(本記事は、清水 久三子氏の著書『話しベタさんでも伝わるプレゼン 人見知り、心配性、アドリブが苦手な人でも堂々と発表できる!』翔泳社の中から一部を抜粋・編集しています)

プロセス
(画像=PIXTA)

ストーリーボードで二度手間をなくそう

資料作成は準備時間の1/3程度の時間で

「プレゼン準備=資料作成」というくらい資料作成にかかりきりになる方は多いと思いますが、プレゼンの準備時間の全てを資料にかけてしまうとあまり良いプレゼンにはなりません。

本書で紹介したメッセージやストーリー作りや、それを伝えるリハーサルに時間をかけた方がプレゼンの成功確率は高まります。資料作成は1/3の時間で済ませ、資料の間違いを探す最終チェックや、テスト印刷などを行いましょう。気持ちの上でもミスをなくす上でも賢明です。

作成時間を劇的に短くするストーリーボード

資料をいきなりパワーポイントで作りはじめる方も多いですが、これは思いの外時間を取られます。パワーポイントは機能が多いため、それらをどう使うのか迷ってしまうからです。作業効率の観点から言って、考える時間と作成する時間は分けた方が効率的です。パワーポイントは作成ツールなので、考えながら作るということには向いていません。

ではどうするかと言うと、パワーポイントに向かう前に資料の構成案を手書きで書く、ストーリーボードを作成します。全体の構成や各スライドのイメージをノートなどに書いてみましょう。ストーリーボードを書いてから作成するとそうでない場合と比較して大体半分以下の時間で作成できます。時短して残った時間はしっかりとリハーサルに使いましょう。

ストーリーボードに含めるもの

ストーリーボードには下図の7種類のスライドを含めて①~⑦の順で構成します。

話しベタさんでも伝わるプレゼン
(画像=話しベタさんでも伝わるプレゼン)

ストーリーボードの作成手順

では、ストーリーボードの作成の仕方をご紹介します。ストーリーボードには映画の絵コンテとほぼ同様にプレゼンの流れとスライドイメージを書きます。メッセージや情報を制限時間に合わせて、どんな順番で伝えていくのか、どんなビジュアルにするのかを考えて手書きで構成を表現します。ノートやホワイトボードでもよいでしょう。また付箋1枚をスライド1枚として書くと順番の入れ替えなどが容易にできます。

ストーリーボードには、表紙や目次スライドは入れなくても構いません。ディバイダスライドは本編の枚数が多い場合には区切りをわかりやすくするために入れてもよいでしょう。

ストーリーボードを作らずに手元にあるスライドを組み替えて資料を作ろうとすると、手元にある情報に引っ張られてしまいます。話が飛んでいることに気が付かなかったり、逆に必要のないスライドをそのまま入れてしまったりと、ストーリーがしっかりと考えられなくなるのです。既存の資料を使い回すのがいけないわけではなく、あくまでもメッセージが伝わる流れを考えてから、既存の資料で活用できるものを組み込むようにしましょう。

ストーリーボードの枚数の目安ですが、持ち時間が30分くらいであれば、「タイトル」スライドや「ディバイダ」スライドを除いた「本編」スライドを10枚以内にしましょう。社外向けプレゼンなどは背景を共有していないため枚数が多くなりますが、20枚を超えると内容を記憶するのが難しくなってきますので、本編スライドの枚数は絞り、補足スライドにして質問が出たときなどに見せるようにします。

手書きストーリーボードにはキーメッセージやグラフ・図などのビジュアルを具体的に書いていきます。書いた後、口頭で説明して流れがいいかどうか確認するとパワーポイントで作成した後やリハーサルをしてから作り直すという手戻りが防げます。

話しベタさんでも伝わるプレゼン
(画像=話しベタさんでも伝わるプレゼン)

4つのスタイルで効率良く進めよう

わかりやすいスライドにはスタイルがある

パワーポイントは自由度が高いため、適当に文字やビジュアルの配置を変えてしまうと、統一感がなくなり、見づらくなってしまいます。

私が勤めていた外資系コンサルティング会社では、資料作成用スタイルガイドが毎年配布されていました。本編スライドのメッセージラインやグラフの配置、色使いなどが指定されており、迷わずに作成できました。社内で共通の指定がない場合は、自分でスタイルガイドを作っておくと時短になります。次の4つのスタイルガイドの例を参考にしてください。

❶基本レイアウト
最も一般的なレイアウトはタイトル、メッセージ、ボディを並べたかたちです。スライドでも配布資料でも使えるスタイルです。タイトルの下に数行のメッセージラインを配置するため、口頭で説明しなくても理解してもらいやすいスライドになります。
❷結論で締めるレイアウト
状況を説明してから最後に結論を述べたい場合に使いますが、下にメッセージラインがくると遠方から見づらいというデメリットもあります。
❸グラフ重視のレイアウト
インパクトのあるグラフを説明したい場合に向いています。グラフはシンプルにした方が効果的です。
❹演出重視の質問と回答レイアウト
質問を提示して、回答を大きく表現するレイアウトです。相手の興味を引きつけることができますが、プレゼン時は紙資料を配布せず、アニメーションで答えを見せるなどの演出が必要です。
レイアウトは1つのプレゼン資料内ではできるだけ統一し、配布資料にはメッセージラインを入れた方が確実に伝えることができます。
話しベタさんでも伝わるプレゼン
(画像=話しベタさんでも伝わるプレゼン)

1スライド1メッセージにしよう

1スライドに情報を盛り込みすぎない

プレゼン資料の枚数を減らそうと思うとつい1枚のスライドにたくさん書き込んでしまいがちです。私は企業の企画書や提案書の添削のお仕事もいただくのですが、たいていの方は書き込みすぎてしまっています。研修の依頼者は「ごちゃごちゃしていて言いたいことがわからない」「説明内容がどこに書いてあるのかがわからない」という、ほぼ同様の評価をしています。1スライド1メッセージにする必要があるのです。

例えばイベント報告の場合、よくあるのはイベント概況について伝えたいのに、詳細な表や細かい文字やイベントの写真……と情報が1枚のスライドにてんこ盛りになっている状態です。

本当は、1枚のスライドいっぱいに強調したい部分を大きく拡大して見せた方がメッセージは伝わります

表にはひと工夫を加える

表は情報量が多い元データのため、1枚のスライドに多用しない方がよいでしょう。表をそのまま貼り付けると、メッセージを読み取る負荷を相手にかけてしまいます。表から伝えたい情報を抜粋してグラフにするか、スライドを分けてメッセージを強調する表現にしましょう。また写真などもつい貼り付けたくなりますが、小さい写真ではメッセージが伝わらずごちゃごちゃ感が増すばかりです。あふれた必要な情報は、別途資料として添付するようにしましょう。

話しベタさんでも伝わるプレゼン
(画像=話しベタさんでも伝わるプレゼン)
話しベタさんでも伝わるプレゼン
清水 久三子
株式会社AND CREATE代表取締役社長。1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人の人材育成に携わる。2013年に独立。執筆・講演を中心に、年間4冊を超えるビジネス書の執筆や全国での講演・講師活動を行う。2015年6月にワーク・ライフバランス、ダイバーシティの実現支援を使命とする株式会社AND CREATEを設立。ビジネススクールや大手銀行系の研修提供会社で講師をつとめ、創造性と生産性を向上させるスキルアップのプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。

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