富裕層が実践する子供の教育についてプロの執事(バトラー)に聞く本特集。第2回は富裕層に人気の有名私立大学付属・系列の一貫校やそれ以外の学校、習い事などについて伺った。人気校が支持される裏側にあるのは、富裕層ならではの人生の成功パターンだった。(取材・大岡雅弘/写真・森口新太郎)
人気が高いのはやはり「有名私立大学付属の一貫校」
――受験先としてどんな学校が富裕層に人気なのでしょうか?
まず挙げられるのは有名私立大学付属・系列の小学校ですね。関東であれば、慶應義塾幼稚舎、早稲田実業学校初等部、関西でしたら同志社小学校、関西学院初等部です。この有名私立大学付属、系列の小学校には富裕層のご子息、ご息女が多く集まります。入試においてはお子様の能力や資質とともに親御さんの考え方が重視されます。
――有名私大附属・系列のお受験で重視される親御さんの考え方とはどのようなものですか?
大事なのは親御さんがその学校の教育方針を理解しているかどうかです。例えば、慶應は福沢諭吉先生の理念に基づいて設立された学校ですから、先生の著作を読んで、何に共感したかといったことがポイントになりますし、キリスト教が母体の学校であれば、キリスト教への理解や行動の実践が必要となります。
そうした学校の教育方針と、ご両親の考え方がしっかりとマッチしているかどうかが問われるわけです。
――ピンポイントな質問ですが、慶應のブランド力はやはり強いのでしょうか。
そう思います。慶應は卒業生同士のつながりが伝統的に非常に強固なんですよ。さまざまな一流企業の中にも三田会という慶応の同窓会を通した人脈が存在しています。
さらに同じ慶應の中でも幼稚舎から学んできた人同士の人間関係、ネットワークは最も強固で特別です。自分の事業や資産を維持するために人脈が重要だと考える富裕層と、慶應のような学校が持つ伝統とは非常に親和性が高いということでしょう。
――御三家以外にも富裕層のお子さんがよく行く学校はありますか?
最近は財界の二世を育てるための高校や大学がありますね。慶應にもニューヨーク学院というニューヨークに作られた高校が存在します。卒業すれば慶應義塾大学へ進学できるという学校で、主なターゲットは財界二世など富裕層のご子息のようです。
ほかにはインターナショナルスクールも対象となりますし、海外のボーディングスクール(寄宿学校)へ行く方もいらっしゃいます。とくにグローバルな会社を経営している方の場合はお子様に異文化を体験させる、語学を学ばせるという意図を持って入学させるケースがありますね。
このボーディングスクールも日本の有名校と似ていて、各国の富裕層のご子息、ご子女が集まりますので、海外の人脈を作ることも目的の一つになります。スイスの有名なボーディングスクールには世界各国のプライベートジェットが並ぶ……などといった話も聞きます。
私が知るところではアメリアやスイスのボーディングスクールに入学されたご子息の方がいらっしゃいます。ただ、日本の場合はボーディングスクールへ入校させる例はまだそれほど多くなく、むしろ最近は中国や韓国の富裕層の間で増えていると耳にしています。
有名校に進学した後の対策も重要
――有名私立小学校に入学したお子さんの場合、家庭での教育はどのように行われるのでしょう?