お茶のオリジナルブランドを立ち上げた女性起業家に聞く

起業,田中美怜
(画像=THE21オンライン)

働き方が多様化し、終身雇用制が崩れつつある今、独立・起業を考えている会社員も多いだろう。しかし、実際に踏み切るかと言えば、不安が先立つものだ。特に、独自の商品を開発し、販売しようとすれば、準備するべきことやリスクが多すぎて、いったいどうしていいのやら……。そこで、会社員を辞め、オリジナルのお茶のブランド「AKEBONO TEA」を立ち上げた田中美怜氏に、どのように起業したのか話を聞いた。

起業後に仕入れ先を探し、レシピも開発「こんなに大変だとは」

――「AKEBONO TEA」は、日本茶をベースにハーブをブレンドした、オリジナルのオーガニックティーブランドですね。どのように販売しているのでしょうか?

田中 Shopifyを使って開設したネットショップやAmazonなどでのオンライン販売の他、都内のギフトショップなど、小売店での販売や、飲食店への卸売りといった、オフラインでの販売もしています。JETROの企画に参加する形で、米国の楽天でも販売しています。

ポップアップストアの店頭に立ったりもしましたね。日本茶を新しい形で海外に広めたいという想いで起業したので、外国の方が通りかかったら積極的に声をかけました。

――オフラインでの販路は、どのようにして開拓したのでしょう?

田中 自分で営業をかけたり、人に紹介していただいたり、お店のほうからお声がけいただいたりと、色々です。

――製造はどのようにしているのですか?

田中 色々な仕入れ先から仕入れた茶葉やハーブを委託先の工場に手配して、独自に開発したレシピに基づいて作ってもらっています。

日本茶とハーブをブレンドした商品は他社にもありますが、私が知っている範囲では、緑茶とカモミールとか、緑茶とミントなど、ブレンドしているハーブの種類が少ないんです。AKEBONO TEAは5種類前後のハーブをブレンドしているのが特徴です。

起業,田中美怜
(画像=THE21オンライン)

――商品を置いておく倉庫は?

田中 自社では持てないので探したのですが、苦労しました。海外にも発送できることなどが条件だったのですが、なかなか見つからなかったんです。結局、Shopifyと連携している倉庫で条件に合うところが見つかったので、そこを使っています。オンラインで管理を完結できる倉庫です。

――会社で働いている人数は?

田中 必要に応じてフリーランスの方にご協力いただいていますが、1人です。

――それは大変ですよね。事業を始めるためにやるべきことはたくさんあると思いますが、どこから手をつけたのでしょう?

田中 よくわからないうちに会社を設立してしまって、こんなに大変になるとは思っていませんでした(笑)。茶葉の仕入れ先を探しながら、レシピを作り始めて、パッケージなどのデザインも始めました。

――起業してからレシピを作ったんですね。

田中 もともと消費者としてお茶が好きで、色々なものを飲んでいたのですが、特に研究していたわけではなく、詳しくはありませんでした。日本茶インストラクターのような資格を取ったり、そのための勉強をしたりもしていませんでした。

「自分だったらこういう商品を買いたいな」というアイデアはありましたし、「これとこれを組み合わせると美味しい」という経験則はありましたが、オリジナルのブランドを作るために試行錯誤をしたのは起業後です。

――デザインも自分で?

田中 デザイン事務所に委託していますが、結局、すべてのモチーフを自分で決めています。

――茶葉の仕入れ先を探したというのは、卸売業者を回ったということですか?

田中 最初はインターネットで「OEM」などと検索して探したのですが、たくさん出てきて違いがわからないので、片っ端から連絡してサンプルと見積もりを送ってもらいました。その中で質と価格のバランスが良いものを選べばいいと思っていたら、お茶の工場ではハーブを扱えないということがわかり、工場も探さなければならなくなりました。