけではありません。特にタワーマンションの上層階は揺れが激しくなる可能性が高くタンスや食器棚が倒れたり照明が落ちてきたりといった被害が心配です。しかしタワーマンションの多くでは、耐震だけではなく免震構造が採用されています。

耐震構造とは、柱・梁などの躯体強度により地震に耐える構造です。一方免震構造は、文字通り「揺れを免れる」構造。免震構造の建物では、基礎部分に免震装置が設置されています。免震装置は、地面の揺れを建物に伝えないアイソレータ(積層ゴムと鋼板を重ねたもの)と揺れを止めるダンパー(オイルダンパー・鋼材ダンパーなど)でできているのが特徴です。

これらにより地震の揺れを3分の1~5分の1まで吸収します。免震構造の効果はすさまじく、例えば2005年3月20日に起きた福岡県西方沖地震(震度6)では、「住民が地震を弱いものと思い違いし後で実際の震度を聞いてびっくりした」との事例も報じられました。震度3程度の地震では、そもそも気づかないケースも多いようです。

フロアが高い順にマウンティング?

タワーマンションの都市伝説で最もよく聞かれるのが、「マウンティング神話」です。菅野美穂さん主演ドラマ『砂の塔-知り過ぎた隣人(2016年)』でタワーマンション住民の渦巻く虚栄心を描いて話題になりました。タワーマンションの低層階に引っ越してきた住民の菅野さんが最上階の「ボスママ」を頂点とする高層階のセレブ住民からあからさまにマウンティングされるシーンがこれでもかと登場したのです。

ただしよく考えてみると住んでいる場所によって「格付け」されるのは何もタワーマンションに限った話ではありません。たとえ低層階住民でも「タワマンに住んでいる」というだけでうらやましがられ虚栄心をくすぐられることもあるでしょう。また都市伝説といっても以下のような類のレベルの話にすぎないのではないでしょうか。

・エレベーターで低層階のボタンを押すのが恥ずかしい
・ゴミ出しに行くときもジャージやすっぴんではNG
・ママ友ランチが高額すぎてわずらわしい

程度の差こそあれ、一等地に住んでいればそれを自慢したくなるのは人の常です。そのためそんなに気にすることではないのかもしれません。

お金持ちばかりが住んでいる?

タワーマンションに限らず一等地に建つマンション価格が高止まり状態であるのは確かです。株式会社不動産経済研究所の資料によると首都圏における2019年11月の新築マンション平均価格は5,469万円でした。都内の新築マンションで山手線内側となると平均価格は1億円を超えるところもあり(3LDK・70平方メートル)、港区内だと1億円前後とされています。

そんなマンションの中心住民層は40代のアッパーミドル層で駐車場にはBMW・ベンツといった高級車も少なくありません。ただし最近は富裕層でなくてもパワーカップルと呼ばれる購買力の高い共働き世帯が、6,000万~7,000万円台クラス物件の買い手となっている傾向です。

タワーマンションの都市伝説はまったくの誤解

これらを踏まえて考えると「地震に弱い」という都市伝説はまったくの誤解です。「マウンティング」「富裕層ばかり」は根拠なしとは言えないまでも、それほど気にするほどの話ではないでしょう。一方で「リセールバリューの高さ」「共用部分の充実ぶり」「遠くからでも視認できるランドマーク性」など、タワーマンションには明らかなメリットがあるのも確かです。

都心部だけではなく最近は地方にも広がるタワーマンションは、利便性の高いエリアに住みたい層にとっては注目したい選択肢の一つと言えるのではないでしょうか。(提供:Incomepress


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