(本記事は、清水 久三子氏の著書『話しベタさんでも伝わるプレゼン 人見知り、心配性、アドリブが苦手な人でも堂々と発表できる!』翔泳社の中から一部を抜粋・編集しています)

困惑,退屈,女性
(画像=PIXTA)

話し方にリズムを出して、聞きやすさを上げよう

相手が退屈そうになったら話すのをやめてみる

相手が退屈そうにしていると、焦ってとにかくもっと何か言わなくては……と話し続けてしまいますね。しかし、相手の集中力がなくなるのは話し方にリズムが感じられないことが理由です。音楽では休止符が重要な役割を果たしていますが、話すときも同様です。ずっと話し続けずに「間(ま)」を取りましょう。間には3種類あります。

まず1つ目は「理解の間」です。聞き手がそれまでに話したことを整理して理解するために必要な間です。文章でいうと「。」や「、」などの句読点で1、2秒の間を空けます。この間によってそれまでに話したことを理解してもらうのです。

「3つの機能があります。(1秒の間)コミュニティ機能、(0.5秒の間)チャット機能、(0.5秒の間)シェア機能です(1秒の間)」

2つ目は「強調の間」です。重要なことを言う前後に「ため」を作るのです。

「この企画のコンセプトで最も重要なのは(2、3秒の間)、“顧客に選んでもらう”(1、2秒の間)という点です」

と強調したいキーワードの前後に間を取ります。こうすることで、キーワードが際立ちます

3つ目は「集中の間」です。これは聞き手に考えてもらうことで注意を引きつけるための間です。相手に質問を投げかけ、考えてもらう時間を取ります。

「この企画がなぜ効果があると思いますか?(3〜5秒の間)」

質問の後に3秒以上の間をおくと聞き手は自分なりに答えを考えはじめます。すると答えを知りたくなるため、その後の話を集中して聞こうとするわけです。沈黙に耐えられない場合には、心の中で「1、2、3……」とカウントするとよいでしょう。

話しベタだと沈黙を避けなくては……と思いがちですが、むしろ話し続ける方が良くない結果になりがちです。しっかりと間を取ることであまり話さなくても伝えたいことが浸透すると考えてみてください。

相手の理解を確認しながら進める

間を取っても相手が退屈そうだなと感じた場合には、話が一区切りしたところで、ここまで話したことが理解されているかを確認してみましょう。

「ここまでお話ししたことはご理解いただけたでしょうか?」
「ここまでの内容についてご意見をお聞かせください」

これは相手の興味を再び戻すためでもあり、理解できないまま最後まで話を聞き続けるというお互いの無駄な時間を省くためでもあります。

一文一文を短くして接続詞でつなごう

間を取ること以外でリズムを出すには、一文一文を短くすることです。人は文の切れ目でそれまでの情報を理解しようとするからです。

1文は長さではなく、主語と述語のセットで区切り、短い文のつなぎには接続詞を入れ、次に話す方向性を相手に伝えます。例えば、「Aです。しかし……」と言えば、Aと反対の話を想像します。接続詞は少し声を大きくするとさらにリズムが明確になります。接続詞を使い慣れていない方は下図の接続詞表を参考にしてください。

〈接続詞分類表〉

話しベタさんでも伝わるプレゼン
話しベタさんでも伝わるプレゼン
(画像=話しベタさんでも伝わるプレゼン)

早口は直せる

焦って早口になってしまう方も多いと思いますが、早口はよほど滑舌が良く、話がまとまっている人以外はとても損だと思ってください。スピードを落とすためには2つのテクニックがあります。1つ目はゆっくり手を回したり、ゆっくり歩いたりと、動作をゆっくりにすることです。2つ目は口を大きく開けて話すことです。身体は連動しているので、他の動作をゆっくりにすることで話すスピードを落とすことができます。

敬語を正しく使おう

敬語を重ねすぎない

上司への報告、お客さまへの提案となると失礼のないようにきちんとしなくては……とぎこちなくなる傾向にあります。おかしな敬語を多用するよりはむしろシンプルな丁寧語だけの方が聞きやすく、説得力があります。よくある間違った敬語の使い方を挙げてみましょう。

まず、「ではご説明を始めさせていただきます」のように語尾に敬語を重ねすぎてしまっているケースです。これは「ご説明」「させる」「いただく」と尊敬語と謙譲語が重なりすぎています。「説明いたします」「ご説明します」のように、一文で使う敬語は1回くらいにとどめましょう。

ちなみに「させていただく」を使って良いケースは相手の許可が必要な場合です。例えば相手が話している最中に「お話の途中ですが、質問させていただいてもよろしいでしょうか?」などのように使います。

そもそも多くのプレゼンは話す場ですから「説明させていただきます」というのは、やめた方がよいでしょう。また、敬語を重ねすぎることで弱々しい印象を与えてしまうリスクもあります

謙譲語を相手に対して使わない

また本来自分に対して使う謙譲語を相手に対して使っているケースもあります。例えば「持参」「うかがう」などは謙譲語なので、相手に対して「資料を持参してください」「皆さまもうかがっていると思いますが」などはおかしな使い方です。

バイト言葉をやめる

接客のアルバイトなどで一般化してしまっているおかしな敬語もビジネスシーンでは使うべきではないでしょう。例えば「こちらが資料になります」では、これから資料に変身するというような意味となり、日本語として不自然です。

日頃から敬語を使って話す

いざというときだけかしこまって話そうとしても付け焼き刃で不自然になりがちです。尊敬語や謙譲語は、改まった場だから使う、相手がお客さまだから使うというものではなく、自分がビジネスパーソンとしての良識を持っているかどうかを示すものだと考えて使いましょう。

もちろん、言葉は時代とともに変化するものですが、前述した例は違和感を持つ人がまだまだ大勢います。間違った使い方をする人が多い中でしっかりと使いこなすことができれば、それは説得力や信頼にもつながるでしょう。日頃から使うことで板についてきて、プレゼン時にぎこちなくなることを防いでくれます。

〈言葉遣いの注意点〉

①敬語を重ねすぎる
≪BAD≫  ご説明を始めさせていただきます
≪GOOD≫  説明いたします

②相手に謙譲語を使う
≪BAD≫  資料を持参してください
≪GOOD≫  資料をお持ちください

③バイト言葉を使う
≪BAD≫  こちらが資料になります
≪GOOD≫  こちらが資料です

話しベタさんでも伝わるプレゼン
清水 久三子
株式会社AND CREATE代表取締役社長。1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人の人材育成に携わる。2013年に独立。執筆・講演を中心に、年間4冊を超えるビジネス書の執筆や全国での講演・講師活動を行う。2015年6月にワーク・ライフバランス、ダイバーシティの実現支援を使命とする株式会社AND CREATEを設立。ビジネススクールや大手銀行系の研修提供会社で講師をつとめ、創造性と生産性を向上させるスキルアップのプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。

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