株式会社パーク・コーポレーション
(画像=THE OWNER編集部)

「梅澤さんに会って花を買うようになった。といわれるのが⼀番の誉め⾔葉なんです。」

そういって笑うのがparkERs ブランドマネージャーの梅澤伸也さん。社内の1 事業部として植物を⽤いた空間デザインブランド「parkERs」を⽴ち上げた設⽴メンバーでもある。

「植物がなくても困らない、けど、あると豊かになるし、そのことに気が付けたらそれだけで⼼が豊か」

⼈間が植物に向ける感情には特別のものがある。と梅澤さんは語る。

「花は全⼈類にとってものすごく好感度が⾼いんですよ。全世界中で敵をつくらずに語り合える。相⼿を絶対に傷つけない話題。そのくらい全⼈類にとって好感度の⾼いソリューションが花なんです。」

梅澤さんによると、これからの⼈間、会社、都市において植物の果たす役割はますます⼤きくなるという。これから私たちが植物に期待できることはなにか、お話をうかがった。

植物のバイオリズムが⼈間を調律する

parkERs が植物で演出するのは、あくまで「⽇常」だ。毎⽇を植物や⾃然の要素で少し豊かにする。卓上の鉢植えや⼀輪の花が⽇常に彩や安らぎをもたらすように、どんな場所でも緑による恩恵は受けられる。

梅澤さんは、⽣きている植物のバイオリズムが、より良い気づきと⼼が少し豊かになる時間を与えてくれる、と語る。

前記事で紹介した「バイオフィリックデザイン」も紐解いていけば、⾃然と⼈間とで共通するバイオリズムに起因してくるという。

「現代の都市⽣活では、例えば⾬が降っていても地下通路を通って駅から会社まで濡れずに移動することが当たり前にできますよね。そうした⽣活を送る中で、昔は当たり前だった、暑くなれば夏に、寒くなれば冬にという当たり前の⾃然の変化が感じにくくなっていると思うのです。そこに1 輪の花、例えばひまわりがあったら⼈間は本能的に夏を感じられるようになる。忙しい⽇々の中でふと⽴ち⽌まる時間を与えてくれる。植物はそういった⼈間本来の調律機能を取り戻す働きもしてくれるのかなと。」

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旬の花で季節を感じることができる(画像提供= parkERs)

他のレンタルプランツとは異なり、parkERs では植物を交換することでオフィスの美観を保つことはしていない。その代わり、定期的な「育てるメンテナンス」を施すことで植物のバイオリズムを⽇々感じられるようにしているのだ。

例えば剪定。多くの場合購⼊時とほとんど変わらないように枝葉を切りそろえるのが⼀般的だが、parkERs では導線の邪魔にならないぎりぎりにまで枝を伸ばす。そうすることで、植物との距離が近くなり、オフィスで働く⼈が植物の⽣命を感じられ、⼼を寄せるスポットが⽣まれるのだ。

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⽉1〜2 回のメンテナンスで植物の⽣育を⾒守る(画像提供=parkERs)

⼀⽅で、“デザイン性”を提案しながらも、そのデザインされた空間を維持するために植物が健やかに育つことができる⽣育環境を設計することがまず第⼀に求められる。

例えば、⽇光量が少なく、乾燥気味なオフィスは植物にとってベストな環境とは⾔い難い。また、⻑期の休みになると冷暖房が⼊らず、⼿⼊れができない期間も出てくる。

そのため、室内緑化では、オフィスごとに異なる環境を把握し、デザインと環境が調和した空間を作る必要がある。parkERs では内装やインテリア開発も含めて空間設計を⾏う「空間デザイナー」と室内の状態に合わせて使⽤する植物を提案する「プランツコーディネーター」の2 チームがタッグを組んで、コンセプトづくり、デザインから施⼯までを⼀貫して取り組むのだ。

植物を装飾品としてではなく、命のあるものとして扱うからこそ、⼈と植物が共⽣する空間が⽣まれている。

また、「デザイン」と「グリーン(植物)」の異なる2 分野のプロフェッショナルが集まったことで誕⽣したプロダクトもある。オリジナルの「Forest Lamp(フォレストランプ)/PRIVATE PARK シリーズ」はデザイナーとプランツコーディネーターがアイディアを出し合って⽣まれた。

