高級車やプライベートジェットなど、高速で快適な移動手段があるのにも関わらず、ヘリコプターを所有・操縦する富裕層は多いです。彼らはなぜヘリコプターにこだわるのでしょうか。目的別の3タイプを紹介します。

タイプA:移動時間を効率化したい起業家など

富裕層がヘリコプターの所有・操縦にこだわる理由 目的別の3タイプ
(画像=lassedesignen/Shutterstock.com)

ヘリコプターにこだわる富裕層には、以下の3タイプがいると考えられます。

  • タイプA:移動時間を短縮したい起業家
  • タイプB:課税の繰り延べをしたいオーナー経営者
  • タイプC:操縦桿(かん)を自身で握ることにこだわる富裕層

まずタイプAですが、国内でヘリコプターパイロット養成に関わる専門家によると、ヘリコプターを操縦したいと考える人は富裕層が多く、移動時間の短縮や上空での接待などビジネスの目的が多いようです。年代は40代〜60代が中心で、高級車やクルーザーなどを所有した後にヘリコプターを所有するという人が多いとのことでした。

また、「ヘリコプターはビジネス目的の利用が多い」という傾向は、海外の富裕層にも共通するようです。国土交通省・近畿運輸局のヘリコプターと海外富裕層の関係をまとめたレポートによると、海外でのヘリコプターの用途はプライベートジェットと同様、ビジネス目的がメインだとされています。具体的な利用者像として、「時はカネなり」という価値観を持つ起業家や、ハイクラスのビジネスマンを挙げています。

ヘリコプターは時速200キロメート前後で航続距離600~700キロメートル

ヘリコプターのスピードや航続距離は機種によって異なりますが、「アエロスパシアルAS350B2」という機種で時速185キロメートル、航続距離615キロメートル、これよりも高性能な「ユーロコプターAS365N3」は時速231キロメートル、航続距離770キロメートルです(参照:北海道航空 機体紹介)。

東京-名古屋間の距離は約360キロメートルなので、ユーロコプターであれば1時間30分程度で移動できる計算です。これは東海道新幹線の所要時間とほぼ同じですが、乗り換えや駅からの移動がないなどのメリットがあります。特に出発地と到着地に専用ヘリポートがある場合は、移動時間を大幅に短縮できます。

タイプB:課税の繰り延べをしたいオーナー経営者

ヘリコプターには、中古価格が安定していて減価償却期間が短い(新機5年・中古1年)という特徴があります。そのため、富裕層がヘリコプターを購入し他者にリースすることで、リターンを得ながら課税を繰り延べるために使われることがあります。

国税局OB税理士監修メディアが紹介している事例を見てみましょう。約4,000万円で中古ヘリコプターを購入し、約2年後に約3,500万円で売却(売却差損マイナス500万円)。その間リース料を900万円以上得ているため利益は400万円(リース料900万円-売却差損500万円)、実質110%を回収しています。ただし、ヘリコプターによる節税スキームを実行するには、この分野に強い税理士や専門業者の協力・助言が必須です。

タイプC:操縦桿(かん)を自身で握ることにこだわる富裕層

移動時間を短縮したいだけなら、ヘリコプターの操縦を操縦士に依頼するほうが合理的です。しかし、自ら操縦桿を握ることにこだわる富裕層もいます。

とはいえ、ヘリコプターの免許(自家用操縦士免許)は国家資格であり、取得までにはそれなりの費用と時間がかかります。ヘリコプター操縦士訓練で30年以上の実績を持つアルファーアビエィションによると、免許取得のためにかかる費用は約600万~700万円、仕事をしながら訓練する場合は1年程度かかるそうです(併せて航空特殊無線技士の資格も必要)。

富裕層の移動ツールとしてはプライベートジェットが注目されやすいですが、短・中距離が多い場合や節税効果を重視する場合はヘリコプターにも魅力があります。目的別に活用できるヘリコプターは、今後も富裕層から支持されるでしょう。

(提供:Wealth Lounge

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