(本記事は、大嶋啓介の著書『世界一ワクワクするリーダーの教科書』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)

「本気」とは、つらくて苦しいものではない

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(画像=aslysun/Shutterstock.com)

「本気でやれば、大抵のことはうまくいく」

「本気」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱きますか?

覚悟を決めて、一途に自分がやるべきことをやる......僕はそんなふうにストイックで、厳しい決意で臨むイメージだと思っていました。

僕が人生を変えるきっかけになったセミナーで、「本気の定義」を教えてもらったのですが、その内容が目からウロコでした。

本気には4つの定義があるというのです。

・本気の定義1:自分の意思で何がなんでもやると決める
本気の人は、自らの意思で「やる」と決めている。「日本一になる」と決めている。
まずは、決めることから始まる。

・本気の定義2:あきらめずにやり続ける
本気の人は、決めたら成果が出るまでやり続ける。
途中であきらめるのは、本気さが足りない証拠である。

・本気の定義3:楽しくなる
本気でやると楽しくなる。本気=楽しい。
「つらい」「苦しい」と思っているのならば、本気さが足りない証拠。

・本気の定義4:本気の人を、人は応援したくなる
本気の人に、人は集まる。

定義1と定義2は、もともと僕が持っていた「本気」のイメージにあったのですが、定義3は目からウロコでした。

なぜなら、ずっと「本気=つらい・苦しい」というイメージがあったからです。

当時の僕は、リーダーとして楽しんでいる姿を見せてこなかった。大変な姿や苦しんでる姿を見せてきたから人が離れていったり、うまくいかなかったんだと気づけました。

楽しいところに人は集まります。楽しいリーダーに人は集まります。

本気≠つらい・苦しい
本気=楽しい・ワクワク

本気は、人を惹きつける力となります。

あなたはいま、目標にワクワクしていますか?

あなたはいま、目標に本気ですか?

1年で売上を3倍にした「本気」の男の物語

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(画像=iStock.com/taka4332)

僕の仲間に強烈な「本気」のリーダーがいます。

経験や知識がなくても、本気でやれば奇跡が起こることを証明した男です。

居酒屋業界のなかでも、「店長をやれば彼の右に出る人はいない」と断言してもいいくらい、強烈な本気のリーダーです。

居酒屋甲子園で、二度も日本一になっている男でもあります。

彼の名は、赤塚元気。

居酒屋業界で「知らない人はいない」と言われるほどの究極のリーダーです。

そんな彼の店長時代の伝説の話を、ご紹介します。

彼は大学を卒業してすぐに父親の会社に就職し、いきなり居酒屋の店長を任されます。当時の店の売上は、約150席で月商600万円ほどでした。
「人が輝く日本一の店にする」という目標を持ち、社員さんに熱く話しました。
しかし......まったく伝わらない。
それもそのはず。
大学を卒業してすぐに、社長の息子ということで店長になったものの、年齢も一番若く、店長として誰からも認めてもらえていない状態だったからです。
熱く語ったとしても、そう簡単には伝わるはずもない。
彼だけが、孤立している状態。
そんなとき父親から、

「どれだけ熱く話しても、どれだけ正しいことを言っても、人は言葉ではなかなか伝わらない。
本気の行動で信頼を勝ち取るしかない。お前の本気が伝われば信頼されるようになる」


と言われました。
彼は、その次の日から行動を変えます。本気の行動を取ります。 本気を伝えるためにした行動は、

「誰よりも早く出勤して、誰よりも遅くまで残る」

というものでした。
それ自体は、そんなにめずらしくもなく、誰もが思いつくことだと思うのです。
しかし、その誰よりも早く出勤するレベルが半端なかった。
なんと、みんなが出勤する時間より6時間も早く出勤したのです。
お店の通常の出勤時間はお昼すぎなので、赤塚元気は早朝からの出勤ということです。
その日から毎日早朝に出勤して、まずは駅前でビラ配りをします。そして店の外を掃除し、さらには店のなかの掃除も一人ですべてやりきります。
さらに、キッチンスタッフが仕込みに入りやすい状態を整えて、それでもまだ時間が余るので、どうすれば日本一の店になるのかを考える時間にしたそうです。
まわりのスタッフたちは「どうせ続くわけがない」と、冷めた様子。
しかし赤塚元気の本気の行動は、ずっと続きます。

1か月たったころ、ついに一番否定的だった料理長が動きました。

「俺も明日から店長と同じ時間に出勤する。
店長の思いは本気だ。
本気で日本一の店にしたいと思っている。
俺は、店長についていく」


と。
そして、なんと全社員が早朝に出勤したのです。
1か月で彼の本気は伝わり、全員の気持ちがひとつになりました。
とはいえ、さすがにみんなが朝から出勤するのは負担になるということで、出勤は元の時間にしてもらったそうです。
ただ、赤塚元気だけは1年間、みんなよりも6時間早い出勤を続けました。

みんなの気持ちがひとつになり、売上も劇的に変化していきます。
彼が店長になって3か月後には売上が1.5倍に。
そして半年後には2倍に。
さらに1年後には、なんと3倍の1800万円を売り上げる、とんでもない大繁盛店になったのです。
その後、彼の店は居酒屋甲子園で日本一になり、全国で知られるようになっていきます。

経験があるかないかは関係ない。

リーダーの本気の思い、本気の行動で、本気のチームはつくれる。

そして、本気のチームになると、圧倒的な結果をつくることができるということです。

世界一ワクワクするリーダーの教科書
大嶋 啓介(おおしま・けいすけ)

株式会社てっぺん代表取締役。日本朝礼協会理事長。人間力大學理事長。1974年1月19日(『いい空気』をつくるために)、三重県桑名市で生まれる。居酒屋から日本を元気にすることを目的に、株式会社てっぺんとNPO法人居酒屋甲子園を設立。てっぺん創業15年で100人以上の経営者を輩出する。2006年には、外食産業にもっとも影響を与えた人に贈られる外食アワードを受賞。著書に、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」自己啓発部門賞受賞作『前祝いの法則』(フォレスト出版、ひすいこたろう共著)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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