「おしゃれな鉢植えって、格好いいけど育ててみると1 カ⽉も持たないことがおおいんですよ。⼟が少なかったり、⽔はけが良すぎたり、植物が健康に育つための設計がされていない。」

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parkERs が独⾃に開発したプランター⼀体型の照明「フォレストランプ」(画像提供=parkERs)

parkERs が開発したオリジナルプロダクトには、植物が⼗分に根を張る⼟があり、⻘々とした緑をいつまでも楽しむことができる。また、フォレストランプは「照明」として使えるように、観葉植物だけでない”機能”も備えているのが特徴だ。

未来のまちづくりは緑に覆われて

parkERs では、IoT を積極的に導⼊している。「Indoor Park モニタリングシステム」はparkERs が開発した独⾃の室内緑化オートメーション管理システムの1 つだ。

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IoT を導⼊することで維持コストが抑えられ、より室内緑化のハードルを下げる。(画像提供=parkERs)

梅澤さんは、テクノロジーは⼈間の機能を拡張するために今後発展していくのではないかと語る。

「⼈間の持つ可能性をテクノロジーで後押ししていく。そういう形に落ち着くのではないでしょうか。」と梅澤さんは語る。

かつてのように、「テクノロジーの発展=環境破壊」であった時代は終わりつつある。

世界各国が発表した未来のスマートシティ像を⾒ると、⾼層ビルが⽴ち並ぶ都市の中に緑があふれている、あるいは建物と緑が⼀体化している絵が多くみられることに気がつく。

「環境⾃体はどんどん⾃然に回帰していく。⼀⽅で、⼈間を取り巻くテクノロジーは発展していき、⼈間をサポートする存在になるのでは」と梅澤さんは語る。

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植物があることで空間に近未来的な印象を与える(画像提供= parkERs)

将来的に、企業活動に、「ESG」(環境・社会・ガバナンス)「SDGs」「wellness」「環境保護」に配慮することが、経済活動と同じくらい求められるようになる、と梅澤さんは語る。

その中で、多くの企業がまず検討することは緑を増やすことだという。なぜなら緑化は⽬に⾒えやすい成果として残り、ネガティブな印象が少ない。

「時代には必ずテーゼとアンチテーゼがある。つまり現代では⾃然に回帰しようという試みとテクノロジーを発展させようとする試みの2 つのバイオリズムがあります。今は、⾃然に回帰しようとしている時代が来ているのではないでしょうか。そして、必ず中間(ジンテーゼ)に落ち着く時代が来る。」

世界が環境保護の重要性を経済活動と同レベルに位置づけた2020 年は、その変換期の真っただ中にあるのかもしれない。

未来のためにできることを⾏う

parkERs では、空間デザインや植物の枠を超えて、サスティナビリティ(持続可能性)も重要視している。

例えば、parkERs で使⽤している植物はすべて、国内で「⽣産」されたものを使⽤、植物を植える⼟でさえ、⼭から掘り起こしてきたものではなく、コーヒーの出がらしや⽵炭(ちくたん)などの廃材となるものを再利⽤したアップサイクルにつながる⼟だ。

「parkERs soil」と名付けられたこの⼟は使⽤後「可燃ごみ」として処分することができる。

THE OWNER編集部
独⾃に開発した「parkERs soil」(画像提供=parkERs)

植物も⼟も役⽬を終えると焼却され灰になり、地球の循環に戻っていく。

「⾃然体が⼀番。地球を傷つけてまで緑を増やそうとは思っていない。」

ゆくゆくは、オフィス内で⾃然エネルギーによる⾃家発電を⾏い、植物の⽣育に必要なものをすべて賄っていきたいと梅澤さんは語る。

「よくも悪くも地球を⽀配しているのは⼈間。その⼈間を性善説に導かないと滅亡してしまいます。そんな⼈間の調律を補ってくれるのが植物ではないかと僕は思います。」

そのために、⼈と⾃然とが調和した社会にこれからも取り組んでいく。梅澤さんは誰よりも植物の可能性を信じている。

<会社情報>
parkERs ・ 株式会社パーク・コーポレーション
〒107-0062 東京都港区南⻘⼭3-1-7 ⻘⼭コンパルビル 3F
https://www.park-ers.com/

(提供:THE OWNER