軽自動車と言えば、価格が安く、気軽に乗れるクルマだ。クルマを1人1台所有しているような地域では、都会よりも軽自動車を多いようだ。しかし、最近では200万円以上する高級な軽自動車も多い。なぜだろうか?

高額軽自動車の代表格はホンダ「S660 ModuloX」

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(画像=ホンダ)

クルマの車両本体価格にフォーカスすると、軽自動車の中で最も価格が高いのはホンダの「S660 ModuloX」。金額は304万2,600円(税込)。このクルマは「S660」(232万1,000円(税込))をベースとし、コンプリートカーブランドの「ModuloX」の専用カスタマイズパーツを装着している。

次に高いのはトヨタの「コペン GR SPORT」で、243万5,000円(税込)。モータースポーツに参戦しているTOYOTA GAZOO Racingのスポーツカーブランド「GR」が、ダイハツ「コペン」をベースに、足まわり・レカロシート・鍛造ホイールなどを装着し、スポーツ仕様にカスタマイズしている。

この2台は2シーターのオープンカーであり、さらに自動車メーカーのカスタマイズモデルという、ややレアなケースだ。実用性ではなく走りに特化したクルマなので、200万円どころか300万円超えになったわけだ。

3年連続で最も売れている軽自動車ホンダ「N-BOX」の価格は?

最近人気のスーパーハイトワゴンの価格はどうだろうか。軽自動車の国内販売台数が3年連続1位のホンダの「N-BOX」の価格を見てみよう。

最も安いのが「N-BOX G・Honda SENSING」のFFが141万1,300円(税込)。最も高いのが「N-BOX Custom G・EXターボ Honda SENSING」の4WDで212万9,600円(税込)。こちらも200万円を超えている。

ちなみにホンダのコンパクトカーである「フィット」の価格は、155万7,600円~218万6,800円(税込)。グレードによってはコンパクトカーのほうが安く、軽自動車とそれほど価格差がないことがわかる。

もちろん軽自動車のすべてが高くなったわけではない。たとえばスズキの「アルト」のFグレードは、86万3,500円(税込)と先ほどのスポーツモデルの1/3程度の価格だ。

軽自動車でも快適装備や安全性の向上により高額に

軽自動車が高額になってきたのは、装備や安全性能が充実してきたからだ。ホンダ「N-BOX」は2019年10月のモデルチェンジで、運転席と助手席にシートヒーターを標準装備された。さらに、車体下のセンサーに足先をかざすとスライドドアが自動開閉する「ハンズフリースライドドア」や、リモコンでドアを自動開閉できる「イージーオープンドアハンドル」など、これまでの軽自動車にはなかったような機能を備えている。

また、先進の安全運転支援システムである「Honda SENSING(ホンダ センシング)」も全車に標準装備された。衝突軽減ブレーキは横断する自転車にも対応し、街頭のない道路で夜間の歩行者も検知できるように進化している。エアバッグは「運転席用&助手席用i-SRSエアバッグシステム」だけでなく、「前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム」によって後席の乗員も保護してくれる。

価格の安いスズキ「アルト」の装備は充実していないのかというと、そうでもない。最も安いFグレードの中でも「スズキ セーフティ サポート装備車」(92万4,000円・税込)を選べば、「キーレスプッシュスタートシステム」や「電動格納式リモコンドアミラー」「ヒートシーター」などが標準装備される。

また、

・車線のはみ出しを予防する「車線逸脱警報機能」
・「ふらつき警報機能」
・うっかり出遅れを予防する「先行車発進お知らせ機能」
・前方をセンサーで感知し、警告や自動でブレーキが作動する「デュアルセンサーブレーキサポート」
・踏み間違いによる急発進を回避する「誤発進抑制機能」

などの機能も標準装備されている。最近の軽自動車は、快適装備・安全装備がコンパクトカーと同じくらい充実しており、従来はオプション扱いだったのが標準装備になっていることがわかる。そのため、車両本体価格が上がっているのだ。

ただし、「アルト」のように安全性能は担保しつつ、コストを削った安いクルマも存在する。一方、高額な軽自動車は安全性能だけでなく、快適装備をさらに充実させ、豪華なエクステリア、インテリア、エアロパーツなどを装着している。

軽自動車の安全性能や居住性、デザイン性はコンパクトカーに迫る勢いだ。ちなみに、軽自動車がどれくらい売れているのかというと、2019年の4月から9月の上半期における新車販売台数で1位だったホンダ「N-BOX」は13万6,047台。コンパクトカーの1位は日産「ノート」の5万9,474台なので、倍以上も売れていることになる。

コンパクトカーとの違いは排気量とボディサイズ?

スポーツカーもあればスーパーハイトワゴン、SUVもあるし、ハイブリッドの設定がある軽自動車も増えている。軽自動車とコンパクトカーの境界線が曖昧になってきているが、それでも明確な違いはある。乗車定員は4人までで、車体が小さいため荷室はどうしても狭くなる。

また軽自動車の排気量は上限660ccだが、コンパクトカー(小型乗用車)は660cc以上2,000cc以下。高速道路などでは、パワーの違いを感じるはずだ。「なるべく小回りの効くクルマが欲しいので、コンパクトカーと軽自動車どちらにするか悩んでいる」という人は、「高速道路を走る機会が多いか?」「移動の際に荷物が多いか?」などで判断するといいだろう。

日本の法律のもとで独自の進化を遂げてきた軽自動車。今後の進化にも期待したい。

文・鈴木博之(フリーライター)/MONEY TIMES

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