これから保険について考えたいと思っている方にとっては、「ほかの人たちはどうしているのか」、気になるところかもしれませんね。統計データをもとに、毎月の生命保険料の平均値や相場について解説します。

月々の保険料、みんないくら払ってる? 

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(画像=PIXTA)

2018年に生命保険文化センターが発表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険に加入している世帯が1年間に支払っている保険料の平均は38.2万円でした。1ヵ月あたりだいたい3万2,000円程度を支払っている計算です。

この保険料は、民間の生命保険会社やかんぽ生命、JA、各種共済などで加入している、家族全員分の死亡保険、医療保険、がん保険、個人年金保険などを含んだものです。

ちなみに、なんらかの生命保険(病気、死亡、老後など人に関するリスクに備える保険の総称)に加入している世帯は全体の88.7%、1世帯あたりの平均の保険契約数は3.9件でした。

世帯主年齢別の平均支払保険料

さらに詳しく見てみると、平均支払保険料額は世帯主の年齢によっても違うことがわかります。

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(生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」をもとに筆者作成)

保険に加入する目的として、同調査で多くの方が挙げているのが「医療費や入院費のため(57.1%)」と「万が一のときの家族の生活保障(49.5%)」です。

グラフもそれを反映していて、若いうちの支払保険料は少ないですが、病気や入院のリスクが高まる高齢者世代や子育て世代、特にお金がかかるであろう高校生や大学に通うくらいの子どもがいる世代で高くなっています。

家族構成別の平均支払保険料

子育て世代の平均支払保険料が高いということは、家族構成別のグラフを見るとさらにはっきりわかりますね。

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(生命保険文化センター「平成30年(2018)度生命保険に関する全国実態調査」をもとに筆者作成)

守るべき家族の数が多かったり、これから多額のお金が必要な家族がいたりする場合、より手厚い保障を求めて加入する保険数も多くなる傾向があります。逆に、夫婦のみの家庭、特に共働きでお互いの生活を経済的に支える必要がない夫婦の場合や、独身の方の場合は少なくなるでしょう。

昔と比べると保険にかける金額は減っている

2006年の調査からの推移を見ると、生命保険は加入率も支払保険料も減少傾向にあることがわかります。

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ただ、このような動きがある中でも、29歳以下の若年層に絞って見ると、民間保険への世帯加入率は2015年の調査から8.4%上昇して72.2%となっています。

保険って本当に必要?

「保険って入っておいた方がいいの?」というのは非常によく聞かれる質問ですが、入っておいた方がいい方もいれば、入らなくても問題ない方もいます。人によるので余計に難しく感じるかも知れませんね。加入すべきか悩んだら以下のような点をチェックしてみましょう。

死亡保険は「必要金額-もらえるお金-貯蓄額」で計算

まず、自分がもし亡くなってしまったら誰がどのくらい金銭的に困るのか考えてみましょう。子どもがいる方は、その子が自立して生活できるようになるまでの費用がいくらくらいかかるか計算します。夫婦なら、共働きなのかどちらかが専業主婦(主夫)なのか、相互の収入の依存度によって用意すべき生活費は違うでしょう。

死亡保険は残された家族のための保険なので、独身で一人暮らしの方など誰かの生活を経済的に支えているわけではない方には不要という考え方もあります。ただ、お葬式代やお墓代、死後の整理費用などにかかる数百万円だけは自分で用意しておきたい、ということで加入される方もいます。自分の考えを整理しておきましょう。

その後の家族のために用意しておきたい金額から、もらえるお金(この場合は亡くなった家族を支えるための国の「遺族年金」など)と現在の貯蓄額(亡くなったとき家族に遺せる保険以外の財産)を引いた金額を保険で用意しておくとよいですね。

医療保険は公的制度もうまく活用して

病気やケガをしてしまった場合に、いくらかかるのか、それについていくらもらえるのか知っておきましょう。たとえば、医療費は健康保険で3割負担、75歳以上の後期高齢者などであれば1割負担で済みます。

また、医療費の自己負担額が一定額を超えたら「高額療養費制度」という制度の対象になり、超えた分のお金は戻ってきます。もし病院の領収書で医療費100万円となっていても、一般的な収入の方であれば実際に負担するのは月5万~10万円以下程度で済むことも多いのです。

自己負担が多かった年に確定申告をすれば税負担が軽減される「医療費控除」や、会社員なら仕事を長期間休んでも給与の3分の2が保障される「傷病手当金」といった制度もあります。大手企業なら従業員向けに会社独自のより手厚い制度を用意していることもあります。

こういったものを活用して、多少の足りない部分も貯金で何とかなる、突発的な出費にもある程度耐えられるということであれば保険は不要かもしれません。するかどうかわからない入院のときにもらえる数万円のために、毎月確実に数千円を支払い続けるのはどうかという考え方もあります。

保険の内容と保険料のバランス、公的な保障の存在、いざというときに動かせる貯金額などを踏まえて、自分にとって本当に必要かどうか考えてみましょう。

老後のための保険は入るべき?

個人年金保険など老後の備えとして保険を検討される方もいます。これは単なる貯金とは違って運用商品の類になるので、途中で解約したら元本割れになるなどのデメリットやリスクをまずは把握しておきましょう。

老後に備えるという目的であれば、保険だけでなくiDeCo(確定拠出年金)やつみたてNISAなどほかの選択肢もあります。自分にとって最も良い方法はどれなのか、総合的に考えて判断したいところです。

ライフステージが変わったら保険の見直しを

どんな保険がどのくらい必要かは、年齢、家族構成、貯金額、お金に対する考え方などによってさまざまです。平均ばかりにとらわれず、「自分にとって」「我が家にとって」必要だと思う保険を見極めましょう。

また、結婚、出産、住宅の購入、転職など人生の中で特に大きなイベントがあったときは、必要な保険金額が変わっている可能性があります。保険料を節約できるチャンスかもしれませんし、一度入ったら入りっぱなしにするのではなく定期的に見直すようにしましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)/fuelle

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