雑談の質を決定的に分ける「トークテーマ」の選び方
今も昔も、「雑談が苦手」という悩みは尽きないもの。たとえば、「初対面で何を話していいかわからない」「話がつまらないと思われていないか不安」「とにかく沈黙が訪れるのが怖い」などなど……。しかし、放送作家でありながら、科学的に研究されたトークメソッド「インプロ(即興力)」の養成講師として活躍する渡辺龍太氏によれば、雑談上手と雑談下手の違いは「紙一重の違い」に過ぎないと言う。
そこで今回は、そんな渡辺氏の著書『雑談がおもしろい人、つまらない人』(PHP研究所)の中から、、「話題選びの重要性」について語っていただいた。
雑談の質を決定的に分ける「トークテーマ」の選び方
雑談が盛り上がるかどうかは、「お互いのキャラクターを相互理解できるかどうかで決まる」と述べましたが、その際、「話題選び」はとても大事です。なぜなら、何か1つでも盛り上がる話題があれば、相手のキャラクターを引き出すのは容易だからです。
しかし、この話題選びに苦労する人はとても多いようです。よくあるのが、「話題を色々と振ってみるけれども、どれも相手にハマらず、会話が途切れてしまう」というパターンです。次の会話例を見てください。
A 「今日、いいお天気ですね」
B 「(まったく関心なさそうに)そうですね」
A 「そ、そうですね……。あ、そういえばBさん、かなりの釣り好きだって聞きましたよ。Cさんが、釣った魚をたくさんもらったって」
B 「ああ、あのときは、思ったよりも釣れたんで、おすそ分けしただけですよ」
A 「へー、そうだったんですね……。(沈黙しかけ、あわてて)あ、あとBさん、カラオケも上手だってお聞きしました!」
B 「ああ、まあね。でも最近は、あんまり行かないですね」
A 「そうですか……。(撃沈! もう、他に質問が思いつかない……)」
これは、話題をどんどん振っているのに全然話が盛り上がらず、何を聞いたら良いのかわからなくなってしまうパターンです。
ここでAさんは、「Bさんが興味を持ちそうなこと」をテーマに、「天気」「釣り」「カラオケ」と、順番に聞いていきました。しかし、一通り聞いたら、話が詰まってしまいました。これは「話題をただただ並列してしまい、どれも盛り上がらない」という悪循環に陥っています。
実は、この会話の中にしっかりと雑談を盛り上げるヒントはあります。しかし、Aさんはそれを拾い切れていません。どうすればよかったのでしょうか。