PARFUM SATORI
(画像=J PRIME編集部)

世界中にファンを持つフレグランスブランド「PARFUM SATORI」。オーナーパフューマ―の日本人調香師・大沢さとり氏は、茶道や華道など日本の伝統文化に育まれた独特な感性によって、これまでにない香りを世に送り出しています。日本人のみならず、世界の人々を魅了する香水はどのように生まれているのでしょうか。インタビューを通し、大沢氏のインスピレーションの源泉をたどります。

ミズナラの原生林から着想を得たことも。五感で受けた印象から香水を編み出す

PARFUM SATORI
(画像=J PRIME編集部)

香水づくりのアイデアは、心が動いたときから広がっていきます。たとえば、旅で出会った植物や食べ物、お酒の香りなどから覚える感動が、インスピレーションの発端になっています。たとえば、「ミズナラ」というフレグランスは、とあるバーに行ったときにカウンターの材木に着想を得ています。

そのバーに足を踏み入れたとき、木の香りが漂っていたのです。この香りはどこからきているのだろうと聞いてみると、なんとカウンターが樹齢500年の木をつかったものだったのです。また、ミズナラの樽で仕込んだウイスキーを飲ませていただいたところ、シングルモルトの奥深さを知るとともに、ミズナラという木にも興味を持ちました。

そして、実際にどんな木なのか知るために、ミズナラの木材を取り寄せました。それだけでは飽き足らず、標高1500mにしか生えてないミズナラの原生林を直接この目で見るべく赤城山に登りました。湖畔に広がるミズナラが風に揺れ、湖面に林が映り込む……。その情景が目の前に広がり、香水のイメージがまとまっていきました。

調香は色や映像といった視覚はもとより、音や触覚などの五感で受け取った印象を言葉に変換し記憶します。そして言葉に紐づいた香料をセレクト。プロットをつくり、そこからストーリーを編み出していきます。

とりわけ大切にしているのは香料の素材です。たとえば、デザインが似ている白いセーターでも、シルク、カシミア、コットン、化繊など素材が違えば、テクスチャーや光沢感、ラインが異なりますよね。同じように香水も素材によって全体の印象やニュアンスが変わってくると思います。そのため、「PARFUM SATORI」では妥協しない素材選びを心がけています。

沈香木や抹茶、書道の墨を思わせる香り……。香水を媒体に日本文化を伝えたい

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(画像=J PRIME編集部)

私は、香水を通して日本の文化を海外に伝えたいという想いを持っています。たとえば、自分の名前をつけたフレグランス「Satori(さとり)」は、香道の世界観を投影した香水です。香水のような拡散ではなく、香炉の周囲からふんわりと漂う香木のような匂い立ちを香水で表現したいと考えました。さらに、日本女性の凛とした姿をテーマに、沈香木(じんこうぼく)の香りが立ち上るさまを重ねることにしました。

また、「Hyouge(ひょうげ)」は抹茶の香りをモチーフにしています。私は毎日お抹茶をいただくのですが、抹茶を泡立てたときに表面にできる泡の風味、旨味やほろ苦さといった抹茶本来の美味しさを表現したいと考えました。それまでも、抹茶をモチーフにした海外の香水はありましたが、それはおよそ私たちが日常的に飲んでいるものからはかけ離れていると感じていました。そこで、Hyougeでは抹茶の真髄を伝えられる香調を意識。お茶ならではのグリーンな香りだけでは少し寂しいので、ジャスミンの花やすみれの葉の香りを加えています。

他にも、「夜の梅」には墨を思わせる香料がたくさん入っています。書道を身近に育った日本人には懐かしく、経験のない西洋の方にはちょっと変わった香りに惹かれるように調香しています。

世界は、個性あふれるフレグランスを求めている

PARFUM SATORI
(画像=J PRIME編集部)

そして香りはもとより、香水を入れる瓶や箱にこだわりたいと生まれたのが、「茶壺型香水さとり」です。日本を代表する3種の花、梅・藤・桜の茶壷型の香水瓶にSatoriを納めました。茶壷はオリジナルの有田焼、禅の世界観を表した紐飾り、戦国武将の真田家が考案したとされる真田紐、日本では古くから使われてきた桐箱や、ウコンで染色した包み布など日本を物語れる香水となっています。

19世紀後半に日本の美術工芸がヨーロッパ芸術に大きな影響を与え、また和食文化がキュイジーヌに変化をもたらしたように、日本発の香りが海外にも影響を与えていることは、調香師として喜びを感じます。

かつて香水は個性が際立つ贅沢品でしたが、大手ブランドの高度なマーケティングにより、多くの人から求められる香りを作る流れに変わりました。それにより似たような香りが世の中にあふれました。

そしていま、ふたたび求められているのが調香師のインスピレーションによってデザインされる個性あふれるフレグランスです。こうした背景もあいまって、「物静かにしていても、存在感があり、周囲をふんわりとした雰囲気で包むような香り」というユニークな世界観に、日本のみならず海外の皆さまも共鳴してくださっているのだろうと感じています。

語り:大沢さとり(PARFUM SATORIオーナーパフューマ―)

(提供:JPRIME


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