(本記事は、大嶋啓介の著書『世界一ワクワクするリーダーの教科書』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)

「娘が超反抗期。親子関係もギクシャク。そんなときに学校でタバコが見つかり、呼び出された」これは何のチャンス?

助ける
(画像=Arthimedes/Shutterstock.com)

「人生とは、うまくいかないことをいかに楽しみ、面白がるかだ」

「最大の困難とは最高の生き様を伝える最大のチャンス」

想像してみてください。

娘のことで学校から呼び出された――。

この問題に対して、あなたがお母さんだったら、ワクワクできますか?

ワクワクなんてできないですよね。

しかし、ワクワクしていたすごいお母さんがいたんです。

それが、映画『ビリギャル』のモデルになった、小林さやかちゃんのお母さんです。

さやかちゃんは現在、作家としても講演家としても活躍されています。

そんなさやかちゃんのお母さんが、本当に素晴らしい最高のリーダーなのです。

中学時代、ヤンチャだったさやかちゃん。

何度も学校に呼び出されたそうなんですが、お母さんは学校からの呼び出しをチャンスだと捉えていたそうです。

どういう意味の「チャンス」なのか。それは、

「あなたが何をしても、仮に何者になったとしても、私だけはあなたの一番の味方なんだよ、ということを娘に知ってもらえる、わかってもらえる絶好のチャンス」

と、心底思っていたからなんです。

当時、さやかちゃんとお母さんの親子関係は少しギクシャクしていたそうです。さやかちゃんは超反抗期だったとか。だから学校に呼び出されたとき、娘にとっての大ピンチに、娘に寄り添い、娘の力になってあげられる最大のチャンスだと思い、お母さんは心底ワクワクしていたのです。

さやかちゃんは、タバコが見つかり無期停学になります。

先生から言われた言葉に、さやかちゃんはめちゃくちゃ落ち込んだそうです。

「お前がタバコを持っていることを、先生がなぜ知っていたかわかるか?
お前が親友だと思ってる○○さんが教えてくれたからだ。
お前はあいつに売られたんだぞ?
だからお前も、ほかに誰がタバコを持ってるか言わないと、今日は家に帰れないぞ。
どうする?」

その言葉にさやかちゃんは落ち込みました。でも、友だちを売ることはしなかった。

シビレを切らした先生は、お母さんを学校に呼び出しました。

先生からさんざん注意を受けたあと、お母さんが先生に言った言葉。

「この度は本当に申し訳ありませんでした。でも先生、こんな良い子、いないと思いませんか? 先生のおっしゃる良い子というのは、髪の毛が真っ黒で、スカートが膝下10センチ以上長くて、お勉強ができる、そういう子だけのことなのかもしれません。それならこの子は、もう悪い子で結構です。退学というならそれでもいいです。
でも、こんなに友だち思いの素晴らしい子を、私は誇りに思います」

このお母さんの言葉で、さやかちゃんは更生したそうです。どんなことがあっても娘を信じきったお母さんのその存在が、さやかちゃんを本当の意味で落ちぶれさせなかったのです。

さやかちゃんは、そのことをいまでも講演で語られています。

「私にあったのは地頭じゃない、自己肯定感です。
そしてそれは、母のおかげなんです。
母はいつでも、私のことを信じてくれた。
どんなときも、さやかなら大丈夫、さやかは素晴らしいって、母がいつも信じきってくれたおかげで、私はどんなときも、自分のことを信じることができているのだと思います」

お母さんの信じる力は、子どもが自分自身を信じる力になります。

お母さんの信じる力は、子どもの自己肯定感を引き出す力になります。

最大のピンチのときに、リーダーがどんな言葉をかけてあげるか。

仲間がピンチのときに、リーダーがどんな言葉をかけてあげるか。

ピンチはチャンスです。ピンチこそが信頼関係をつくる最大のチャンスです。

最大のピンチとは、最高のリーダーの生き様を伝える最大のチャンスなのです。

あなたは、部下のピンチにワクワクできますか?

あなたは、部下のピンチにどんな言葉をかけてあげますか?

「部下が仕事で大失敗。会社に多大な損失」これは何のチャンス?

上司,部下
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

知り合いのとある編集者のお話をご紹介します。

かなり大きなプロジェクトを任されていて、会社からも大きな期待を受けていました。

3年がかりのプロジェクトだったんですが、最後の最後にそのプロジェクトはダメになってしまったそうです。

そのとき、その編集者は自分の不甲斐なさに絶望感しかなくて、ショックで、会社になかなか戻れなかったそうです。

責任をとって会社を辞めてしまおう、と思って会社に戻りました。

社長に報告したところ、その社長から、

「お前があれだけやってもダメなものは、誰がやってもダメだったということだ。
お前はよくがんばってくれた。この経験を次に活かしてくれ」

このとき、彼は号泣だったそうです。

会社にとって、かなりの損失だったはず。

それなのに、社長は自分のがんばりを認めてくれていた。

「一生この社長についていこう」

と、強く思ったそうです。

部下のピンチは、リーダーと一生の信頼関係をつくる大チャンスです。

問題が起きたことが問題ではない。問題をどう考えるかに問題がある。

プラスに考えればチャンスになり、マイナスに考えればピンチになる。

困難が来たら、リーダーは部下にかっこいい姿を見せる最大のチャンスなのです。

世界一ワクワクするリーダーの教科書
大嶋 啓介(おおしま・けいすけ)

株式会社てっぺん代表取締役。日本朝礼協会理事長。人間力大學理事長。1974年1月19日(『いい空気』をつくるために)、三重県桑名市で生まれる。居酒屋から日本を元気にすることを目的に、株式会社てっぺんとNPO法人居酒屋甲子園を設立。てっぺん創業15年で100人以上の経営者を輩出する。2006年には、外食産業にもっとも影響を与えた人に贈られる外食アワードを受賞。著書に、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」自己啓発部門賞受賞作『前祝いの法則』(フォレスト出版、ひすいこたろう共著)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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