話のつまらない人は「キャラに違和感」がある
反対に、たとえば、見る人をうならせる殺人トリックなどが精密に描かれた劇でも、「さっきと言っていることが違うぞ? キャラがブレブレじゃないか」「この人物、どんな人物かよくわからないな」といった違和感をお客さんが持つと、その劇は盛り上がりに欠けてしまいます。
実は、雑談もこれと同じです。
雑談は、情報交換したり、相手を楽しませたりする場ではなく、お互いにどのようなキャラクターなのかを理解する場なのです。
皆さんは、「有意義な情報を得なければ」「相手を楽しませなくては」と意気込んで、必要以上に雑談に対して苦痛を感じていませんか?
しかし、相手のキャラクターを理解すればいいだけと思えば、一気に気持ちがラクになります。自然と会話も盛り上がりますし、相手の性格を把握しておけば、後々のコミュニケーションもスムーズになります。
相手のキャラをとにかく「掘り下げろ」
でも、「お互いのキャラクターを理解し合うって、つまりどういうこと?」と思われる方もいるでしょう。雑談時のキャラクターの理解におけるポイントは、簡潔に言うと、次の2点です。
1 .「相手はこういう人間なんだな」という情報収集
2 .「自分はこんな人間なんです」という自己開示
まさにキャッチボールのように、「相手はこういう人間なんだな」という情報を受け取り、「自分はこんな人間なんです」という自己開示を行う、この応酬こそが雑談なのです。
そして、この応酬を通じて、「お互いの扱い方を把握すること」こそが、雑談の目的なのです。お互いがどういう人物かということがわかれば、コミュニケーションは一気にスムーズになります。仲良くなったり、仕事を円滑に行ったり、営業マンとして実績を得たりといったことなどが、簡単にできるようになります。
だから、雑談中は、「相手のキャラクターに関する情報を収集し、自分のキャラクターに関する情報開示をする」ことだけを意識すればいいのです。
しかし、雑談が苦手な人は、相手のキャラクターを知るという目的意識がないまま、会話をしてしまっています。実は、ただひたすらに情報を集めても、それは「相手のキャラクターを知ること」にはならないのです。次の、とある人物に関する情報AとBを見てください。
多くの人は初対面の人と話すときに、どちらかというとBのように、その人に関する情報をまんべんなく聞こうとするのではないでしょうか。まずは名前を聞いて、年齢を聞いて、会社や部署を聞いて、出身地を聞いて、一通り聞き終わったら趣味の話や休日の過ごし方などのプライベートなことも聞いてみて……といった具合です。
しかし、これだけ質問しても「へえ、そうなんですね……」とふんわり雑談が終了することも多々あります。実は、このように相手の情報を広く浅く知っても、相手のキャラクターは見えてきません。なぜなら、それらの情報をいくら聞いても、相手の考え方や価値観が、意外とわからないからです。