「投資や資産運用は、余裕のある高所得者がするもの」と思っている人は多いのではないでしょうか。しかし実際は、老後の不安などを理由にすでに投資を始めているサラリーマンは少なくありません。サラリーマン1万人アンケートから、その実態を探ってみましょう。
投資をするサラリーマンが増えている
フィデリティ退職・投資教育研究所が2019年に実施した「サラリーマン1万人アンケート」で、一般サラリーマン層でもかなりの割合が投資をしていることが明らかになりました。詳しく見ていきましょう。
年収別の投資をしている人の比率(投資家比率)は、以下のとおりです。
年収300万円未満のサラリーマンで投資を行っている人は21.5%。投資家比率は年収が上がるにつれて上昇し、年収300万~500万円未満では30%台半ば、年収500万~700万円未満になると半数近くの人が投資を行っていることがわかります。
同研究所では継続的な調査をしていますが、「年収500万円の壁があると見ていたが、2019年の調査ではその傾向が弱まった」と総括しています。
2016年のサラリーマン1万人アンケートの結果と比較すると、すべての年収帯で投資家比率が上昇。年収1,500万円以上の高所得者層で顕著な伸びが見られましたが、300万~1,000万円未満の層も5~7%台という高い伸びを示しています。これは、「公的年金に頼れないから資産運用をしなければ」という意識の表れでしょう。
ちなみに性別の投資家比率を見てみると、男性42.8%、女性26.7%。一般的に「女性は投資に興味がない」と言われていますが、実際は4人に1人以上が投資を行っているようです。
20代・30代は投資重視、中高年は貯蓄重視の傾向も
サラリーマン1万人アンケートの2018年版を見ると、興味深い傾向が読み取れます。それは、若い世代は投資重視、中高年は貯蓄重視であることです。男性で「余裕資金の使い道は投資」と答えた割合は、世代が上がるにつれて減少します。20代の18.4%、30代の19.8%に対し、50代は14.8%です。逆に、「余裕資金の使い道は貯蓄」と答えた男性の割合は中高年が高く、20代の28.7%に対し50代は44.9%もいます。
若い世代に貯蓄重視派が少ないのは、「低金利なので貯蓄に回してもメリットが少ない」と考えているからでしょう。中高年世代に貯蓄派が多い理由は、貯金が大切という旧来の価値観が残っているからだと考えられます。
この傾向は男性特有のもので、女性で「余裕資金の使い道は投資」と答えた比率は全世代を通しておおむね10%前後です。
サラリーマンがこれから投資を始めるならどのジャンル?
サラリーマン投資家は、さまざまなジャンルに投資をしています。主なジャンルをチェックしていきましょう。
投資割合が最も高いのは、ネット証券などで手軽に始められる株や投資信託でしょう。しかし、国内株価は第二次安倍政権が誕生した2012年末頃から長期的に右肩上がりでしたが、2018年頃から伸び悩み、大幅下落を何度も繰り返しています。また2020年に入り急落が見られており、ビギナーが参入しにくいタイミングと言えるでしょう。
債券も一定数のサラリーマンが投資をしているジャンルです。株よりも安定した利回りが期待できますが、金利が低い分投資金額が大きくなければまとまったリターンが得られないでしょう。
不動産投資は投資物件の家賃収入で収益をあげていく資産運用です。家賃は景気にあまり左右されない傾向であるため、毎月コツコツと資産を増やせることがメリットといえるでしょう。さらに不動産投資ローンを使って物件を購入すれば、自己資金に大きなレバレッジをかけられることも魅力です。ただし、年収や属性によってはローン審査に通りにくい場合があるので注意が必要です。
どの投資にも、メリット・デメリットはあります。何に投資をするにしても、「いつか投資をしたい」と思っているだけではなく、行動を起こすことが大切です。いくら考えていても、行動しなければ未来は変えられません。まずは本を読む、Webコンテンツを読む、セミナーに参加するなど、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。(提供:Incomepress )
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