(本記事は、鈴木颯人氏の著書『最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす』KADOKAWAの中から一部を抜粋・編集しています)

相手の「思考グセ」を知ればイライラは減らせる

相手
(画像=Gajus/Shutterstock.com)

相手に対する期待度が高いほど、落胆度も大きくなります。

必要以上に相手に期待しないためにも、6HNを知ることと同じくらい大切なのが、相手の「思考グセ」を知ることです。

ここで言う「思考グセ」とは、相手が無意識のうちに行っている習慣や行動を指します。

クセというと、悪い印象を持つ人もいるかもしれませんが、見方を変えれば、その人が活躍するためのヒントが詰まっているとも言えます。

その行動を改善する対策を考えて動くことで、相手の意識も改善し、あなたが怒りに費やすエネルギーも、別のところに回すことができます。

たとえば、〆切にルーズなJさんという人がいたとします。

経費精算をお願いすると、Jさんはいつも2〜3日遅れて提出します。〆切の1週間前と3日前、さらに〆切当日に念押しをしているのに、です。経理の担当者もカンカン。Jさんには「仕事を先送りする思考グセ」があるわけです。

この場合、必ず期日を決めることがポイントです。

「いつまでにできそう?」「今月の30日までにお願いできそう?」などと伝え、期日を明確にします。

さらに、期日の数日前に「頼んでおいた××の仕事、進んでいる?困ったことがあれば知らせてくださいね」と伝えておけば、予想外の遅延は防げるはずです。

人から聞いたことを「決定事項」として報告する思考グセのある人もいます。

クライアントから「この資料をもう少しこんな具合にアップデートしてくれたら、上から決裁をもらえそうなんだけどね」と言われたことを、「次の資料を持参するときに契約印を押してもらえそうです」と勝手に解釈して報告にくる。

営業職なら、意気込みを買って「良い調子じゃないか!」と言いそうになりますが、実はこうした報告グセのある人は、トラブルを招きやすい傾向にあります。

自分に都合の良い解釈をするため、次回クライアント先を訪問するとき、「決裁をもらうこと」が目的になってしまい、頼まれたこと、つまり「アップデートしてほしい」と言われた資料作りがおろそかになってしまうのです。

こうした事態を防ぐためには、「クライアントからは何と言われたの?」「次回までに何を用意したら良いのだろうね?」などと、面倒でも、一つひとつ確認するようにしましょう。それだけでも、トラブルの芽を摘むことができるはずです。

「クセ」とは無意識の産物で、誰にでもあるものです。

「クセ=良くないこと」と決めつけて非難するのではなく、クセを知ったうえで、できることを一緒に考え、より深い人間関係を築くきっかけにしてしまいましょう。

二流のリーダーは相手のクセを非難する
一流のリーダーは相手のクセを知り、対策を考え実行する

相手に頼みごとをするときは「YOU目線」が効く

相手の欲望や思考グセがわかり、

「よし、これで相手と良い関係が築けそう」

と思っても、私たちはつい「自分目線」で物事を考えてしまいます。

とくに忙しいときや焦っているときなど、余裕のないときほど、相手の事情はお構いなしに、外から見た印象だけで相手のことを決めつけてしまいがちです。

しかし、メンバーに頼みごとをしたり、一緒に何かをするときは、「相手目線」が欠かせません。

たとえば大事な商談の日に部下が遅刻するとわかったら、どう思うでしょうか。

「ったく、こんな大事な日に何やってるんだよ!」
「クライアントの心証が悪くなったらどうするんだ!」

ついこんなふうに思ってしまうかもしれません。

このとき、あなたは「自分目線」で物事を捉えています。

この、自分目線で物事を捉えることを、行動心理学で「I目線」と表現します。

一方で、相手の立場に立って考えることを「YOU目線」と言います。

先ほどのシチュエーションを「YOU目線」で捉えると、

「(××くんは)交通事故にでも遭っていないだろうか」
「最近残業が続いていたようだったから、疲れて寝坊したのかもしれないな」
「時間を間違えたのかな?」

などと、相手の事情に思いを巡らせます。

この「YOU目線」を意識するだけで、相手にかける言葉が変わってきます。

仮に、本当に事情があって遅れた場合は、相手を傷つけずに済みます。

大事なことなのでくり返し伝えますが、自分の期待と結果に「ギャップ」があると、人は怒りを感じやすくなります

とくにふだんから「I目線」で物事を考える習慣がある人は、この傾向が顕著です。「I目線」で物事を考えていると、あたかも世界を自分でコントロールできるかのような感覚に陥りがちです。そして自分の思った通りにならなかったときには期待を裏切られたと感じ、怒りやストレスを感じてしまいやすいのです。

「YOU目線」で物事を見ると、相手には相手の事情があり、自分にはコントロールできないことが世の中にはたくさんあるということを認識できます。

すると、トラブルが起きたとしてもムダに腹が立ちません

チームメンバーがあなたの望む成果を出してくれないと悩んだり、メンバーの言動にイライラしたりすることが多い場合は、あなたの視点が「I目線」に偏っている可能性があります。

辛い状況を好転させるコツは、「YOU目線」を意識すること。できる範囲で良いので、メンバーの立場に立って物事を考えるようにしてみましょう。

意識するだけで、イライラがおさまりやすくなるほか、視点が切り替わることで課題に対する意外な突破口を見つけられるかもしれません。

そして何より、広い心で受け止めることができるようになれば、何事にも動じないメンタルを手に入れることができます。結果として、多くのメンバーからの信頼を得ることができるでしょう。

二流のリーダーは「I目線」で指示をする
一流のリーダーは「YOU目線」で指示をする

最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす
鈴木颯人(すずき・はやと)
1983年、イギリス生まれの東京育ち。脳と心の仕組みを学びながら、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。金メダリストから学生アスリートまで、野球、サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによってパフォーマンスを激変させるアスリート、チームが続出中。スポーツ指導者や選手の親へのコーチングも好評で、「70歳の教え子を昇段させた」など、うれしい報告が続々届いている。15万人を超えるTwitterフォロワーに日々メッセージを発信中。

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