香水愛好家のバイブル「PERFUMES THE GUIDE」に掲載され、世界から注目を集めるフレグランスブランド「PARFUM SATORI」。オーナーパフューマ―の大沢さとり氏が手がける麗しく上品な香りは、その独創性が評価されています。香水の魅力の1つに「なりたい自分を創れること」を挙げる大沢氏。インタビューシリーズ最終回となるこの記事では、大沢氏が考える香水の真髄、そして香水の世界に触れたいと願うすべての人に向けたメッセージをお届けします。
香水を自在に選ぶことは理想の自分に近づくということ
香水は10世紀ごろから、フランスの宮廷文化で育まれてきました。香水をつける目的はお洒落の仕上げであったり、自分自身をより魅力的にアピールするためだったりと、自分を変えてくれる力があるものとして愛されてきました。
こうした西洋のセンシュアルでファッショナブルな香水文化は、日本では育ちにくいかもしれません。なぜなら日本人は香りに情緒を求めているからです。たとえば、季節や草花の癒しや和みについて、香りを通して愉しむ感性が根づいているように感じます。香水に求めているのは、そうした感性を満たしてくれるかどうかではないでしょうか。
とはいえ、香水は多種多様であることから、どれをセレクトすればよいか頭を悩ませてしまう人も少なくないかもしれません。そんなとき、香水を選ぶときの秘訣は「自分がどういう自分になりたいか」を考えることです。
そこで、まずはどのようなシーンにおいて、香りをまとうのかをイメージすることが大切です。たとえば、「ビジネスシーンを思い浮かべてクールな印象の自分になりたい」「休日のデートでロマンティックな時間を過ごしたいから、女性らしい自分になりたい」と想像を巡らせてみるといいかもしれません。さわやかで明るくふるまいたいなら、軽くさっぱりしたグリーンタイプ、フェミニンでセンシュアルに装いたいならオリエンタルなど、自ずと選ぶべき香りが導き出されます。
誰しも理想の自分があると思います。それに合わせて香りを選ぶことで、自分を演出でき、暮らしも心も豊かになるはずです。
知識が身につけば、自信をもって香りを選ぶことができる
香りを選ぶポイントについては、セオリーを学ぶことで自然と身についていくものです。「PARFUM SATORI」では香水を学べるスクールを主宰していますが、知識が身につくと自信を持って香りをチョイスできるようになります。
洋服なら、小さいときからいろいろ選んできた経験によって、自分の好みや自分に合う装いが決まってきます。しかし、目に見えない香りについては、どのような基準で選べばいいのかを学ぶチャンスがあまりありません。そのため、自分に合う香りがよくわからない人が多いのでしょう。だからこそ、香水の世界をきちんと理解することが大切です。知識に基づいて的確に選べるようになると、香りをより楽しめるようになります。
私が日本スタイルの香水を創り、スクールを主宰しているのは、日本ならではの香水文化を育むためです。「日本に合った香水を生み出し、香水の使い方を知っていただくこと」の両方に力を注ぐことが、ひいては文化の醸成につながると信じています。
香りを知ることは、人生に彩りをもたらしてくれる
スクールでは、調香はもちろん香りを表現するコースなど、多様なカリキュラムを揃えています。「香りが好きで自分でも香水を創りたい」という方はもとより、「花の香りを嗅いで何と表現したらよいのかわからない」「人に伝えたいけど語彙が足りない」という方も通っていただいています。
香りを的確に表現したり説明できたりすると、香水に限らず日常の香りのすべてがもっと身近になります。街を歩いていても何かの花、食べ物、誰かの香水に気づくことができるようになるでしょう。学ぶことでもっと明確に見えてくる、そうすると世界が広がり、日常が豊かになるはずです。香りを知ることは、人生に彩りをもたらしてくれるのです。
スクールで講師をしていると、生徒さんの表情に心を揺さぶられることがあります。それは、新しい知識に触れたときにパッと顔が輝く瞬間です。その表情は本当に素晴らしいと感じます。私にとってそうした瞬間のお裾分けが喜びに通じています。香水の知識を身につけて、自分の好きな香りをいちから手掛けたいと思う方が育っていくことで、きっと日本の香水文化は成熟していくはず。私は、その一助になりたいと願ってやみません。
語り:大沢さとり(PARFUM SATORIオーナーパフューマ―)
(提供:JPRIME)
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