インターネットやCMで見かける生命保険の広告に、「私も準備しないといけないかな」と考える方もいるでしょう。しかし、保険のパンフレットを見ても、沢山あり過ぎて「見れば見るほど迷う」ということもあります。まずは生命保険の基礎をおさえ、無駄なく自分にとって必要な保険選びをしたいですよね。今さら聞けない、生命保険の仕組みや種類、選び方など生命保険の基礎をわかりやすく解説いたします。
生命保険とは?基本事項を理解しよう
生命保険は、さまざまな「人生のリスク」に備える金融商品です。「人生のリスク」とは、本人や家族の事故・病気による死亡(もしくは高度障害)が原因で家族の生活費が不足する「死亡リスク」、病気やけがで入院、手術した場合の治療費や介護費が必要となる「医療リスク」、老後資金が不足する「長生きリスク」の3つがあります。
リスクに備える方法としては、万が一に備えて貯蓄を増やしておくことも一つですが、養う家族が多ければ多いほど万が一の損失額は多くなりますし、治療費が高額になったら、貯蓄だけで対応できない場合があります。そんな時に、生命保険に加入してれば、契約内容に沿って保険金、給付金を受け取ることができるのです。
独身の場合は死亡保障よりも医療保障を重視、子どもが生まれたので死亡保障を追加、50代になって病気が心配だから医療保障を増やすなど家族構成や年齢よって、加入する保険を検討する必要があります。
生命保険の3形態って?
生命保険の商品はたくさんありますが、保険会社の商品は「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」の3つに分類できます。簡単に言うと、保険金を受け取るタイミングが、被保険者の「死亡」か「ある一定年齢時の生存」、もしくは「死亡か生存どちらか一方」によって異なります。
「死亡保険」は、被保険者が亡くなった時に保険受取人に「死亡保険金」が支払われる保険です。後で詳しくご紹介しますが、具体的には「定期保険」や「終身保険」があります。
次に、「生存保険」は、被保険者が「ある一定の年齢まで生存」していた時に、保険金が受け取れるもので、「個人年金保険」や「学資保険(こども保険)」があります。
そして最後の「生死混合保険」は、「死亡保険」と「生存保険」を合わせたもので、被保険者が一定期間のうちに死亡した時は「死亡保険金」が、生存していた時には「満期保険金」が支払われる保険です。「養老保険」が、この生死混合保険に該当します。
「生存保険」や「生死混合保険」は、掛けた保険料に応じた保険金を自分で受け取ることができることから、預貯金のような機能を持つ「貯蓄型の保険」と呼ばれています。
3種類の生命保険の特徴
生命保険の種類をさらに詳しくみていきましょう。「死亡保険」のうちの「定期保険」と「終身保険」、生死混合保険の「養老保険」の3つを押さえると、保険選びがしやすくなります。
定期保険とは
ある一定期間に死亡・高度障害状態になった場合に、保険金が支払われる保険です。電車やバスの「定期券」のイメージと同じですね。保険の有効期限(保険期間)内に、何もなければ、支払った保険料は返ってこないため、「掛け捨て保険」と呼ばれています。
終身保険とは
保険期間が「一生涯」続く保険です。保険料の支払いは、加入している期間はずっと支払う「終身払い」と、一定期間中に一生分の保険料を払い込む「有期払い」というように選ぶことができます。解約した場合には「解約返戻金」が受け取れるので、掛け捨てではありません。また、「契約者貸付」と言って、保険を継続したままで、一定金額の貸付を受けられる機能もあります。
養老保険とは
「貯蓄性のある定期保険」と覚えておきましょう。定期保険と同じく、保険期間はあらかじめ決まっていますが、保険期間が終了した時には、「満期保険金」が受け取れます。途中で解約した時には、終身保険と同様、「解約返戻金」が受け取れ、「契約者貸付」も利用できます。
生命保険の特約とは
生命保険には、保障を充実させるためのオプションを追加することができます。「特約」と呼ばれるもので、保険会社や商品によって準備されている特約の種類はさまざまです。ちなみに、特約をつける前の保険は「主契約」と呼ばれています。
主な特約には、死亡保障を増やす「定期保険特約」や、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)の保障がある「特定疾病保障特約」、事故で障害を負った時のための「傷害特約」、病気やけがで入院・手術などを受けた時に給付金がもらえる「入院特約」や「通院特約」があります。
また、所定の状態になったら以後の保険料の支払いが免除される「払込み免除特約」というのも人気です。特約は、保険会社によっては途中で追加することもできます。同じ保障でも、特約を付加した方が主契約にたくさん加入するよりも保険料を安く抑えられるメリットがあります。
生命保険を選ぶときに注意することは?
生命保険選びでは、保険期間(いつまで)を考えて加入することが重要です。なぜなら、保障の金額は、契約後に追加したり減らしたりすることができますが、保険期間は基本的には契約後に変更することができないからです。
例えば、死亡保障1,000万円の保険で考えたとき、保障期間が10年の定期保険と、保障期間が一生涯の終身保険では、終身保険の保険料の方が高くなります。しかし、定期保険は保険期間が終了した後で継続(更新)する場合、保険料は更新時点の年齢で計算されるため、保険料が以前よりも高くなってしまいます。加入する時に、「いつまで必要か」を考えておくと無駄なく加入することができます。
また、あれもこれもと特約をたくさん付けてしまうと保険料が高くなってしまいます。保険料が月々1,000円でも、30年間支払うと総支払額は36万円です。保険料の「総支払額」を計算して、本当に必要かどうか判断すると良いでしょう。
周りに言われて加入ではなく検討を
家族構成や家計の状況で、「いつまで」「何を」「どれくらい」の保険に加入するかは異なります。漠然と加入するのではなく、まずは生命保険の特徴を知ってから検討したいものです。無料の相談窓口でプロに相談したり、インターネットで簡単に見積もりを取ったりすることもできますので、実際に保険料を比較しながら自分に合った保険を見つけてください。
冨士野喜子(ふじのFP事務所所属)/fuelle
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