(本記事は、富永 雄輔氏の著書『それは子どもの学力が伸びるサイン!』廣済堂出版の中から一部を抜粋・編集しています)

子供,笑顔,教育
(画像=PIXTA)

これまで使っていなかった言葉を使う

→得意な学びの「スタイル」が見えるサイン。
どこから覚えたのか探ってみよう

子どもがこれまで口にしたことのない、少し大人びた言葉を使ったりするのは、順調に成長しているポジティブなサインです。それに気づいたら、さりげなくその言葉をお子さんがどこで仕入れてきたのかを探ってみてください。

新しい言葉や知識の仕入れ先を知れば、その子の親の知らない日常や人間的な成長が垣間見られるのみならず、「何を媒体に学ぶのが得意なのか」、つまり、その子の「学びのスタイル」がわかります。それが、その子が伸びる環境を整えるうえでの重要なヒントになるのです。

「その言葉、どこで覚えたの?」
「それ、誰に聞いたの?」

こんな質問を投げかけてみて、頻繁に友だちの名前をあげるようなら、その子は友人を通じて学ぶのが得意な子です。

または、「テレビで見た」「本に書いてあった」と言うなら、テレビや本から学ぶのが得意で、「ネットで読んだ」と言うなら、ネットから仕入れた情報が身につきやすいのです。

そのような傾向がわかっていれば、学びの環境づくりはかんたんです。その環境を親が積極的に与えればよいのです。そうすれば、自分の「ホーム」となる媒体からより多くのことをどんどん吸収し、ぐんぐん成長していきます。

また、学ぶ媒体やルートが友だち、新聞、本、ネットなどと、バランスよく多岐に渡っているのは、日常生活からいろんなことを上手に吸収する子です。すべてが学びの機会となり、「生きていることは学ぶこと」なので、非常に得なタイプです。こういうタイプの子は、たくさんの人との交わりやさまざまな経験が、学力を伸ばすことにも直結します。

また、中には、学校や塾の授業、つまり「座学」こそが、一番の学びになるお子さんもいます。そういう子は真面目にコツコツ勉強することで、どんどん知識を身につけるため、学校や塾の質が、学力を伸ばす大きなポイントになります。座学を苦にしないタイプでもあるので、受験を意識していなくても、少し長めに家庭学習の時間をもたせるようにしたり、早い年齢から塾に通わせるのもよいでしょう。

「体験こそがベストの勉強法」だとよく言われます。「楽しく効率的に学ぶ」という意味ではそれも事実ですし、日常生活を学びの機会にするのはとても大切です。

ただ、知識の吸収の仕方はさまざまなので、子どものタイプによっては、ひたすら机に向かっているほうが性に合うケースも実際にあるというわけです。

いくら親子でも、親御さんが得意としたやり方が、子どもにも通用するとは限りません。

誰でもこんなふうに勉強すれば必ずよい結果につながる、という魔法の方法なんてありません。よい結果が出るのは、その勉強法がその子に合っているからです。

これまで使っていなかった言葉を使うのまとめ
・子どもがどこから覚えたのかをチェックして、「学ぶ環境」づくりに役立てる。
・親が得意な勉強法と子どもが得意な勉強法は違う。柔軟に対応しよう。

学校で学んだことを普段の生活に生かそうとする

→楽しい学びができているサイン。
楽しさを結果につなげるよう促す

「家庭科で習った料理を家でつくろうとする」「学校で習った理科の実験を家でやりたがる」「英語の歌のワンフレーズを口ずさむ」など、学校で学んだことを家で実践したがったり、嬉しそうに話すのは、本人の好奇心が刺激されていることの表れです。とてもよい環境で学べているサインとも言えます。

でも、それが成績に直結するかと言えば、残念ながら話はそう単純ではありません。

ただ「楽しい」だけで終わっていたり、先生の話がとにかく面白くて、授業自体を楽しんでいるだけかもしれません。

たとえば、学校の授業で「楽しく学ぶこと」を優先する傾向がある英語では、興味関心は高まっても単語や熟語はまったく暗記していない子もいます。

そこで、親がよりそれを身につけられるようサポートします。

たとえば、「今日は何を習ったの?」と聞いて、子どもが楽しそうに答えるなら、まずは晩ご飯のとき等の会話にするのが第一歩。次に、興味を体験につなげます。

たとえば、子どもが楽しく感じたのが「歴史」であれば、休みの日にそれに関連した旅行に行ってみる。「分数」だったら、「リンゴを〇人で分けるには、どう切ればいい?」と家で切らせてみて、「これが〇分割だよ」と教えてあげる。「英語」だったら、洋楽を聴かせてみる。

これが、「体験こそがベストな勉強法」の実践です。その後、習ったことを復習すれば頭にも知識が入るでしょう。

私たちは、VAMOSに入塾するお子さんの好きな教科の成績を伸ばすことを、最初の目標にしています。

目に見えて成績が伸びればそれは子どもの自信となり、「勉強」に対するモチベーションが一気に上がるからです。

「それを学ぶことが楽しい!」気持ちは、すばらしいアドバンテージです。もしもそれが成績に反映されていないと感じたら、「楽しい」気持ちを失わないうちに、親がフォローするほうがよいでしょう。

学校で学んだことを普段の生活に生かそうとするのまとめ
・うれしそうなら本人の好奇心が刺激されている証拠。親は学びを身につけられるようサポートする。
・学校で学んだことを体験につなげる。その後復習すれば知識が身につく。
それは子どもの学力が伸びるサイン!
富永 雄輔(とみなが ゆうすけ)
進学塾VAMOS代表 幼少期の10年間、スペインのマドリッドで過ごす。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS(バモス)」を設立。現在、吉祥寺、四谷、浜田山校の3校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子供を受け入れるスタイルでありながら、中学受験から、高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇り、日本屈指の“成績が伸びる塾"として「プレジデントファミリー」「アエラキッズ」「日経キッズプラス」などにも多く登場。学習指導のみならず、これまで約1000人のさまざまな教育相談、受験コンサルティングにも対応。幼稚園年少~高校3年生までを一つの部屋で指導し、少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。140人規模の小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)。

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