2020年、スポーツ観戦のスタイルが大きく変わりそうです。まるで、その場にいるかのように、競技や試合に入り込み体感するリアルな体験に変わるかもしれないのです。やむなく延期となった東京オリンピック・パラリンピックも、応援の仕方が大きく変わるのなら、あらためて待ち遠しくなりますね。テクノロジーが大きく変えるスポーツ観戦の新しい姿を見てみます。
新しい体験を創造する「5Gネットワーク」と「MR」技術
スポーツ観戦に劇的な変化をもたらすのが、高速・大容量なインターネット接続が可能となる移動体通信方式「5Gネットワーク」や「MR」(複合現実)といった新たな技術です。5Gネットワークなら、2時間の映画データを3秒でダウンロードできるといわれています。これにより、大容量データ処理が必要なVR(仮想現実)/AR(拡張現実)を用いた新しい3次元体験メディアとしてMRのコンテンツを提供できるようになります。
5GネットワークとMRは、家庭におけるIoT(Internet of Things)の普及を加速させるといわれています。1964年の東京オリンピック開催に照準を合わせて登場したカラーテレビもそうでした。そして、カラーテレビは画期的な新メディアデバイスとして衝撃を与えました。
2度目の東京オリンピックを迎える日本において、5GネットワークとMRを使った3次元体験の実用化は、かつてのカラーテレビ同様に、スポーツ観戦に大きな変化をもたらします。具体的にはどのようなことが起こるのでしょうか。
動画にもたらす変化:マルチビューイング
2020年に、MR技術によって3次元体験が実用化する際のポイントは動画です。データ量の大きい動画を自在に扱うには、高速な5Gネットワークが不可欠です。例えば、従来のアングルを切り替えた平面配信ではなく「マルチビューイング」による配信が挙げられます。マルチビューイングは、複数のビデオカメラで撮影された動画の中から、好きなアングルによる動画を選んで視聴ができるしくみです。さまざまな角度から視聴が可能であり、一部のテレビ局ではバレーボールの実況で実証実験が済んでいます。
音声にもたらす変化:3Dオーディオ
音声にも5Gの高速性が生かされます。3D オーディオの導入により、「音の距離」や「音の広がり方」などを意識した立体的な音響を実現できるようになります。耳をすませば、その場にいるかのような臨場感が味わえるのです。
テクノロジー、アート、デザインの進化:スポーツは「観るもの」から「感じるものへ」
NTTサービスエボリューション研究所が2019年に実施した「スポーツ観戦の再創造展」では、「スポーツは観るもの」という常識が、「感じるもの」へとシフトする時代が訪れていることが示されました。視覚、聴覚、多感覚を用いた新たな観戦、また観戦概念自体の再創造が3次元テクノロジーによって実現されるといわれています。
立体的かつ臨場感あるスポーツ映像が、観戦者の身体感覚と感性の多様化を促す
これらスポーツ観戦における各方面の進化は、観戦者の身体感覚や感性の多様化を促すことができます。この多様化を実現するために、5GネットワークとMRを使い、スポーツシーンの画像抽出や合成手法を駆使するのです。
例えば、遠隔地に設置したバトミントンコートにあたかも目の前でプレーしているかのような映像を映し出し、臨場感を再現できます。実際の試合会場になっているバトミントンコートから、画像抽出技術によってコートの画像と試合をしている選手を切り出し、インターネットを経由して遠隔地にあるコートに合成して立体的に再現します。人々は、遠くにいながら、あたかも目の前で試合を見ているような感覚で楽しめるわけです。
さらに、選手の動きがコート上で大きくなったり、近づいたり、小さくなったりします。選手の動きに合わせて変化していく映像も楽しめるわけです。このような立体的かつ臨場感があることから、テレビ映像よりもずっとスポーツ観戦に集中できそうです。いままでのスポーツ観戦よりも、選手の気持ちに同調でき、場合によっては入れ込み過ぎてしまうことにもなるかもしれません。劇的に進化したライブビューイングと言えるでしょう。
5GネットワークとMRというテクノロジーの革新が、スポーツ観戦を再創造しようとしています。まだ実際に試す機会は少ないかもしれませんが、その動向にぜひ注目していただきたいです。(提供:JPRIME)
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