アンチを拒絶せず「分断」を乗り越える
自分の信念を貫こうとすれば、支持者ができる半面、アンチも生まれる。憲政史上初、2名の重度障がい者の国会議員を誕生させた「れいわ新選組」の党首・山本太郎氏はその好例だ。この快挙に対し、「あざとい」「障がい者を利用している」との批判や、「山本太郎なんて大っ嫌い!」という心ない罵声を浴びることもある。ところが、山本氏は、「私、そういうの大好物です! 」と述べる。その発言の真意は何か。
取材構成:前田はるみ
写真撮影:永井 浩
「なんかムカつく」という漠然とした敵意
先の参議院選挙で、れいわ新選組の山本太郎代表が街頭演説に立つと、ヤジや罵声が飛ぶことも少なくなかった。ただ、山本氏が他の政治家と違うのは、心ない言葉を浴びせる人とも、コミュニケーションを試みることだ。なぜ、自分を攻撃してくる相手と対話するのか。
「私の街頭演説に立ち止まって文句を言ってくる人は、マイクを渡せば話し合える可能性が高いんです。傍から見ればイチャモンをつけているとしか見えなくても、私に言いたいことがあるから、その場にいるわけです。『山本太郎なんて大嫌い!』と言われることもあります。
しかし、そうした批判は貴重です。私のどこが嫌いなのか、山本太郎の至らなさをしっかりと提示してくれる可能性があります」
山本氏を批判する人たちの中には、考え方や活動に対して反対意見があるというより、「よくわからないけど、なんかムカつく」という漠然とした理由で反対している人も多いという。
「私の何が気に食わないのか、具体的に説明できる人はそれほど多くありません。恐らく、私に関するいろんな情報をつなぎ合わせて、その人の中で私のイメージを勝手に作り上げているのだと思います。
最初にそれを感じたのは、政治家になる前。2011年に脱原発のための署名活動をしていたときのことです。敵意を持って話しかけてきた人がいたので、聞いてみると、『お前、こんなことがあっただろう』と。その内容は、ネットの噂や週刊誌報道をつなぎ合わせたフンワリしたものでした」
〝アンチ〟の正体は、〝単なる先入観〟の可能性が高い証拠だ。