2020年の公示地価が発表され、全国的に地価は上昇傾向にあることが確認されました。地方も好調ですが、新型コロナウイルスの影響で今後状況が変わる可能性もあります。今回は、選別投資になった場合に優位な東京圏の不動産投資について考えます。

2020年公示地価が発表

東京
(画像=f11photo/Shutterstock.com)

2020年3月18日、国土交通省から2020年の公示地価が発表されました。公示地価は、「毎年1月1日時点の1平方メートル当たりの正常な価格を判定し公示するもの」(国土交通省見解)です。2,398人の不動産鑑定士が約2万6,000地点について、分科会などで議論した上で価格を判定します。最新の調査によると、住宅地、商業地、工業地などの全用途の全国平均地価は1.4%上昇しています。

不動産投資の対象となる住宅地と商業地では、どのような結果が出たのでしょうか。公示地価のデータを見てみましょう。

全国的に地価の上昇が続いている

用途別に見ると、住宅地が0.8%、商業地が3.1%上昇しています。住宅地は3年連続、商業地は5年連続の上昇です。地域別では東京23区が全用途平均で6.3%、大阪市が6.0%、名古屋市が4.1%と大都市圏の上昇が際立っています。地方圏も0.8%上昇しており、緩やかながらここ3年は回復基調にあります。不動産業界にとっては、歓迎すべき傾向と言えるでしょう。

ただし、札幌・仙台・広島・福岡が4市平均で+7.4%と、地方圏の上昇率を押し上げている面もあります。地方圏全体では、商業地が+1.5%に対して住宅地は0.5%の上昇に留まっています。それでも、地方圏地価の長期下落傾向に歯止めがかかったことに変わりはありません。

景気悪化で一戸建ては苦戦か

2020年に入ると、好調だった不動産業界にも新型コロナウイルスの影響が出始めました。東京都など7都府県に緊急事態宣言が発令され、度重なる外出自粛要請により、企業や商店の経営が悪化し、収入が減少する人が続出しました。

このような経済情勢下では、住宅ローンを組むことにリスクを感じ、一戸建ての購入を躊躇する人が増える可能性があります。また、収入の減少によって住宅ローンを支払えなくなる人も出てくるでしょう。そうなれば自宅を売却せざるを得なくなり、住宅ローンの残債を支払った上で、賃貸マンションなどへ引っ越すことになります。これらを踏まえると、今後、需給の関係で一戸建ての価格は低迷することが予想されます。

選別投資では東京圏のマンションが優位に

新型コロナウイルスの感染拡大によって、不動産価格が一本調子で上昇することは難しい状況になりました。では、今後不動産投資はどのようなスタンスで臨めばいいのでしょうか。

土地や一戸建ての需要が減り、投資先を選別しなければならない状況下では、東京圏のマンションが優位になる可能性があります。景気の悪化が長期化する不安から、住宅ローンを組んで一戸建てを購入するよりも、立地の良い賃貸マンションで暮らしたいと考える人が増えると予想されるからです。このことから、利便性の高い東京圏のマンションが選ばれる可能性が高いと言えます。

したがって投資という視点で考えれば、東京圏のマンションで賃貸経営を始めるのが有利と言えそうです。その理由として、まずリスクを避けて賃貸を志向する人が増える可能性がある点、さらに単身者が一戸建てを借りることは考えにくいため、単身世帯の住むマンション需要が拡大することが挙げられます。

ライフルホームズのレポートによると、不動産会社などにヒアリングしたところ、コロナウイルスの影響が大きくなりはじめた2020年2月でも、マンション・アパートの入居件数が昨年の水準を維持した会社が4割、昨年よりも入居件数が増加した会社が6割と、目立った影響が出ていないことがわかります。

先行き不透明な経済情勢がしばらく続くと予想されます。株式市場も変動が激しいため、損失を覚悟して投資しなければならないでしょう。その中で、ローンを返済しながら安定した家賃収入を得られるマンション経営は、今選択できる最も有利な資産運用先と言えるのではないでしょうか。(提供:Incomepress


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